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NO・2242 『イランの変化・アハマド・ネジャド大統領の妥協』 [2012年06月18日(Mon)]

 以前に、イラン国内で微妙な変化が、始まっていることをお伝えした。そのなかで、アハマド・ネジャド大統領が次第に、権力を失いつつあることを指摘した。そしてそれは、アメリカを始めとする西側の経済制裁が、イラン国内の物価を吊り上げ、貧困層が生活苦に直面し始めたからだともお伝えした。
 イランのインフレ率は最近になって、21・8パーセントを記録したと、イランのナーデラーン議員が議会で報告しているのだから、実態はそれよりも上がっているのであろう。
 このことがイランの神権体制にとって、危険信号だと判断したハメネイ師は、アハマド・ネジャド大統領の向こう見ずな対外政策が、生み出した結果だと判断し、大統領に厳しい視線を向けるようになっていた。
 そして起こったのが、議会でアハマド・ネジャド大統領を吊るし上げるという、イランの神権体制誕生以来、初めての出来事に繋がっていった。それだけハメネイ師は深刻に、現状を捉えていたのであろう。
 アメリカを始めとする、西側世界との関係改善には、西側とのパイプを持つラフサンジャニ師の登場を、待たなければいけないようだ。同時に、アハマド・ネジャド大統領を降格させなければならない。それが議会でアハマド・ネジャド大統領吊るし上げの、真相だったのではないか。
 実はラフサンジャニ師の浮上を伝えてくれたのは、イランに住むAさんだったが、彼が予想した通りの展開になっているので、その旨の感謝のメールを送ったところ、彼から新たな判断が送られてきた。
 そのメールによれば、アハマド・ネジャド大統領がハメネイ師一派と、取引をしたのであろう、というものだった。つまり、アハマド・ネジャド大統領が来年からは、政治に顔を出さないと発言したのは、取引の結果だというのだ。
 そしてその結果、ハメネイ師派はアハマド・ネジャド大統領を、追求しないことにする。そして、アハマド・ネジャド大統領は、権力内部の秘密を、一切口外しないという約束を、したのではないかというのだ。
 ラフサンジャニ師がアハマド・ネジャド大統領の後を継いで、大統領に就任するのか、ラリジャニ師が就任するのか、あるいは別の人物なのかについてまでは、今の段階では分からない。しかし、ラフサンジャニ師が今後、応分の力を発揮する可能性が、高くなったということであろう。
 イランと西側の核問題協議が続いており、多少西側のイランに対する対応に、柔軟さが見え始めているのは、そのためかもしれない。いずれにしろ、イランと西側諸国との緊張が、緩和することを望んで止まない。
Posted by 佐々木 良昭 at 23:06 | この記事のURL
NO・2241『トルコでも問題が無いわけではない』 [2012年06月18日(Mon)]
 トルコが中東諸国のなかにあって、例外的に好調に推移していることは、何度となくお伝えしてきた。しかし、トルコにも全く問題がないわけでもない。それは人間が行う政治なのだから、無理もないことだ。
中東世界のスーパースターであるエルドアン首相が、健康に問題を抱え始めて以来、既に数カ月が経過した。そのことが周囲に変化を、生み出しているようだ。側近たちや親族のなかには、将来への不安を感じている者もいるようだ。
そうなると、彼らがどのような行動に出るかは、想像が付こうというものだ。韓国では大統領の親族たちが、寄ってたかって権益をむさぼり、大統領から降りた途端に、その人物と側近たちの問題が、表面に出ることが何度もあった。トルコの場合もそれに近いようなことが、始まっているのかもしれない。
エルドアン首相も自分の健康に問題があると、どうしても性急になり、結論を急ぎたくなるのだろう。これは誰もがそうなのだ。先の長くない人や、健康に問題のある人は、せっかちになる傾向がある
その結果与党AKP(公正発展党)内部に、亀裂が生じてきているという情報が伝わってきた。
それを裏付けるような情報が、二つトルコから流れてきている。一つはギュル大統領が『選挙まではまだ十分に時間がある。』と語ったことだ。与党内部が話し合って、分裂などしないようにという、意味ではないかと思われる。
もう一つはエルドアン首相が、現在アメリカに亡命している、ファタハッラー・ギュレン師に対し、帰国を呼びかけたことだ。確かに現在では、トルコのなかのギュレン師やエルドアンに首相に敵対するグループは、ほぼ一掃されているため、帰国しても問題はなかろう。
しかしギュレン師は丁重に、そのエルドアン首相の申し入れを断っている。エルドアン首相の方は、ギュレン師の力を借りたかったのかもしれない。しかし、ギュレン師は自身の存在を、政争に利用されることを嫌ったのであろう。
トルコ内部、しかも与党内部のいざこざが早急に解決して、トルコがますますの発展していくことを祈る。
Posted by 佐々木 良昭 at 15:22 | この記事のURL
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