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bU085 9月23日『各国で埒外になりつつあるトルコ』 [2020年09月22日(Tue)]
 トルコ軍はシリアに進軍し、次いでリビアに進軍していた。そのいずれもが始めのうちは大騒ぎであり、多くのニュースがトルコから伝えられており、あたかもシリアやリビアは、完全にトルコの手中にある、というイメージが広がっていた。
 明日にでもシリアのアサド体制は、トルコによって打倒され、リビアも東西二つの政府は、トルコの支援する西側政府セラジ政権GNAが、東側政府ハフタル将軍側を打倒し、統一されるような雰囲気だった。
 トルコから発出される、シリアとリビアに関するニュースは、いずれも勇ましいものであり、勝利は確実という感じだった。だがどうやらそれらは、一部が真実であり、ほとんどは大本営発表と、同じだったのではないか。
 時間が経過するに連れて、西側政府GNAは追い込まれていき、逆に東側政府LNAが勢いを取り戻して行った。その根底にあるものは、やはり石油であったのであろう。リビアの石油はほとんどが、東側と南部に集中しており、そこを支配しているのは東側政府ハフラル将軍側LNAだったのだ。
 これではどうあがいても、西側政府GNAは干上がってしまい、そこの住民の不満も拡大していくことになろう。もちろん、戦時下にあっては、東側政府LNAの支配地でも反政府のデモは起こっている。
 こうした情況を踏まえ、外国はこぞって東側政府支持に回っていった。アラブ首長国連邦、サウジアラビア、ロシア、アメリカ、フランス、イギリスは、皆ハフタル将軍側LNAを支持している。
 他方、西側政府GNA支持は、当初はフランス、イタリア、トルコだったが、いまではフランスが明確に離脱し、イタリアも二の足を踏むようになっている。その一因は地中海領海をめぐる、GNAとトルコの合意が、ヨーロッパ諸国の反発を、招いたことによろう。ギリシャと武力衝突を起こしかねない、緊張状態に入ると、ほとんどのヨーロッパの国々が、トルコ非難を始めたのだ。
 そうしたなかでは、リビアへの武器搬入と派兵は、止めるべきだという意見が、世界中から寄せられたが、何のことは無い、それはトルコに対して、リビアから手を引けと言っているのと同じことだ、
 トルコも資金的な問題、世界の反トルコの流れ、戦況のこう着状態などで、動きが取れなくなり、遂には話し合いによる解決に、賛成するようになってきている。だが、話し合いによる解決が進んでいけば、トルコは埒外となろう。
 既に、西側政府GNAのセラジ首相は、近く辞任すると宣言してもいるのだ。これではトルコが支えるべき、明確なリビアの代表者は、存在しなくなるということではないか。一体トルコは、これからリビア問題を、どうしようとしているのであろうか。
 そうした実情をごまかすために、エルドアン大統領は戦線を拡大し、イラクでもアルメニアでも戦い始めている。それは一瞬の効果を生む、麻薬のようなもので、トルコ国民の愛国心に火をつけるだろうが、長続きはすまい。既にトルコ国内では、エルドアン非難の声が、高くなってきているのだ。
 ギリシャとの緊張関係の下では、アメリカ軍がインジルリク空軍基地を捨てる、という情報も流れ始め、その代替地はギリシャのクレタ島だ、とまで言われている。アメリカ軍がインジルリク空軍基地から、全面的に引き上げるとは思えないが、このアメリカの立場は、ヨーロッパ諸国を歓喜させ、トルコを不安に陥れることであろう。
 こうした流れは、トルコに対する外国からの、信用を下げてしまい、同国への投資は急激に減っている。その結果はトルコ・リラ安となって、明確に現れているのだ。エルドアン大統領の体制は、すぐ終わるだろうと思っていたが、それがいままで続いていたのは、トルコの利用価値が、アメリカにとってはあったからだ。
トルコが中東諸国で暴れまくれば、相手国は混乱に陥り、アメリカに付け入る隙を作っていた、ということだ。加えて、トルコからのISなどへの支援が行なわれ、アメリカにとっては中東駐留の口実を、与えていたのだ。だが、その甘い時は既に、過ぎ去っているのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 21:44 | この記事のURL