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bU020 7月20日『リビアが大戦争に向かう・トルコの動きは』 [2020年07月20日(Mon)]
リビアの西側政府セラジが首相側のGNAは、東側のハフタル将軍側が支配している、シルテに軍を進め始めている。GNA
軍は既にミスラタとシルテの中間にある、タウエルガまで進軍したということだ。

このタウエルガはミスラタからシルテへの、3分の1の距離にあり、シルテにGNA
軍が到着するのは、時間の問題だということだ。そうなれば、ハフタル軍側を支援しているエジプトやアラブ首長国連邦、フランス、そしてロシアは軍を動かさざるを得なくなろう。

既に、カイロにはハフタル将軍支持の、東リビアの部族長団体が到着し、エジプトのシーシ大統領と会見し、エジプト軍のリビアへの派兵を要請している。それを受けエジプト議会は、この問題を討議し、派兵すべしという結論を出し、シーシ大統領にリビアへの派兵の決断を、任せることにしている。

GNA
側はジュフラ空軍基地を押さえ、シルテも押さえるつもりでいる。そなればトルコ政府は、武器や傭兵そしてトルコ兵を、このジュフラ空軍基地に、空輸出来ることになるのだ。既に、エルドアン大統領はリビアへの、
S400ミサイルの持ち込みも決めており、戦争は大規模なものになろう。

他方、ハフタル将軍側を支援しているのは、エジプトでありアラブ首長国連邦であり、ロシアであり、フランスだということだ。加えて、アメリカも背後でハフタル将軍側を、支援しているようだし、イタリアもセラジ政権支持を止め、ハフタル将軍側に寝返ったようだ。

エジプトが今回の戦争で、軍をリビアに派兵する可能性が高いのは、西側のセラジ政府(GNA
)とムスリム同胞団との関係が強いからだ。しかも、ムスリム同胞団とエルドアン大統領との関係も深い。そのムスリム同胞団はエジプトの、シーシ大統領にとっては目の敵なのだ。シーシ大統領はムスリム同胞団政権を、クーデターで打倒しているし、ムスリム同胞団のトップのバデーウは現在投獄され、終身刑が言い渡されるか、運が悪ければ死刑になるだろうといわれている。

そうしたことがある以上、もし、リビアの西側政府セラジ首相側が、ハフタル将軍側に勝つようになれば、リビアは完全にトルコのコントロール下に組み込まれ、トルコは大軍を派兵することになろう。

それはエジプトの西側の国境を、危険にさらすことになるし、国内でもムスリム同胞団の勢いが増し、動きが活発になろう。だから、シーシ大統領は何としても、ハフタル将軍側をリビア内戦で、勝たせなければならないのだ。どうやらここに来てリビア内戦は本格的な大規模戦争に発展しそうだ。この戦争でトルコ側が負ければ、エルドアン大統領の立場は。極めて危険なものになろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 01:39 | この記事のURL