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5881 3月4日『トルコはシリアで勝っているのか』 [2020年03月03日(Tue)]
シリアのイドリブでのトルコとシリアとの戦いは、熾烈を極めてきているようだ。述べるまでもなく、その結果、双方に多数の死傷者が出ている、ということだ。先日はトルコでシリアでの戦死者の、追悼会が各地で行われたという、ニュースが流れていた。

多分その会場では、死者の家族や妻子たちが、涙していたことであろう。戦争は死という、究極の結果をもたらすのは当然なのだが、やはりたまらない気持ちだ。一体このトルコ・シリア戦争は、何の意味があるのか、ということを考えると、納得のいく答えは出てこない。

つい先日、ある日本の中東に詳しい人物が、トルコ・シリア戦争の現状を、報告していた。彼の説によると、今のところトルコ側が、優位な戦闘を続けている、と言っていた。シリア側の戦闘機
2機が、トルコのドローンによって撃墜されたことは、それを顕著に示すものであろう。

しかし、私にはそうは思えない。シリア側にはロシア軍やイランの革命防衛隊、そしてレバノンのヘズブラが、付いているのだ。この4
つの戦闘集団の知恵が、トルコ一国に劣るというのだろうか。

確かに大分前に、ドローンの登場は世界の戦争パターンを、変えることになろうと書いたが、それから数か月が経過しており、各国はドローンの登場する戦争での、対応を考えていたはずだ。

もしそれがなければ、現状をただ見過ごしてきた、ということになり、軍の規律が乱れている、ということではないのか。しかもこれらの国々は、既にドローンを使用しているし、ドローンを製造してもおり、ドローンの持つ有効性を、十分理解しているはずだ。

シリアのイドリブと言えば、案外大きな県であり、戦闘地域は一か所ではないのだから、シリア軍側が有利に戦っているところも、多数あるはずだ。既にそのようなニュースは、伝えられている。

シリア政府すれば、IS(ISIL)
の残党狩りや、クルド・ミリシアとの戦闘も、大事な戦いなのだ。シリアはトルコとの戦い以外にも、自国領土内で反政府の戦いを続ける、ミリシアたちの掃討作戦も、重要なのだ。

トルコとの戦争は大人の喧嘩であり、しかもロシアが関係しているので、暴走する危険性は、IS(ISIL)
などよりは、低いのではないか。実際にいまシリア軍に反撃する、と叫んでいるエルドアン大統領は、片方でロシアとのトップ会議を通じて、なとか戦争を鎮静化させたい、と望んでもいるのだ。もちろん、それはロシアとて同じであろう。報道は一面だけではなく、多方面から情報を集め、分析してすべきではないのか。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:29 | この記事のURL