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NO:5279 10月29日 『ネタニヤフ首相のオマーン訪問とイランの動き』 [2018年10月28日(Sun)]
突然の、ネタニヤフ首相によるオマーン訪問は、何が目的であったのか、ということが問題になっている。表面的には中東和平に、オマーンが協力してくれるよう、ネタニヤフ首相がオマーンのスルタン・カーブース国王に、依頼したということになってはいるのだが。中東和平への協力については、スルタン・カーブース国王はその気が無い、と断っているようだ。

それでは何が目的であったのであろうか。イスラエルにとっていま一番頭の痛い問題は、ガザからのロケット攻撃を、どうしたら止められるか、ということであろう。先日は一日に30発ものロケットが、打ち込まれるのだから、油断していられないし、イスラエル国民にとっては、大きな不安となっていよう。

このガザからの激しいロケット攻撃が、何故起こるのかについては、実はイランが相当ガザ問題に、首を突っ込んでおり、ガザのハマースやイスラム・ジハードに、支援を送っているからだ。

ロケットやミサイルの部品を送り、製造方法を教え、シリアにいるイラン革命防衛隊は、工場の建設まで支援していえるといわれている。そして、それはガザだけではなく、レバノンのヘズブラや、シリア政府に対しても、進められているのだ。

つまり、いまイスラエルはレバノンとシリア、そしてガザに建設される、ロケットやミサイルの工場から、生み出される武器を相手に、戦わなければならないということだ。イランはそうすることによって、イスラム革命の三日月地帯を、建設しようと思っているということだ。

 三日月帯とは、イラクに始まりシリア、レバノンを、イランの強い影響下に置くということだ。その結果、イランはイランからイラク、シリア、レバノンに通じる道路と、地域を支配し、地中海にまで抜けられることになる。

 その事は、イスラエルだけではなく、アメリカにとっても中東支配のうえで、大きな障害になる。それでアメリカはシリアに駐留する、イラン革命防衛隊を殲滅したい、と考えているのだ。このため、アメリカ軍はイラン革命防衛隊に、シリアから出て行くよう、再三に渡って警告しているのだ。

 このイラン革命防衛隊とレバノンのヘズブラ、ガザのハマースとの関係は、強固なものだ。ハマースは何百万ドルもの現金を、イラン政府から受け取っているし、イスラム・ジハードもイラン革命防衛隊から、現金を受け取っている。イスラム・ジハードは今年の8月には、3000万ドルの支援を受けたということだ。

 ネタニヤフ首相のオマーン訪問は、オマーンがイランと関係のいい、例外的なアラブの国であることから、イランとの仲介を依頼したのではないか。もちろ、それはイランによるハマースや、イスラム・ジハードに対する支援を、止めるためだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 09:08 | この記事のURL