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NO4679 8月29日 『敗色が濃くなってきたIS』 [2017年08月29日(Tue)]
一時期は、シリアとイラクの広い領土を、支配下に置いていたIS(ISIL)が、敗色を濃くしている。イラクでもシリアでも、レバノンですらも、後退を重ねているのだ。それは、アメリカの支援が大分滞ってきたことと、トルコの協力が得られ難く、なってきているからではないだろうか。
先日、イラン発のニュースでアメリカ軍のヘリが、IS(ISIL)の幹部とその家族を救出している、というものがあったが、あれはあくまでも救出であり、他の場所に移送するためであろう。彼らをイラクやシリアに張り付けて、今後も戦闘を継続させよう、という意味ではないように感じる。

昨日流れた情報によれば、シリアのラッカ(ISが首都だと言っていた、最も重要と思われる場所)でも、SDFの攻撃を受け、IS(ISIL)は、相当追い込まれており、一説によれば、40パーセント以上あるいは50パーセントの支配地を失った、と伝えられている。

このSDFはアメリカ軍の支援を、受けている組織なわけであり、装備も相当充実している、という事であろう。そのSDFがラッカの近郊のマンスール地区を、支配したと発表している。

シリア軍もSDFに負けてはいない。要衝デルズールでIS(ISIL)と戦闘を継続しているが、ここでもIS(ISIL)はシリア軍に、追い詰められている。デルズールの陥落も、時間の問題であろう。

イラクでもニノイのIS(ISIL)陣地が、イラク軍の攻撃を受け、ほぼ陥落したようだ。このニノイはテルアファルに近い場所であり、イラク軍はテルアファルを陥落させるためには、どうしても、このニノイを奪取する必要があった、という事であろう。

レバノンでも、シリア、レバノン国境地帯に入り込んでいた、IS(ISIL)の部隊がレバノン軍とヘズブラの攻撃を受け、逃げ出している。一部はシリア難民の帰還に紛れ込んで、国境地帯から脱出している、ということのようだ。

また、IS(ISIL)が以前捉えていた、レバノン軍やヘズブラの戦闘員と、IS(ISIL)の戦闘員の捕虜を交換する、交渉も行われており、IS(ISIL)は何とかして、危険な国境地帯から脱出したい、という事であろう。

IS(ISIL)がレバノンに侵攻した理由は、シリア、イラクにいる戦闘員が、リビアなど他の国に逃れるための、海上ルートの確保に、目的があったものと思われるが、今ではその夢もかなわなくなった、という事であろうか。

それでも一部は、リビアに逃れることに成功し、リビアやチュニジアなどに、集まりつつあるようだ。それは今後のIS(ISIL)の戦闘の中心が、イラクやシリアから、北アフリカの国々に移って行くことを、意味していよう。

また、チュニジアからモロッコ、そしてスペインというルートを、IS(ISIL)は構築しつつあることも事実であり、それはスペインからフランスなどに、拡散していく方針でいる、という事であろう。

ただいま言われているのは、IS(ISIL)の本部が破壊され、幹部多数が死傷し、命令系統、作戦立案が思うようにいっていない、ということがあり、必ずしも彼らが考えているように、事態が進むとは、思えない部分もある。

私自身は確認していないのだが、IS(ISIL)の宣伝ネットが、閉鎖状態にあるとも言われている。以前にも書いたことだが、戦いには資金と武器と戦闘員が、必要なのだ。それが思うように手に入り難く、なっているのであろう。
Posted by 佐々木 良昭 at 11:25 | この記事のURL