CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
«NO3973『トルコは孤立・英仏独が対ISで露とて連携』 | Main | NO3975『エルドアンの口実は通用しない』»
NO3974『ロシアのトルコに対する報復は何か』 [2015年11月28日(Sat)]
トルコがロシアの戦闘機を撃墜して、既に数日が経過している。撃墜後の両国の動きを見ていると、トルコはエルドアン大統領がロシアに対して『火遊びはするな』といってはいるものの、相当の不安を抱いているようだ。

トルコ政府はヨーロッパで開催される会議に、エルドアン・プーチン両大統領が出席予定であることから、エルドアン大統領のプーチン大統領との会談を、セットしようと努力している。しかし、今迄のところロシア側は、これに何の返答も、していないようだ。

それは当然であろう、撃墜された戦闘機から脱出したパイロットを、トルコの仲間が地上から発砲、し一人を殺害しているのだ。これは述べるまでも無く、国際法に違反する行為だ。

そもそも、今回の撃墜劇は、以前から周到に用意されてあったものだ、としか考えられないことも、プーチン大統領をして、激怒させているのであろう。短い領空侵犯の距離を、17秒かけてロシアの戦闘機が飛んだ、というのは計算してみれば。すぐ嘘だとわかろう。また、トルコが主張する、パイロットの発した警告テープなど、簡単に偽造できよう。

さて激怒したプーチン大統領は、即座に報復を口にしているが、どのような報復をするのであろうか。これまで発表されたのは、トルコ人に対するビザ免除を、来年1月から廃止する、トルコの生鮮野菜果物は輸入しない、ロシア人観光客をトルコに行かせないといったものだが、これだけでも相当の経済的ダメージとなろう。

加えて、ロシアのガスをヨーロッパに輸出する、トルコ・ストリーム計画を中止することや、トルコでの原発建設を凍結するといったことが、具体化してきている。トルコのロシア・ガスに対する依存度は、きわめて高いことを考えると、そのようなことは起こらないとは思うが、ガスが止まればトルコの今年から来年にかけての冬は、相当に寒いものとなろう。

野菜や果物の輸出をしている生産者や、輸出業者にとっては、まさに死を待つ状況となろう。トルコ政府はガスの輸入についても、生鮮野菜果物類の輸出についても、楽観視しているが、案外厳しい状態になるのではないのか。

加えて、ロシアはトルコの敵であるPKK、に対して、武器を大量に供与するかもしれない。シリアにいるクルド人に対しても、同様のことが起こる可能性はある。加えて、ロシアはトルコとシリアの国境に近い、トルコの軍事基地に対して、攻撃を加える可能性も、高いだろう。

トルコはいまのところ、シリアへの戦闘機の飛行を止めているようだが、シリア領空に入れば、空中戦が起こることを、想定しなければなるまい。そうなればロシアにとって有利なのではないか。パイロット錬度が数段高い、と思われるからだ。

もうひとつの懸念は、シリア国内に居住する、トルコマン人に対する、ロシア軍の攻撃が、増すのではないか、ということだ。トルコ本土に対する直接的な攻撃は、控えめにしながらも、シリア国内のトルコマン人に対する攻撃では、遠慮が要るまい。

ロシアはトルコマン人をテロリストの一味、と認識しているからであり、彼らはロシアが支援する、アサド大統領の敵だからだ。結局、この場合も一番苦しい思いをするのは、在外のトルコ人
(トルコマン人)ということになりそうだ。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:52 | この記事のURL