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NO3961 『サウジアラビア外相アサド打倒までタクフィール支援』 [2015年11月16日(Mon)]
11月16日 中東TODAY




オーストリアのウイーン市で、シリア問題をめぐる会議が開催された。この会議には17か国が参加し、国連代表やEU,アラブ連盟からも参加があった。

会議の最終段階では、今後のシリア問題をめぐる、カレンダー(予定表)が作られ、今後6か月の間には移行政府を設立し、18か月以内に選挙を行う、というものだ。

しかし、大統領選挙にはアサド大統領以外は、立候補しないのではないか、というのが関係者の、共通した予測であった。このため、反アサド側の各国代表は、何とかアサド大統領を、引きずり下したいと考えている。

そうしたなか、サウジアラビアのジュベイリ外相は、アサド大統領が残る限り、サウジアラビア政府はタクフィール・グループを、支援し続けると語った。タクフィール・グループとは、一定の組織だけを指すのではなく、イスラム原理主義各組織を含むのではないかと思われる。

もちろん、そのなかにはIS(ISIL)も含まれるものと思われるが、さすがにこの時期は、国際社会の反応を気にすると、そう言い切れないのであろう。

サウジアラビア政府はあくまでも、アサド大統領を引きずりおろしたい、という考えであり、彼にはシリアでの政治的将来はない、とジュベイル外相は語っている。

EU代表は今回のカレンダーの作成に、成功したことを受け、歓迎の意を表している。これでシリア問題は解決に向かう、というのがEU側の考えのようだ。

他方、ロシアとイランは、シリアの将来を決めるのはあくまでも、シリア国民であって、他国ではないと主張している。

シリアの内戦が始まってから、すでに4年が経過しているが、その間に死亡したシリア人の数は、25
万人といわれており、何百万人というシリア人が、難民として周辺諸国と、ヨーロッパに逃れている。

サウジアラビアはこれまで、シリア内戦の初期以来、反体制派の主なスポンサーになってきていた。それだけに、成果(アサド体制の打倒)無しには、シリア問題から手を引けない、ということであろう。

シリアの反体制派支援という美名の下に、これだけの犠牲を生んだサウジアラビアには、近い将来同じような運命が、訪れるのではないのか。それを恐れてサウジアラビアは、周辺諸国に手を出しているのであろうか。
Posted by 佐々木 良昭 at 12:23 | この記事のURL