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NO・3162『サウジアラビアで何かが動きだしている』 [2014年04月27日(Sun)]

 最近になって、サウジアラビア国内では意外なことが、続いて起こっている。バンダル情報長官が辞任した。辞任は彼の意思であった、と説明されているが、その後、アメリカの圧力によるものであった、という噂が流れ出している。
 続いて、アブドルアジーズ・ビン・ファハド王子が、国務大臣の職を辞している。これも本人が辞任を希望した結果だ、と説明されている。そして後任にはムハンマド・ビン・サルマン王子が就任した。
 加えて、ファイサル王子が外相のポストから離れる、という情報が反体制派から、流れてきている。彼は長い間サウジアラビアの外交を、牛耳ってきた人物であり、国際的にもよく知られた人物だ。
 そうした動きのなかで、アブドッラー国王の娘が、反体制の声明をビデオで流した。彼女の名はサハルで現在42歳、彼女と妹マハー、ジャワーヘル、ハラの三人は、ジェッダで収監された状態に、あるということだ。彼女らは異母兄弟や、他の男性たちに鞭打たれており、外出は禁じられているし、知人に会うことも、許されていないということだ。
 このサハル王女は、サウジアラビアのアルカテイーフに住む、シェイク・ニムル・アルニムルの信奉者のようだ。彼女はシェイク・ニムル・アルニムルの苦難を嘆いてもいるし、彼の反体制の行動を讃えてもいる。
 一体、何がいまサウジアラビア国内で、起こっているのであろうか。アブドッラー国王は一連の閣僚人事変えについて、閣僚の若返りを進める、と説明しているようだが、必ずしもそうではあるまい。次期国王と目されている、サルマン皇太子の実子が閣僚になったことは、次の王国政府を固めるためなのかもしれない。
 もう一つ考えられることは、イランやシリア対応で、サウジアラビア国王と側近が、アメリカを信頼出来なくなったことに、原因があるかもしれない。これまで長い間、アメリカとの関係を維持してきた、ベテランたちが閣僚の座から離れるということは、サウジアラビアとアメリカとの信頼醸成まで、これから相当の時間がかかるということは、誰にも推測できよう。
 サハル王女の反体制の行動は、アメリカ政府が後押ししている可能性がある。彼女の反体制の第一声は、ニューヨーク・ポストとのインタビューであった。今回のサウジアラビアとアメリカとの亀裂は、サウジアラビアが仕掛けたというよりも、アメリカ側が仕掛けた可能性が、高いのではないか。
Posted by 佐々木 良昭 at 13:18 | この記事のURL