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ASIAGAP/JGAP 日本GAP協会ブログ
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JGAPは植物工場でも導入できるのか?[2013年03月13日(Wed)]
事務局長の武田です。

今日のメルマガのテーマは「JGAPは植物工場でも導入できるのか?」です。

答えから申し上げると、「できる」ということになります。
認証取得に向けて取組中のところが出てきました。
問い合わせも多いですので、これからドンドン増えてくると思います。


植物工場も様々なパターンがあります。
完全人口光型のものもあれば、太陽光利用型というのもあります。
JGAPの基準と照らし合わせて、プラントの種類にあわせて様々なリスクを検討していくことになります。

植物工場でJGAPを実践するにあたり、一般的に考えうる「植物工場 特有のポイント」について簡単にご紹介しておきます。


(1)本当に菌数は少ないのか?

植物工場のメリットとして、閉鎖系なので菌数が少ないため、洗わなくても食べることができるという売り文句があります。

確かに露地栽培よりも、そのような一面はあると思いますが、一方で菌の付着は人由来の部分も多々あります。
植物工場だからと言って、人が収穫し、人が袋詰め作業をやっているケースも多く、人由来の菌付着が少ないという理由づけはしにくいところです。

また、基本的には水耕で栽培しているわけですが、その水の衛生状態は忘れられていることが多いと感じます。
何日も滞留した水で栽培していて、その水で濡れたグローブのまま従業員はフリルレタスの収穫作業をやってませんか?

また「菌数が少ない」と言われているのは一般生菌のことだろうと思いますが、食中毒の原因菌はどうなのか考察すべきです。
これは人由来であることも多い菌ですから、上記の通り「植物工場だから、、」というのは言い難い面があります。

「閉鎖系」の施設のイメージにとらわれず、農業・農産物のプロフェショナルの方々には科学的な検証・アプローチを期待したいところです。


(2)ガラス等の異物混入対策は大丈夫か?

プラントにもよりますが、植物工場にはガラスや硬化樹脂が多く使われているものがあります。
また、光の効率を高めるために、植物体と照明の距離は限りなく近く設計されているのが一般的です。
破損した場合の異物混入対策は十分でしょうか。

栽培エリアは「まさに工場」みたいな感じでも、収穫後の取り扱いはプラントの外で、普通の農場の出荷作業場と同じような状態のところも見ます。

イメージにとらわれることなく、プラントごとの特徴・動線も見極め、農産物への異物混入のリスクをしっかり見極める必要があります。


(3)労働安全上、CO2濃度は大丈夫か?

生産効率を高めるため、CO2濃度をコントロールして光合成を促進しているプラントも多いですね。
CO2は植物の食べ物のようなものですが、一方で人間には高濃度で害を及ぼします。

通常はコンピュータでCO2濃度は自動管理されていますが、もし制御機器が壊れたらどうなるのでしょうか。
中で働いていた従業員が急にバタバタと倒れるようなことになると危険です。

閉鎖系のプラントでは、このあたりの配慮が通常のハウス・施設栽培より求められるところかもしれません。


(4)水耕栽培のほうが、植物はセシウムを吸いやすいという事実

これは、原発事故後の東京大学の研究で、分かったことです。

植物の種類にもよるかもしれません。今後の研究が待たれます。

放射能で土地が汚染されたので、植物工場なら閉鎖系で土を使わないから安全とかいう論調がありますが、イメージに引っ張られて大きな投資の意思決定をしてはいけません。

本来は、栽培に使用する水のセシウム濃度など事前に調べてから進めるべきでしょう。


日本でも10アール当たり50トン以上とれるトマトのプラントも出てきたようです。
オランダ並みにやっとなってきたなという感じです。

植物工場への期待は私も持っていますが、同時にGAP的な視点からの科学的なアプローチが足りないプロジェクトも散見されます。

JGAPは公開されており、無料で使えるオープンなものですから、植物工場という新しい農業現場の品質管理・労安管理でもドンドン使ったらよいと思います。

■JGAP基準書


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Posted by 日本GAP協会 at 07:30 | この記事のURL | コメント(0)
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