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2025年04月13日

いよいよ3本柱が揃いました!

理事コラム
いよいよ3本柱が揃いました!
                                理事 降矢英成

 協会では、基本として「森林セルフケア」という「自分で身近な森でケアする」ことを柱に据えて活動してきましたが、その際に「都市公園の森」をフィールドとして設定し、森林セルフケア体験会や森林セルフケア講座を、具体的には東京では北の丸公園等、名古屋では東山植物園等で行ってきました。
 そして、二年前くらいからは、「伝統文化の森」というテーマを二つ目の柱として、各地の社寺林などの伝統文化の森を味わうことも加え、昨年のフォーラムは京都で鎌田東二京都伝統文化の森推進協議会会長をお迎えして行ったほか、鎌倉の伝統文化の森、東国三社(鹿島神宮、香取神宮、息栖神社)の伝統文化の森などで活動してきました。
 そして、さらに今年から三つめの柱として「里地里山の森」での森林セルフケアを加えていくことに致しました。3つの柱をまとめますと、
1. 都市公園の森
2. 伝統文化の森
3. 里地里山の森
ということになり、幅広い森のフィールドで森林セルフケアを行うことができるようになるものと考えております。里地里山は、 国土のおよそ4割を占めており、今までは通常は里山と言われてきましたが、「里地」という言葉が入ることで、山ではない場所も含まれることになるのが良い点だといえるでしょう。
 前号から、すでに里地里山を巡るさまざまな情報をメルマガにてご紹介が始まっておりますが、今号は東京、富山、大分の里地里山を紹介しました。
 今年のフォーラムは、昨年理事で下見をしてきた藤沢市の里地里山で開催しますので、ぜひご参集下さい。
●10/26(日)藤沢市遠藤地区(湘南台駅からバスで慶応大学前)〜遠藤笹窪谷公園、えびね園、農家レストランなどがある魅力的な里地里山です。
posted by 田川 at 09:24| 役員コラム

世界農業遺産「国東半島・宇佐地域」

●世界農業遺産「国東半島・宇佐地域」
https://www.env.go.jp/nature/satoyama/44_oita/no44-7.html
                             国東半島居住・えぐちまお

 国東半島・宇佐地域は、食料の安定確保を目指す国際組織である、国際連合食糧農業機関(FAO)から、グローバル化や環境悪化並びに人口増加の影響により衰退の途にある伝統的な農業や文化、土地景観の保全と持続的な利用が図られている地域として「世界農業遺産」に認定されています。
 国東半島の地形は、中央部にある両子山系の峰々から放射状に延びた尾根と深い谷から成り、平野部は狭小で、短く急勾配な河川が多数あります。
この半島は、降水量が少ない上に雨水が浸透しやすい火山性の土壌であるため、古くから「水」の確保が困難であった地域です。
重要里地里山に入っている私の居住地の国東市武蔵町吉弘松ヶ迫は、半島のほぼ中心から少し南東に位置し、2022年11月1日にユネスコ(国連教育科学文化機関)により「吉弘楽」を含む、風流踊(ふりゅうおどり)が、無形文化遺産に登録された地でもあります。また世界農業遺産の特徴でもありますが、人々の暮らしが、自然環境の中で、無理なく永続的に人間混みの持続可能(生計維持)でもあるのです。
 この半島一帯では、クヌギを利用した原木しいたけ栽培が伝統的に行われていますが、クヌギは、しいたけの成長に必要な栄養源を供給し、原木しいたけを育みます。クヌギという森林資源が、原木しいたけという食料を産み出すシステムは、耕地が限られたこの地域において、栄養・生活保障の面で大きく貢献しています。
さらに、原木しいたけ栽培が行われることで、クヌギ林の伐採と再生が繰り返され、森林の新陳代謝を促し、水資源のかん養など森林の公益的機能の維持が図られるとともに、里山の良好な環境や景観保全につながっています。
安定的に水田農業を営むうえで必要不可欠なため池群の歴史は、11世紀の開田の時期から始まったと推測されますが、その多くが19世紀の人口増加に伴って整備されました。地形的条件から大規模な「ため池」を築造できなかったため、先人たちは小規模な「ため池」を複数連携させて必要な水量を確保する技術を確立しました。ため池に関する操作や管理を委ねられた「池守(いけもり)」という役割があり、水田の水の受給の平準化と少ない水を効率よく公平に使うための取水管理が行われています。両子山頂から放射状に広がる河川のそれぞれで、このシステムが維持管理されていることが、この地域の水田農業の特徴です。
 クヌギは、伐採しても切り株から萌芽(ほうが)して再生するため、木材資源が循環するという優れた特性を持っています。約15年後に原木しいたけ栽培に適したサイズとなります。成長したクヌギは秋に伐採され、しいたけ生産へ供給されます。下草は、次世代の下草の成長を抑えつつ、ゆっくり分解しながらクヌギの成長を助ける養分となり、さらに、落ち葉やしいたけ栽培で使用を終えた原木も、腐植してミネラル豊富な土となり、膨軟な保水層を形成され、有機物や栄養塩を含んだ湧水となります。この湧水が植物プランクトンや海藻などの栄養源として、水田農業や沿岸漁業などを支えるとともに多様な生態系を育んでいます。
 この地域にはイワギリソウ、コシャクシギ、アカザ、クボハゼ、生きた化石と呼ばれるカブトガニなど沢山のレッドリスト入りした植物や生物が生息し、中でもオオイタサンショウウオは、国際自然保護連合などから絶滅危惧種に指定されています。
posted by 田川 at 09:20| お薦めの里地里山

富山県富山市「呉羽丘陵」

●富山県富山市「呉羽丘陵」
https://www.env.go.jp/nature/satoyama/16_toyama/no16-1.html
                              富山市・薬剤師 西尾茂美

 富山県は、3,000m級の山々が聳える立山連峰から水深1,000mを越える富山湾に至るまで、高低差4,000mという地形を有しており、美しく豊かな自然環境に恵まれ多くの動植物が棲息しています。また、北アルプス山々からは栄養豊富な水が富山平野の7大河川を通して富山湾に流れ込み、この世界的にも稀な地形の湾には、日本海に分布する約800種のうち「富山県のさかな」として選定されたブリ、白エビ、ホタルイカのほか、約500種の魚種が見られ「天然の生簀(いけす)」とも呼ばれています。
 呉羽丘陵は、この富山県の中央に位置し県を東西に二分する丘陵です。全長約22kmにわたる呉羽山断層帯の西側が持ち上がってできた丘陵で、その西側は呉西(ごせい)、東側は呉東(ごとう)と呼ばれ、かつては富山の歴史・文化、風俗の境となってきました。呉羽の地名は大陸から機織りを伝えたという渡来人の呉織(クレハトリ)に由来し、「呉服」からのちに「呉羽」の字が当てられたと言われています。現に呉羽山には姉倉比売神社(アネクラヒメジンジャ)があり、姉倉比売神が機織りの神として祀られ信仰を集めています。
 また、里山の自然の豊かさを感じることのできる呉羽丘陵には、周りに多くの縄文遺跡や古墳、中世の城址、史跡、由緒ある神社仏閣があり、古くから人々の生活の場であったことがわかっています。そのほか、富山の夏の味覚の代表格「呉羽梨」で有名な梨畑が広がり、ファミリーパーク(動物園)、ガラス工房、呉羽山公園展望台(立山あおぐ特等席)などが点在し、現在も市民のみならず県民の憩いの場として親しまれています。
「くれは悠久の森」事業が展開されており、ホクリクサンショウウオ保全プロジェクトやくれは悠久の森フェスタなどの活動がなされており、ファミリーパークで四季を通して行われる自然観察会(里山たんけん隊)で、身近な自然に親しむことができるのも魅力となっています 。
 なお、この呉羽丘陵を南北に歩くことができる「呉羽丘陵フットパス」が整備されています。
https://www.city.toyama.lg.jp/shisei/machizukuri/1010816/1010817/1012305.html

posted by 田川 at 09:16| お薦めの里地里山

お薦めの里地里山

お薦めの里地里山
                               協会理事 降矢英成

 今号では、環境省の「重要里地里山500」に掲載されている里地里山から、東京、富山、大分の3か所について、その土地在住者による紹介記事をご用意しました。https://www.env.go.jp/nature/satoyama/pdf/satoyama_500.pdf

●東京の重要里地里山「横沢入り(よこさわいり)里山保全地域」
https://www.env.go.jp/nature/satoyama/13_tokyo/no13-8.html

 里地里山は、首都圏では神奈川県や横浜市、そして埼玉県のトトロの森や、愛知万博の際に知られるようになった愛知県東部などは豊かでしたが、20年ほど前に東京に設定されたのがこの「横沢入り里山保全地域」です。
 武蔵五日市駅の一つ前の駅である武蔵増戸駅を降りて、線路沿いに歩いて行くと、白萩で知られる名刹・大悲願寺の奥に広がっています。公開当初は設備・施設は何もありませんでしたが、今では入り口に立派な休憩所ができましたので、訪れやすくなりました。
■地域区分:大都市近郊〜東京都「里山保全地域」指定第1号、都内に残る貴重な谷戸
■ アクセス:JR 五日市線武蔵増戸駅から徒歩20分
■主な活動主体:N P O 企業等、連携組織
丘陵地が浸食されてできた複雑な地形を背景に、秋川に繋がる七つの沢や谷底部の中央湿地など多様な環境を有する谷戸であり、希少種を含めた多くの動植物を見ることができます。里山の貴重な動植物を保護するため、この全域が都条例に基づく野生動植物保護地区に指定されています。
現在は、耕作が放棄されていた田んぼを復元し、地元小学校等の環境学習や企業の環境貢献活動等の場として活用されるようになっています。また、地域住民や活動団体、各関係機関など多様な主体が参画する「横沢入里山保全地域運営協議会」を設置し、里山景観や生物多様性の回復・保全に向けた活動を行っています。
主たる活動目標は、都民と協働して、
@ 森林部分は、除間伐などの林業体験を行う。
A 谷戸部分は、自然とのふれあい活動、農業体験活動、環境学習活動などの場として利用する。
B 企業などによる社会貢献活動の場として利用する。
C その他、研究の場などとして活用する。
となっており、これからが楽しみな地域となっています。

posted by 田川 at 09:13| お薦めの里地里山