偶然見つけた癒しの瞑想タイム
森林セルフケアサポーター
田中めぐみ
田中めぐみ
マインドフルネス。今この瞬間に意識を集中し、判断や評価を加えず、自分の心身や物事の状況をあるがままに受け入れられている状態を指す言葉。私が初めてこの言葉を知ったのは、たしかテレビの情報番組でした。番組では、マインドフルネスを作り出すための呼吸による瞑想法が紹介されていました。わかりやすい内容でしたが、室内でのかしこまって行う瞑想法に苦手意識を感じたことを覚えています。
ところが、そんな私が時を経て、マインドフルネスやその効果を簡単に体感できる「ある瞑想法」と出会ったのです。その瞑想法とは、草取り。そう、清掃活動の一環で、あの地味で単調な作業の草取りです。「は?」と思われるかもしれませんが、私にとって、草取りタイムは瞑想タイム。そして、心身のバランスを整えるために必要なセルフケアの時間となっています。
そもそも、この境地に至るには、ある背景がありました。それは今から3年前のことです。病身だった故郷の両親の老々介護生活が成り立たなくなる一大事件が勃発したことがきっかけでした。コロナ禍で遠距離介護は無理だと悟った私は、それまでの生活を強制終了。住み慣れた横浜を離れ、故郷の実家に戻りました。その後、家事や介護、問題対応に追われる日々を送っていたのですが、忙しさのあまり、ひとつだけ見て見ぬふりをしていた問題がありました。それは、家のすぐ隣にある畑のことでした。
所狭しとばかりに四季折々の花、香り、味覚を楽しめる果樹や草花、季節野菜が雑多に育つ実家の畑。祖父から受け継ぎ、40年近く両親が愛情を注いできたその畑は、私にとっても思い入れのある大切な場所でした。しかし、両親が世話できなくなった途端、見る影もなく、100坪ちょっとの畑が一面雑草に覆われてしまったのです。結局、見過ごすことができなくなった私は、多忙な介護や家事の合間を縫いながら、たった一人でコツコツと草取りをするようになったのでした。
単なる作業の草取りタイムが、癒しの瞑想タイムへと変わったのは、草取りが日課となってすぐのことです。目の前の草だけを見ながら、黙々とただ手を動かしているだけで、雑念だらけだった自分が、いつのまにか時間を忘れ、作業だけに集中していることに気付いたのでした。集中している間は、時間に追われる感覚や、それまでかき消すことができなかった嫌な感情から解放され、心が軽くなるのです。試練だらけだったダブル介護中も、懸命の介護や祈りも虚しく母が他界したときでさえも、とてつもない苦悩から遠ざかることができました。また、作業を終えた後には心が静まり、爽快感や達成感も得られるのです。さらに、抱えている問題に対し、冷静に向き合う気持ちまで生まれてくるのでした。負の感情に支配され、気持ちの切り替えが難しく、もがき苦しんでいた当時の私にとって、これらのすべてが偶然の賜物でした。
幸か不幸か、抜いた傍から生えてくる雑草との闘いはエンドレス。そのため、心身の崩壊危機から脱出した今も、草取り生活は継続中です。最近は、衰えていた五感、いや六感も復活してきました。畑の中で、小鳥たちの姿やさえずりに癒され、母が植えた草花から、母の息吹を感じています。昨日の敵は、今日の友。たくましい雑草に励まされることもしばしばあります。そして、去年の春からは、病身の父に代わり、よみがえった畑での野菜づくりにも挑戦。自分で育てた野菜の味覚も堪能しています。
大切な人や土地を守る前に、まずは自分を守ることの大切さをあらためて痛感した3年間。大好きな森でのセルフケアはまだまだお預け状態ですが、その代わり、家の隣の小さな自然の中で、偶然見つけた草取り瞑想を続けながら、今この瞬間を大切な人達と共に元気に生きていきたいと思っています。
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