「ミツバチってどんな生きもの?」
一般社団法人トウヨウミツバチ協会
代表理事 高安和夫
代表理事 高安和夫
前回は、ミツバチと人との関わりや歴史について紹介しました。今月は「ミツバチの生態」についてお話します。まず始めに、ミツバチの家族について紹介しましょう。皆さんも「女王蜂」や「働き蜂」という言葉は聞いたことがあると思います。さて、ここでクイズです。「働き蜂は、男の子でしょうか?女の子でしょうか?それとも両方いますか?」さあ、どうですか?答えは「働き蜂はすべて女の子です。働き者はミツバチの世界も人間の世界も女性です。」(講演会では、皆さんが笑う場面です!)そうすると、もちろん「雄蜂」もいますね。
ミツバチの家族は初夏の最盛期に、大きい群れだと5万匹以上に増えることもあります。その群れに女王蜂は1匹のみ、約95%が働き蜂で、5%程度が雄蜂です。そう聞くと、1匹の女王蜂が5万匹の働き蜂や雄蜂を従えているようですが、必ずしもそうではありません。女王蜂の仕事は卵を産むことです。むしろ群れの意思決定はベテランの働き蜂達の総意で決まります。その証拠に、女王蜂が卵を産めなくなる、またはケガをすると、働き蜂は新しい女王蜂を育てます。やがて新女王が誕生すると旧女王は群れから追い出されてしまいます。残酷なようですが、これが何万年も種を繋いできたミツバチの知恵です。
そうはいっても女王蜂の寿命は2〜3年です。それに比べてハチミツを集めるシーズンの働き蜂の寿命は1ヵ月(冬の間は3〜5カ月)です。そして女王蜂は4〜7月の流蜜期には、毎日2千個の卵を産むと言われています。かなり重労働ですね。女王蜂の食べ物はローヤルゼリーですが、働き蜂が沢山のローヤルゼリーを女王蜂に食べさせて、どんどん卵を産むように指示を与えているとも言われています。また、働き蜂の一生は、卵で3日、幼虫で6日、蛹(サナギ)で12日、合計約3週間で羽化します。その後、巣房の掃除、幼虫への餌やり係り、ローヤルゼリーを出して女王蜂のお世話係り、お腹から蜜蝋を出して巣を作る係り、働き蜂が集めた花蜜を巣房にハチミツとして蓄える係り、そして入口の見張りや空気を入れ替える係りを経験しながら飛ぶ練習をしていきます。やがて羽化して2週間が過ぎた頃から花蜜や花粉を集める係りになります。その後、2週間ほど外勤の仕事をした後、その一生を終えます。つまり5月〜7月(地域により異なります。)の流蜜期には、毎日2000匹のミツバチが生まれて、死んでいくのです。つまり、もし何かの事故で女王蜂が不在になり、2週間以上産卵が止まると、やがて3万匹以上のミツバチが群れから消えて行くことになります。これは群れ消滅の危機ですね!
そこで、もう1つ不思議な蜜蜂の生態を紹介します。女王蜂の産む働き蜂の卵は、全て女王蜂になれる可能性を持っていることです。もう少しく詳しく説明します。働き蜂の幼虫の期間は約6日間ですが、はじめの3日程度はローヤルゼリーとほぼ同じ成分のミルク状の餌が与えられます。その後、花粉とハチミツを混ぜた花粉団子が餌となり急激に体が成長し、働き蜂の蛹となります。ところが、4日目以降も働き蜂達がローヤルゼリーを与えて、王台という女王蜂の蛹となるように巣房を準備していくと、すべての幼虫は女王蜂へと成長していきます。これも群れの女王蜂が不在にならないようにするため、神様から与えられたミツバチの生態の特徴です。
さて、話題を「雄蜂」に移しましょう。雄蜂の仕事は何でしょうか?ズバリ交尾の仕事です。ある大学の研究グループが雄蜂の生態を解明するために、毎日24時間交代で、1週間以上、同じ雄蜂を観察したそうです。すると雄蜂は、働き蜂の運んでくる餌を食べて、一日の大半を巣の中で休んでいるか、寝て過ごすそうです。そんな雄蜂ですが毎日12時を過ぎると活動をはじめるそうです。やがて1時過ぎには巣を飛び出し15時過ぎには戻るそうです。どこに行ったと思いますか?
雄蜂たちは、太陽が午後の時間に傾くと、近隣の雄蜂が集まる交尾場所へと向かいます。そして、未交尾の女王蜂が飛んで来るのを待つのです。そして、見事、交尾に成功した雄蜂は、交尾後、お腹から性器部分が切れ一生を終えます。また、残念ながら交尾できなかった雄蜂は巣にもどり、次の日の交尾時間までゆっくり休むそうです。
「未交尾の女王蜂」という言葉が出てきましたが、ミツバチの生命を繋ぐ特徴として、「分蜂」(巣分かれ)があります。人間や他の哺乳類は、お母さんが赤ちゃんを産んで、やがて成長して大人となり、また同じように結婚し子供を生み、生命を繋いでいきます。ミツバチの世界は様子が違います。ミツバチの世界では、春から夏にかけて(花蜜が溢れる時期)に、群れでは新しい女王が誕生します。その時、お母さん女王蜂は群れを娘の女王蜂に譲り、約半数の群の働き蜂と共に新しい群れを形成し巣から出て行きます。その時、娘の女王蜂は群れを継ぎ産卵の仕事をするため、交尾飛行に出かけます。処女の女王蜂を未交尾の女王蜂と呼びます。未交尾の女王蜂は1度の交尾飛行で15匹ほどの雄蜂と交尾し、その後、巣にもどり産卵を始め、女王蜂としての役割を果たすのです。
今回は、ミツバチの不思議な生態についてご紹介しました。
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