森林セルフケアコーディネーター 小川純子
1枚のハガキが届きました。
私にとって大切な存在である野崎美穂子さんからでした。
2018年7月から9月まで、私はパーキンソン病の患者さんを対象とした某国立大学での介入研究のお手伝いをさせていただいた事があります。私の役割は、週に1回大学の教室で十数名の患者さんに対して決められた運動プログラムを60分おこなうというものでした。
このご縁の数か月前、お世話になった方がお亡くなりになり「偲ぶ会」がおこなわれました。そこで数年ぶりにお会いした亡くなられた方の奥様はまるで別人のような容姿となられていたことに大変驚きショックを受けました。その時伺った病名が「パーキンソン病」でした。始めて聞いた病名でした。ですから介入研究のお誘いがあったときは奥様のお役に立てるような気がしてすぐに承諾し、準備に入りました。
3か月間の介入研究が終わった後は、大学の承諾を得たうえで、ご協力いただいたパーキンソン病の患者さんのコミュニティにて、何回か介入研究でおこなった運動プログラムをおこなわせていただきました。そのコミュニティにいらした方が野崎美穂子さんでした。
美穂子さんは介入研究に参加されてはいませんでしたが、何かと私にとって気になる方でした。
2019年「WPC2019第5回世界パーキンソン病学会議」が国立京都国際会館にて6/4〜6/7の3日間おこなわれました。講演や発表、患者さんが参加できるセッションもかなりたくさんあったようで、私が関わらせていただいたコニュニティーの皆さんも参加されていました。私は参加しなかったのですが、後日コミュニティに伺った際、皆さんのミーティングを見学させていただきいろいろと学ばせていただきました。
その時、ある方がお話されていたことが忘れられずにいるのです。
その方は広い会場の移動が大変だったけれど、一緒に行った娘さんがいくつかの発表を聞いて回ってくれたのだそうです。その中で「身体からのアプローチだけではなく心のアプローチということも大切だということに気がついた」というものでした。
「やっぱりそうなんだ!」私は介入研究に関わらせていただいていた後、運動プログラムは重要ではあるけれど心理的アプローチも有効なのではないかと考えていました。
介入研究の前に、お会いした方が「パーキンソン病」だったとお伝えしましたが、その方に何かお世話になった恩返しがしたくなり、介入研究が終わってから関わらせていただくようになっていました。ご自宅はさほど遠くはなかったのですが車でお迎えに伺い、私の自宅にいらしていただいて我が家の愛犬2匹とひとしきり遊んでいただいてから介入研究の運動プログラムをおこない、ちょっとだけ別の先生から学んだ筋膜へのアプローチもさせていただいて、ご自宅へお送りすることを約1年間続けさせていただきました。月2回くらいのペースでしたが、そのうち、パーマをかけたりお化粧もされたり、お嬢さんとお出かけされたお話も伺えるようになりました。
更に、我が家は二世帯住宅の二階で外階段をつかわなくてはならなかったのですが、だんだん手すりを使って二階へ上がるスピードが速くなってきていることに気がつき、そのうち「ネージュちゃん、待っていてね」と我が家の愛犬の名前を呼びながらスタスタ上がっていかれる後ろ姿をみるようにもなりました。更に、後部座席からご自分で降りて「先に上がっていってもいいかしら」とひとりで外階段を上がっていかれるようにもなりました。ご本人からも重症度が軽症といわれるようになったと伺い、確かに容姿もかわってきていて動きも変わってきていると私も感じるようになりました。
心理的アプローチが有効なのではないかと考えた理由は、この方の場合、ご主人が亡くなる以前に愛犬を亡くしていて「あの時はペットロスだったのかもしれない。でも主人のほうが辛かったみたいで二度とこんな悲しい思いはしたくないからと、絶対に犬は飼うなといわれてしまっていたの」と伺っていたので、我が家の愛犬と遊んでもらうことにしました。それから、かなりご主人がワンマンな方でしたから、亡くなられたことによる心理的な変化もあるのかなとも、専門家では無いのでそのようにも考えていました。ですから、きちんと専門家から心理的アプローチの方法を学びたいとも考えていました。
私の中で森林セルフケアとして心理的アプローチを理解しおこなえるようになりたかった理由のひとつはここにもありました。
私にハガキを送ってくださった野崎美穂子さんは、PD(パーキンソン病)コミュニティの「卓球の会」の主催者でした。
私は美穂子さんと出会ってからは、「運動プログラムを教えるひと」から一緒に卓球をするひと、卓球の会場設定を手伝うひと、卓球の球を拾い集めるひとになりました。いろいろと理由はありますが一番はそのほうが楽しかったからです。
一応ボランティアとして参加させていただくことにしました。
休憩の時間は皆さんとのお喋りも楽しかったし、特に球ひろいをしながら、皆さんが真剣にプレイしている姿を観ていることが好きでした。
練習が終わった後は、ランチをしたり、人生の大先輩の美穂子さんに家族のことを相談したりと支えてもらいながら、私は何ができるかなといつも考えていました。
できることなら、森林セルフケアコーディネーターとしてお役に立ちたいと奥底では思いながらも「今の私ではまだ無理だな、まだ、確信がもてない」だからこそ、森林療法協会のレベルアップ講座も全講座参加しています。次回5/21(日)の心理療法家によるレベルアップ講座実地編はかなり楽しみにしております。
最後に、美穂子さんは東北大学教育学部教育社会学科を卒業され、地方公務員として児童館、学童保育、公園の現場で40年働いていらした方です。4年程前から「PDの森から」という会報誌を自ら編集長として毎月執筆もされ、郵送希望の会員には封筒に入れ切手を貼りご主人の運転される車に乗り、郵便局まで届けにいかれています。(1度青梅市の山の中にある素敵なご自宅にて切手貼りのお手伝いをさせていただきました。美穂子さんにとっては大変な作業であったことを知っています)美穂子さんの著書もご紹介させていただきます。
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(お葉書等の掲載はご本人の許可を得ております)
posted by
Yu SEKI at 18:53|
(カテゴリーなし)