「区民ボランティア体験会」
森林セルフケアコーディネーター
小川純子
今私は、身近にあった「みどり」が気になって仕方がありません。
前回ご紹介した「一般財団法人世田谷トラストまちづくり」という財団との出会いがきっかけとなっています。
世田谷区内にある、市民緑地(都市に残された民有地のみどりを保全し、地域に憩いの場を提供することを目的とした都市緑地法によって定められた制度であり、財団が土地所有者と契約を結び一般公開している)や、自然体験や環境保全を目的とした公園緑地(財団と区民ボランティア協働で運営を進めている)、「みどり」でつながる「地域のつながり」に今とても惹かれています。
今回は、「岡本静嘉堂緑地バッタ広場」ボランティア体験会に参加してきました。
場所は国分寺崖線の一画にある広大な緑地です。そこには岡本公園・岡本公園民家園・静嘉堂文庫美術館もあります。
その西端の一部を世田谷区が岡本静嘉堂緑地バッタ広場として公開し、財団の岡本緑地ボランティアが管理しているのだそうです。
我が家からは自転車で20分程のところにありました。
体験会の日は晴天で心地の良い日となりました。岡本というところは坂道が多いところで自転車ではちょっと息があがることもありましたが、丁度いい有酸素運動となり、体験会に向けてのウオーミングアップとなりました。
集合場所では女性の担当職員の方が待っていてくださり、私を含め女性3名が本日の体験参加者だと紹介されました。ここ数年、地域でのいろいろな活動を経験させていただいていますが、私が興味をもって参加する場では大概私が一番年下となっていました。
ここでもそのようでした。
「本日の体験会の目的はまず、自然観察や作業を通してここにある自然環境を身近に感じていただきたいのです。そして楽しんでもらいたいのです。」この担当職員の言葉を聞いて、何となく私にとって居心地のいい場所になるかも。
そんな予感を感じながら体験会がスタートしました。
一般に開放されている岡本静嘉堂緑地バッタ広場はさほど広くはないのですが、区内ではなかなか見かけなくなったジュズダマやホタルブクロやシロバナタンポポが自生しています。と説明を受けてすぐ「あっ、咲いていますね。」
シロバナタンポポ、初めて観ました。
いくつかの植物の説明と、調査活動をされている方々にご挨拶をしながら本日の作業場となる場所へ移動していきました。
そこは、フェンスに囲まれていて一般には開放されていない緑地の一部だという場所でした。
以前は緑地内の緑道は全て開放されていたようなのですが、こちらを管理運営するボランティアが少ないという事と立地的な問題から安全な緑道を維持しきれないという判断で閉鎖され放置されているのだそうです。今は入り口付近のみでの保全活動と調査活動をしているとのことでした。本日の作業はここに溜まった落ち葉をかき集め堆肥をつくるスペースに運ぶというものでした。
熊手をお借りして、作業を始めると土がみえてきて、どんぐりがコロコロと現れ、あちらこちらに木の芽が出始めていました。「これはシラカシですね」葉を触っていた私に気がついた担当職員の方が教えてくれました。
「これは私もわかりました!」(私の心の声)
そして、地上に出ていた竹の根を指さして、「このふくらみがタケノコになるのですよ、でも落ち葉の下で地上にでてしまったからこの芽は大きくなれませんね。この土の中ではタケノコがぐんぐん育っています。こちらにはタケノコ掘りの名人もいますから一緒に体験もできます」
「ということは、ここのボランティアになったらタケノコ掘りができるということ?テレビで観たタケノコのお刺身が食べられるということ?」(私の心の声)
などと勝手に連想しながらまた作業に戻りました。
ご縁がもてた方々との休憩の時間のお喋りは私の楽しみのひとつです。
私以外の体験者の方々や参加されていたボランティアの方々はほとんどがこの地域周辺にお住まいでした。私の住所をお伝えすると「あんな遠くから自転車できたの?」と驚いていました。一言で「世田谷」といっても地域ごとに本当に風景が変わります。私には自転車20分の距離でも田園都市線4駅分ですから、改めて世田谷の広さを感じることができました。
気がつくと担当職員の方の姿が見えなくなりました。
「あれ、いない。まあいいか。」(私の心の声)
すると、「小川さん、これ何かわかりますか?」と背後から担当職員の方に声をかけられ、振返ると手のひらに黒いものがのっていました。「貝?タニシ?」(私)
「これカワニナという巻貝なのです。ホタルの餌になるのですよ。以前は民家園でホタルが飼育されていたのですけど、管理運営ができなくなって止めてしまいました。この緑地に沿った丸子川には餌となるカワニナはたくさん生息しているのですけど、この地の自然環境ではホタルは生息できなくなってしまっているので残念なのです。」
「一番の問題は何なのですか?」(私)
「はい、いくつか条件はありますが、一番は夜の街頭や住宅からの光なのですよね。これは、どうにもならないですから。」確かにこの緑地に沿って川が流れ、対岸は住宅が立ち並んでいます。「人の側からは便利な光だけど、ホタルには迷惑な光ということだよね。」当たり前のことなのに、全然意識したことがありませんでした。つくづく自然からの視点というものが私には欠落していたのだと、こういうちょっとした会話の中から気づかせていただいています。
あっという間のボランティア体験会を終え、担当職員の方から
「月2回の活動ですが、いらっしゃれる時に来ていただければ結構です。もしか、ご登録いただける方はいらっしゃいますか。」
即「私登録します!皆さんと一緒に作業ができたことが楽しかったから。」と手をあげたら、「私も楽しかったわ、登録します!」「じゃあ、私もお仲間に入れていただきます!」私を含め本日の参加者全員、岡本緑地ボランティアになりました!
帰り際に、担当職員の方と地域の緑地について個人的にお話を伺っていたら、「小川さんは町会の理事をされていますよね、実は私の母も小川さんが所属されている町会の理事なのです。あそこの町会は理事がたくさんいらっしゃるからご存じないかもしれませんが。」改めて苗字とお名前を伺い、こういう繋がりもあるのだなと、二人で笑ってしまいました。
またひとつ、私の居場所ができました!