理事コラム「伝統・文化の森 〜神道や密教と自然・森」
理事 降矢英成
おかげさまで、協会の最大のイベント「森林セルフケアフォーラム」を「森林ミツバチセラピー」をテーマに行うことができました。
ミツバチの蜜源として、トチノキ、アカシアなど「樹木の花」が欠かせないことは知っていましたが、トウヨウミツバチ協会の高安氏のお話から多くのことを学ぶ機会となりました。
蜜を集める可愛らしいミツバチを眺めるストレスケアとしてから、障がい者施設の作業療法まで幅広く活用されているのは素晴らしいことだと改めて感じました。
さて、日本は森林の国ですので、日本人の生活の基盤に森林・自然が関わっており、日本人の基盤となる神道も森・自然が欠かせない要素となっています。
天照大神をはじめとする太陽信仰がその中心ではありますが、さらには磐座(いわくら)信仰が数多くあり、お山がご神体になっていることなどから自然や森が信仰の対象にもなってきました。
最も古いとされる大和の大神神社は三輪山がご神体であり、伊勢神宮も豊かな森の境内の中にありますし、春日大社は御笠山の原始林を遥拝する習わしがあります。
一方では、日本人の精神に深く影響してきたのが仏教ですが、平安時代に最澄が比叡山、空海が高野山に、それぞれ天台密教と真言密教の聖地を拓きました。
最澄は形骸化しつつあった奈良の都の既存仏教を批判し、自然の中の比叡山では究極的な修行として、まさに自然・森と一体化する百日や千日の回峰行があります。
空海は18歳で儒教などを学ぶ奈良の都の大学に入ったところ、ある僧より「求聞持法」という密教の行法を教えてもらい、自然の中での修行に中心を置くように変わったそうです。
とうとう出世のための大学を中退して、遣唐使に入る前の空白の7〜8年間は、吉野や熊野の山岳地帯や自らの生まれた四国の自然の中で真理を追究していたといわれます。
このようなことも踏まえて、協会の活動の一つの柱として「伝統・文化の森」というテーマを掲げていくことになっておりますので、ぜひ今後の各地での活動にご期待ください!