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2022年05月12日

連載コラムBachの森歩き@「『シェアリング』2017年〜2022年」

「シェアリング」2017年〜2022年


森林セルフケアコーディネーター
小川 純子


 
原田理事長とのやりとりから、今回からコラムを書かせていただくことになりました。「シェアリング」というテーマをいただき書き始めたことは、ここ数年、ただ前だけ観ながら突き進んできたな、と振り返るきっかけとなりました。ちなみにBachはドイツ語で小川を意味します。私が森から感じたことをシェアしていかれたら嬉しいです。お付き合いください。

2017年、森林セルフケアフォーラム2017in東京 に参加させて頂いたことがこちらの協会とのご縁の始まりでした。数年前、いろいろな経験を積み重ねているときに突然「もういいよね。自分のために生きてもいいよね」こんな思いが当時の私に湧き上がってきました。保管していたファイルの中から、「フォーラム当日自己紹介掲示板に張り出します」と書かれた自己紹介カードが出てきました。

そのカードには「私はいろいろな意味で断ち切る生き方をあえて選んでいました。繋がることに抵抗していたように思います。しかし、今はどれだけ自分がその繋がりを欲していたのか。繋がりがどれだけ幸せかを感じ始めました。更に前に進み、一つ一つ理解し納得したいという思いが日を追うごとに強まっています。その中の一つが自然との繋がりです。このイベントを知った際、すぐに申し込みました。とても楽しみにしてました。本日はよろしくお願いします。」と記載していました。

あの時はこういう思いで参加していたんだと懐かしく感じました。ただ手元にこの用紙があるということは提出しなかったのかもしれません。その辺はよく覚えていないのですが。
当時はこういった場もあるのだと心地よさを感じはしましたが人に伝えたいという感覚には程遠いというのが正直な気持ちでした。しかし、協会とは繋がっていたかったため会員となり、その後「森林セルフケアサポーター」となりました。

コロナ禍の2021年より活動し始め、2022年4月「森林セルフケアコーディネーター」となりました。2017年から2021年の間は、協会の理事でもいらっしゃる降矢英成先生のクリニックと連携している「ホリスティックヘルス情報室」にて「樹木講座」(森林ソムリエ講座)を繰り返し受講していました。森や樹木を知ることで、知らなかった世界=自然と繋がる入り口にしたかったのかも知れません。

*里山の樹木(4〜5月)
*奥山の樹木(9月)
*針葉樹編(11月月〜12月)
*常緑樹編(2〜3月)

林 将之 著「葉で見わける樹木」という本をテキストとして使い、年4回テーマに沿った樹木について降矢先生から学び、その後施設内を散策する講座でした。樹木の観察や感触、香りを楽しむ時間はとても楽しい時間でした。ただ、本当に樹木を学び覚えたいと勉強しはじめたのは今年に入ってからです。それまでは、降矢先生と他の受講生の方々と一緒に都内の森林公園を歩くことが楽しくて参加していたところは否めません。

今は、日本森林療法協会を通じてもともと自然が好きだという方々と関わらせていただいています。知らなかった世界を身近に感じられるようになってきた今、自分の世界が広がってきている気がします。

最後に、私の好きな樹木をお伝えさせてください。私が好きな樹木はいくつかありますがその中でもやっぱり好きだなと感じる樹木。それは「メタセコイア(あけぼのすぎ)」です。 まっすぐに伸びる姿が好きな理由です。

「わが国のたちなほり来し年々にあけぼのすぎの木はのびにけり」昭和62年、昭和天皇が歌会始でお詠みになった御製。戦後の荒廃から立ち直り、高度経済成長を遂げた日本を、あけぼのすぎに例えてうたわれた。皇居吹上御苑には米国の古生物学者・チェイニー博士から昭和天皇に献上されたメタセコイアが植えられている。        (産経新聞より)

あけぼのすぎを見習って、まっすぐに伸びていきたいと願う私です。


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★次回のイベントにご参加されませんか?イベント情報はホームページをご参照ください!
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posted by Yu SEKI at 22:37| サポーターコラム

2022年01月20日

集中講座@神流町について

森林セルフケアサポーター
渡辺 充代



群馬県多野郡神流町は、群馬県の南西部、埼玉県境にある人口およそ1,700人、世帯数およそ930世帯の小さな町です。
町の中央には清流・神流川が流れ、周囲は1,000m級の山々が連なります。町の面積(11,460ha)のおよそ90%を森林が占めています。360度、どこを見ても、森や林が目に入る、なんとも贅沢な町です。

A:町の風景.jpg


神流町では、平成29年度から豊富な森林資源を生かした産業振興で神流町の持続的発展を目指す「神流町林業再生プロジェクト」として5つのプロジェクトに取り組んできました。そのうちの一つ、「森林空間の新たな活用部会」では、

○丁寧に手入れをした森や林の中に、ゆったりと心地よい時間を過ごせる場所を作る
○「森林空間」でココロとカラダを心地よく癒すための体験プログラムを提供する
○体験プログラムを通じて、森林をより身近なものと感じてもらえるよう働きかける
などを目指し、まずは活動フィールドとなる町有林の森林整備を進めてきました。

今後、「ココロとカラダを整える森林空間」として神流町の森林を活用するには、どのような活動を、どう実践したらよいか検討をした中で、まずは私たちが森林の中でココロとカラダを整える活動をしてみよう、自分自身でケアする体験をしてみようと、日本森林療法協会のセルフケア体験会にたどりつき、2021年3月に神流町でセルフケア体験会を開催することができました。

体験会には、神流町内の観光や森林・林業の関係者、役場職員のほか、一般参加の方も含め、町内外からおよそ40人の参加がありました。神流町の贅沢な森林空間でゆったり、楽しくくつろぎ、セルフケアでココロとカラダが心地よく癒されることを実感しました。何より、地元にとっては何でもない、普通の生活の場が、誰かを癒し、喜んでいただける特別な空間になることに、少なからず驚きを感じました。

そこで神流町の農泊推進をしている方や役場担当者にも参加いただき、農泊推進の事業の一つとして応援していただけることになり、2021年9月25日に森林セルフケア講座(室内編)、10月16日に森林セルフケア講座(実地編)、2021年10月17日に森林セルフケア体験会と森林セルフケア支援研修を開催することができました。3日間を通じ12名が参加し、現在までに5名のセルフケアサポーターが誕生しています。

B:コラージュ写真.png


私自身は、森林や林業、環境の仕事に携わっています。森林セルフケアで森林や林業のことを知っていただきながら、セルフケアサポーターとしての経験を積み、いずれ森林セルフケアコーディネーターとして、神流町で、疲れたココロやカラダを癒していただく体験会や講座を開催できるようになりたいと思い、受講しました。しかし今年度は4月から異動で職場が変わり、毎月60時間を超える時間外勤務が続く中、ココロもカラダも脳みそも、とってもヘトヘトな状態での受講となりました。

最初はしっかり研修内容が頭に入るだろうか…と不安もありましたが、小雨模様で霧のかかる中の実地研修では、神流川の流れる水音を聴きながらの深い呼吸や瞑想で、自分自身がフッと軽くなることを体感することができました。講座の中での何気ない言葉、さりげないサポートで、いくつもの気づきもいただけました。また、これから神流町で活動をしていこうと集まった仲間との支援研修では、これから実施したいプログラムがいくつも提案され、今後の活動が大変楽しみなものとなりました。

町内在住の方からは、神流町の森林といっても、日常すぎて何がどう良いのか、その良さがよく分からない、目の前の森林空間が当たり前すぎて、実感がわかない、といった声も聞かれました。町内在住ではない私からすると、神流町の360度、見渡す限り森や林が続くパノラマ景観や、川・鳥・動物などの音、風や水の感触、土や木や花の匂いなど、五感を刺激するすべてのものが、すぐ手の届くところにある、というところが特別なことだと思います。

そして、これを少しでも多くの方に知っていただきたいし、特別であることを、何よりも神流町の皆さんにもぜひ知っていただきたい、と強く感じました。

今後は神流町の豊かな森林で、心地よく、ココロとカラダをゆるませ、くつろぎ、心地よい感覚を味わっていただく、神流町の森や林での活動だけでなく、食や暮らし、文化、そして神流町の基幹産業である林業にも触れていただく機会をプラスして、自分自身の中に眠る五感、本能、身体感覚を取り戻していただく場を提供したいと考えています。

具体的には、神流町有林やキャンプ場など、普段から整備や管理をしている森林を活用した『ココロとカラダとゆるめるセルフケア体験』と、スギやヒノキの伐採作業の見学、薪割り、木工など、林業・木材と触れ合う『山の仕事体験』などのプログラムの開発を進めます。

神流町の「豊かな森林」と、そこからいただく様々な「森の恵み」を通じ、たくさんのみなさんにココロとカラダを元気にしていただけるよう、神流町セルフケアサポーター第1期生を中心に活動を拡げていこうと考えています。

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posted by Yu SEKI at 07:51| サポーターコラム

森林セルフケア集中講座に参加して

森林セルフケアサポーター
狩野真美江


2021年9月25日、10月16、17日の3日間に渡って森林セルフケア集中講座に参加させていただきました。場所は群馬県神流町。町全体が濃い緑の山々に囲まれ、清らかな神流川が流れる美しい町です。

A.jpg


実は、2年ほど前から仕事で神流町を訪れる機会がたびたびあり、その自然の美しさ、山の迫力には心惹かれるものがありました。その神流町で森林療法を取り入れた取組みを行うと聞いて、是非自分も関わりたいと思ったのが今回の集中講座参加のきっかけです。

神流町では森林空間活用の部会を立ち上げ、森林セルフケアサポーターをはじめとした人材を育成する予定であると聞きました。それならば私も!と手を挙げた訳ですが、実のところ、緑豊かな森林の中で自分が癒されたかったというのが一番の理由かもしれません。

集中講座では、室内編・実地編・森林セルフケア体験会・森林セルフケア支援研修と、まるまる3日間に渡ってたっぷりと森林に触れることができました。森林の効果について学び、癒され、人間にとって自然がどれだけ必要であるかを体感することができました。

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時折小雨が混じる中、大樹の根元にシートを敷いて寝転び上を見上げてみる。こんな経験、大人になってからしたことはなかったなぁ…でも、自分が地球の一部になっている気がする。上からそっと見守る木々に、日ごろの悩みも聞いてもらえるんじゃないかな?そんなことを考えながら、何もしない一人の時間を過ごせたのも大きな収穫でした。

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神流川のせせらぎを聞きながら自分の中に湧き上がる邪念を石ころと一緒に水面に投げ捨てたり、小鳥達の会話に耳を澄ませたり…すべてが非日常であり、心が浄化されていくのを感じました。
こんな素敵な体験、誰かに教えたい!そう思いました。

最終日のセルフケア支援研修では、参加者全員が他者のセルフケア支援のためのプランを作成し、発表しました。なるほど!というような素晴らしいアイディアがたくさん出ました。参加者によって感じ方も見方も違っていて、本当に興味深く有意義な発表会でした。

神流町には豊かな自然だけでなく、体験できるプログラムもたくさんあり、組み合わせ次第で多くのプランが立てられると感じました。コロナの時代だからこそ、自然の中でおこなえる森林療法は町にとっても大きな強みだと思います。より多くの人に森林セルフケアを体験してもらえるよう、これからもみなさんと一緒に考えていきたいと思います。


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posted by Yu SEKI at 07:47| サポーターコラム

2021年05月16日

森林セルフケアサポーターコラムvol.13『海だけじゃない!湘南の森でひと息を』


海だけじゃない!湘南の森でひと息を


森林セルフケアサポーター
星野 央



皆さま、はじめまして!森林セルフケアサポーターの星野央です。昨年の秋から、念願の森林セルフケアの企画を始めました。

私が企画を行なっている場所は、私の地元である神奈川県平塚市と大磯町にまたがる高麗山(こまやま)、通称「湘南平」です。湘南と聞くと海のイメージが強いと思いますが、湘南平は樹木、草本ともに様々な種類の植物がみられるのが特徴で、日本森林インストラクター協会の「日本の森100」にも選ばれています。頂上からは相模湾を一望することができ、森と海の景色を一度に楽しめる点も大きな魅力です。

現在はコロナ禍ということもあり企画は広くアナウンスはせず、人数を制限した上で知人・友人向けに開催しています。

森のサンゴ礁(!?)から始まる森林さんぽ
林内に向かって歩き出すとすぐ、主に温暖な森に見られ、潮風にも強いといわれる「サンゴジュ」が出迎えてくれるので、必ず紹介しています。ダニの巣である「ダニ室」も観察できて、木と生き物の繋がりも感じてもらうことができます。

A (1).jpgB (1).jpg

ダニ室が観察できるサンゴジュの葉と、夏〜秋にみられる美しい珊瑚色の実

 
林内に入ると木々に囲まれた広場があるため、まずはそこでゆったりと深呼吸をしたり、森の中の音に耳を傾けます。そして、歩きながら季節ごとの植物を観察したり、五感を使うゲームを交えたりしつつ、最後にまた同じ広場に戻って来ます。戻って来る頃には、「木が『おかえりー』と言っている感じがする!」など、自然との距離が縮まった感覚を伝えてくれる方も多く、嬉しい瞬間です。

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4月はアヤメの仲間「シャガ」が随所でみられます



「気軽」で「くつろげる」森体験を
行程の最後に、この広場で「森カフェ時間」を設けています。あまり自然の中に行ったことがない方にも、心持ちも服装も普段着で来ていただける内容を心がけたいと思っているため、企画の際はこのお茶の時間をとても大切にしています。これが思いのほか好評で、「こんな森の楽しみ方があるんだ!」と言ってもらえます。お茶をしながら、森の中で感じたことや、プログラムの感想などを伺っています。ささやかでも「おもてなし」を意識することで、ふらっとカフェに行くように自然と「また森に来たいなぁ〜」と思ってもらえたら…と考えています。

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E (1).jpg


森の中のカフェ時間は心安らぐ贅沢なひと時



最後に、相模湾の景色を見て終了します。これが、ちょっとやそっとのことはどうでも良くなってしまうような絶景で、ぜひ一度見ていただきたい、私も大好きな景色です。

F (1).jpg


その景色はまるで日本のホノルル!(友人談)



ライバルはス○バ!?森はあなたのサードプレイス!
リフレッシュやストレス発散には、自然の中に行くこと以外にも色々な方法がありますが、森へ行くことを特別な体験にせず、お買い物や、カフェに行ったりすることと同じように、沢山の人にとって「いつもの選択肢の一つ」にしてもらえたら、と考えています。
先日森を案内した際に、こんな嬉しい感想をいただきました。

・「朝は帰ったら寝ようと思っていたのに、なんだかやる気が出てきて、放置していた家事などに手をつけることができてとても気持ちがいいです!」
・「心の換気ができたような感じで、ただ物理的に家を離れて自分の時間を持っただけの時にはないリフレッシュ感があります」

先ほども書いたように、森を、ちょっとお茶するのと同じような感覚で、気分をリセットしたり自分を元気にできる「サードプレイス(*自宅や職場とは異なる心地よい第3の居場所)」の一つにしてもらえると良いなぁ、と最近は思っています。

また、「湘南=海のイメージで、こんなに素敵な森があるとは知らなかった。『湘南は海だけじゃないよ!』ということをもっと知ってもらいたい!」という感想もいただきました。
平塚をはじめ湘南地域には、自然だけでなく農産物やご当地グルメ、素敵なカフェや飲食店など魅力がたくさんあるので、将来は森林浴の企画と絡めながら、地元の魅力を発信できるようになれたらと考えています。

コロナ禍が落ち着きましたら、皆さまもぜひ「海だけじゃない!湘南」に、足をお運びいただけたら嬉しいです!!



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posted by Yu SEKI at 17:53| サポーターコラム

2021年04月12日

森林セルフケアサポーターコラムvol.12『季節ごとの森の楽しみ方』


季節ごとの森の楽しみ方



森林セルフケアサポーター
長澤 京子



宮城に移住してから、関西と比べて冬が2か月長いと感じています。冬の間は森に行けないと思っていたら、夫の職場「エコラの森」でのイベントが河北新報で紹介されました。

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遊びを通して自然に親しむイベント「親子もり歩き」で、かんじきを履いて、深い森に分け入り、事前にイタヤカエデに穴を開けて樹液を集めていたタンクを雪から掘り出して、樹液を舐めたり、煮詰めてメープルシロップをつくったりして楽しみました。約6リットルの樹液が回収されましたが、子どもたちは、かんじきを履いて雪の中を歩く方が楽しかったようです。

冬の森の楽しみ方
滋賀県で琵琶湖博物館に勤務していた頃は、冬でも活動がありました。高島市朽木にある「くつきの森」では、冬のフィールドで「冬芽の観察」をしました。参考資料の福音館書店から出ている『かがくのとも傑作集』に、長新太著『ふゆめがっしょうだん』という本があります。

B.jpgC.jpg


この本を資料にして、森で動物の顔の形をした木の芽を探しました。
また、冬は広葉樹が葉を落とし、木々が裸になるので、野鳥の観察の時季でもあります。宮城県の伊豆沼は渡り鳥の「マガン」の8割が飛来してくるそうです。

冬の渡り鳥は、昼間、イネの刈り取られた田んぼで餌を探し、夜は凍らない沼や湖で眠ります。凍ると陸伝いに、キツネなどに狙われるからです。
伊豆沼の夕方に見る「マガンのねぐら入り」は、圧巻です。日が暮れる前に群れをなして、次々と沼にマガンがかえってくるのです。

写真は、伊豆沼の隣、長沼で野鳥の飛来について研究するために餌付けされたマガンです。沼の周辺ではバズーカ砲のようなカメラを構えたバードウォッチャーがずらりと並びます。双眼鏡の使い方を説明して野鳥の観察を行いました。

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野鳥がシベリアへ帰る、北帰行が始まると、もうすぐ春です。


春の森の楽しみ方
北国の春は一斉に花が咲くイメージです。 春の森では山菜や野草を摘みながら植物観察会をするのがメインになります。
摘草料理の講習前に森歩きをしますが、毒草の説明をして、さらに野草や山菜を摘む時のマナーを実際に歩きながら、説明します。
毒草かどうか自信がないときは摘まずに、食べられると確信があるものだけ摘む。
食べる分だけ摘んで根こそぎ採らない等々。

また、「フキノトウ」は重曹であく抜きをして、塩漬けにして保存しておくと、春が過ぎて夏頃まで、天ぷらで楽しめます。他にも、土筆はあく抜きをして、麺つゆに漬けておき、納豆を食べるときに入れて食べたりします。

E.jpg


上の写真は、一昨年の4月中旬、摘草料理で天ぷらにした野草です。
左上から、ヒメジオン・蓬・ドクダミ・ヤブツバキの花
左下 カキドオシ・シロツメクサ・タンポポの花・スギナ

夏はキハダ剥ぎ、秋は紅葉を楽しみながらのノルディックウォーキングと季節ごとの愉しみ方があります。大事なのは、メニューの中から体験したいことを選んでもらうことかな? 年齢層でも体験したいことは変わるので、一律にせず、森歩きの前に体験メニューについては、ネイチャークラフトや森林ヨガ、摘草料理など、いくつか提示して、その中から選んでもらうようにしています。
この冬は、嫌というほど雪が降りましたが、仙台では梅の便りも聞かれ、ようやく春が
やってきました。季節に共通して楽しんでいただけるのが、温泉温泉でしょうか。

冬は雪見温泉、夏は森歩きのあと汗を流すことができます。さぁ、本格的な森林セルフケアの季節になりました。森歩きを楽しみましょう!


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posted by Yu SEKI at 15:06| サポーターコラム

2021年03月13日

森林セルフケアサポーターコラムvol.11『「自分の自然」を取り戻す5つのヒント』


「自分の自然」を取り戻す5つのヒント


赤居 実花



こんにちは。
和歌山で、自然療法家としてお仕事をしています、赤居実花です。
高野山の森では、月に1回のペースで森林セルフケアも実施しています。

新しいウイルスさんが流行りだし、免疫力を上げるため「今こそ森へ!」と、高らかに叫んでいたのに、森まで閉鎖され、外に出ることもままならない日々が続きました。

免疫力を上げて、健康や元気を保つには、自分の体が「自然であること」が重要なポイント。
外に出る機会が少なかった1年で、自分の自然度合いが低くなっているかもしれません。
ここらでちょっと、「自分の自然度合い」を見直してみませんか?

1:森と人.jpg


●自粛期間に感じたこと
 
昨年の春に自粛がスタートした時、お店のレトルト食品に缶詰などの棚は空っぽで、
野菜は山盛り残っている状態でした。
外出を控えるので、保存がきく物をストックするのは仕方がないのですが、ずっと、レトルトや加工食品を食べるのかな?と、私の中で違う方面の危機感が湧いてきました。
そして、少し外に出ることができるようになっても、身の回りの殺菌は、神経質に行われています。
体の中も外からも、他の生き物を遮断するような状態が続くと、人間はどうなるか?

ズバリ!弱っちくなります。

私たちの親しむ森は、なぜ人間にとって良いのか?
それは、木々の出すフィトンチッドが、ストレスを軽減さす物質だから…だけではなく、自然のものに触れることが、人間にとって、バランスを整えてくれるからです…よね?
色々な生き物とは、動物だけでなく、木や草や自然の水、土に、土の中にいる微生物も、
森に行くと何万種類という生き物に「触れる」ことができるのです。
まあ、その森にも入ってはならない!という期間がありました。

外に出ないことで、運動不足も大きな問題です。
あれ?もしかして、健康で元気な人も、どんどん弱っちくなっていかないか???

2:ぐったりリス.jpg



●人間だから

人間は、自然の生き物です。
いや、私は、人工的に作られたアンドロイドなんで!という方は、当てはまらないのですが。
生身の、自然な生き物である、私たちは「自然」から離れると、不調になり、病気になり、最悪は、死に至るなんてこともあり得ます。

極端な話をしましょう、想像して見てください。
コンクリートの太陽光が入らない部屋で、一人、誰とも喋らず、外の音も聞こえません。
食べ物は、人口の栄養液を壁の穴から注がれる。酸素は十分あっても、これで、人間は何日ぐらい、不調にならずにいてられるでしょうか?

こんな極端な環境は、なかなか体験しませんが、これに近い「自然に触れない」という状況は、
皆さんの日常に増えつつありませんか?
この「自然不足」は、少しづつゆっくりと、心と体のバランスを崩していきます。
少しづつだから、なかなか気づかないことがポイントです。

だから、森に行きましょう!!なのですが、なかなか思うように外に出れず、自由に活動することができないときはどうすればいいのか?
日常で自分の「自然度合い」を上げるヒントをお伝えします。

3:空と雲.jpg



●自分の「自然度合い」を上げる5つのヒント

1. どんなときも、五感を使う
「見る・聞く・嗅ぐ・食べる・触れる」これを日常的に意識すること。
特に大切なのが、「自然の〜を」が頭につきます。
外に出られなくても、窓を開けて、自然の音を聞きましょう。
外の景色を眺め、庭の草花を触って見る。(プランターでも)野菜を育てると、一石二鳥!
食べる時は、ながら食べ(何かをしながら)でなく、食べることに集中する。そして、五感を使って食べる。
日々の五感の使い方、どんなことができるかな?と考えるのもいいですね。
キャッチフレーズは、「自然にタッチ!」
毎日必ず1回は、目で、鼻で、耳で、口で、手で、自然にタッチしてください。

2. 外に出る
家の庭に出る。家の周りや近所を散歩する。また、自然の多いところにわざわざ行く。
太陽に当たること、外気に触れることが大切です。
人の多いところを避けるなど、リスクは最小限に。

4:ヒカゲノカズラと水滴.jpg


3. 自然のものを食べる
お家にいる時間が長いと、ついつい人工○○が入ったものを食しがち。
できるだけ、自然の食材を食べる。そしてぜひ、調味料を天然のものに変えてみてください。
醤油、酒、味噌、みりんなどを自然のものに変えるだけで、体の変化に気づくはずです。

4. 人と喋る
コミュニケーションは、脳だけでなく、心も体も活性します。
リアルにお話しするのが一番ですが、難しい時は、電話やオンラインなどでお話しするだけでも違います。

5. 体を動かす
人間は動くことで「正常」を保っています。
新たにスポーツや運動を始めるのも良いですが、外を散歩することや、家の中の掃除を機械に任せない、というだけでも、体を動かすことに!

人間が、日常生活から自然に戻ることを意識するヒントは、まだまだありますが、基礎編ということで、今回は5つに絞りました。

森に行くことだけが、森林セルフケアではありません。「自然に触れること」これが大切。
今日は、自然に触れたかな?と、毎日五感を使って、自然を感じる生活が習慣になるように。
そして、自分は大丈夫!という人も、家族、友人など、周りの人はどうかな?と、ほかの方にも「自然に戻ろう作戦」を広げて行ってください。

5:顔に見える葉っぱ.jpg



●今こそ「リアル」を大切に

携帯電話を持っていることが、当たり前の時代になりました。
そして、これからは、オンライン、インターネット、バーチャル、なんて”当たり前”の世の中になって、ますます、リアルで人や物に触れなくても、仕事ができ、生きることができる時代になるだろうと思います。

周りの物がいくら変化しても、決して変わらないのは、私たち人間が自然の生き物であるということです。

私たちが、”いろいろな生物”と共存する強さを持つには、「自分を自然に保つ」のが一番!
活きのいい”天然物の人間”になるために(笑)自然のリアルを大切にしてくださいね。

赤居が主催する、高野山の森林セルフケアは、予定どうり4月から月1回で開催いたしますー!


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posted by Yu SEKI at 18:47| サポーターコラム

2021年02月07日

森林セルフケアサポーターコラムvol.10『どれがおいしい?野草を食べよう♪野菜を育てよう♡』


どれがおいしい?野草を食べよう♪野菜を育てよう♡



早川 広美




さて、このおいしそうなサラダにトッピングされている緑の葉は、何でしょう。
ヒント:春の七草の1つです。

A.美味しそうなサラダ.jpg


答は、ハコベでした!

ハコベは、きっと誰もが見たことのある、どこにでもある草です。
春から秋にかけて、こんな花が咲きます。
私は時々、こんな「野草」を食べて楽しんでいます。

B.ハコベの花.jpg


元々そういうことは好きでしたが、頻度が増えたのは実は「コロナのお陰」!

きっかけは「買い物自粛」、でも、青い野菜が冷蔵庫に無くなった時。
買いに行けないのなら近くに何か生えていないかとぐるっと見回し、ベランダのプランターに盛大に青々と生えているハコベが目に入ったのでした。

森林療法となんの関係が?と言われると、「自然に触れて癒される、元気になれる(しかも食べられる!)」という点では、共通点があると思う…としか言えませんが、今回はこんなお話です。良かったらお付き合いください。

★ハコベ:ナデシコ科の一〜越年草。浄血作用などがあるとされている。

こちらもサラダのトッピング。
夏に青い涼やかな花を咲かせる草。

C.つゆ草のサラダ.jpg


ツユクサです。
こんな花が咲きます。濃い緑の葉に鮮やかな青がとても映える、私の大好きな草の1つです。
これも、たいていの道端でいくらでも見ることができるのではないでしょうか。

D.ツユクサ.jpg



★ツユクサ:ツユクサ科の一年草。花びらからは青い色が良く出るので、紙にこすりつけて遊んだりできる。

ハコベもツユクサも我が家のプランターに生えてくるので、ちょっと緑が欲しい時にとても便利です。サラダが手軽ですが、みそ汁に入れたり、お浸し風にしてもおいしいです。

こんな野草を食べると、野菜とはまた違う「力」をいただいているような気がします。
野菜は人間が品種改良したり、肥料をやったり、人が世話をしたり、いわば家畜化された植物。

でも、野に生える草には、もっとたくましい、生き抜くパワーを感じるのです。
コロナにおびえる日々でも、こんなふうに野草を食べることで、「ヨシ!大地の元気をもらった!」と思えてきます。

摘む時は、生き生きとしていて、何より「おいしそう〜」と思えるものを選びましょう。

★ハコベとナズナ(左端と右端)。ナズナも春の七草の1つ。

E.ハコベとナズナ.jpg


今は冬なので、なかなか野草を食べることができませんが、それでも立春の声を聞く頃には、何も無いと思っていた地面から芽がドンドン出てきて(神奈川県の場合)、またまたその力強さに惚れ惚れします。

1月下旬の雨のあと、ハコベが一斉に芽生えました。

F.ハコベの芽吹き.jpg



もう1つのおすすめは、ヨモギ。
ヨモギのジェノベーゼはぜひお試しを!

★ヨモギのジェノベーゼ:ヨモギをさっと湯通ししてクルミなどのナッツとオリーブオイル、塩とともにフードプロセッサーにかけ(すり鉢でもOK!)、ゆでたぱすたに和えます。ヨモギの香りがとても心地よいです。

G.ヨモギのジュノベーゼ.jpg


春先のヨモギ。柔らかくて、香り高いです。
※猛毒のトリカブトと間違えることがあるらしいですが、葉や茎を揉んで香りを確認してください。

ℍ。ヨモギ.jpg


★ヨモギ:キク科の多年草。草餅につきこんで食べるのがおなじみ。様々な薬効があるとされ、「ハーブの女王」と言われることも。

さて、そうは言っても野菜もおいしい。
コロナで外出自粛の時でも、少しでも自分で育てた野菜があると便利だし、とても心強いことに気がつきました。

私はアパート暮らしなので専らプランター栽培。
今はカブ、のらぼう菜。
夏は空芯菜やエゴマを育てていました。

I.プランター栽培.jpg


一部を収穫せずに花を咲かせてタネを採れば、毎年タネを買わなくても、また次のシーズンに蒔くことができます。
ただし、F1(エフワン)という「一代交配種」だとうまくいかないので、「固定種」のタネを蒔いて育てることをお勧めします(通販で入手できます)。

★カブの花(春)

J.カブの花.jpg


おかずを作っていて「あ、もう1種類緑が欲しいな」と思った時に、すぐに摘んでこられる新鮮な野草&野菜は、とにかくおいしいし、何より心弾む、嬉しいもの。

自給自足なんてことにはほど遠いけど、ほんのちょっぴりでも、この手で食物を生み出している―それが生きる自信にもつながっていくように思います。

ぜひ、お試しを〜。

※野草摘みと野草を食する際の注意
野草を摘む時は、人の土地や公園は避け、また目の前にある物を採り尽してしまわないように気をつけましょう。毒になる草もあるので、見分けに自信がなければ図鑑で調べる、詳しい人に聞く、やめておく、などするようにしましょう。
また、野草には様々な成分も含まれています。大量に食べず、少しずつ取り入れましょう。
アレルギーのある方、妊娠、授乳中の方、病気治療中の方などは、医師に相談することもお考えください。


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★次回のイベントにご参加されませんか?イベント情報はホームページをご参照ください!
 https://foresttherapy.wixsite.com/forest

★NPO法人日本森林療法協会 Facebookページに「いいね!」で最新情報をチェック!
 https://www.facebook.com/TheJapaneseForestTherapySociety

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posted by Yu SEKI at 20:33| サポーターコラム

2021年01月16日

森林セルフケアサポーターコラムvol.9『癒しの3ステップ』


「癒しの3ステップ」


飯田みゆき




このメルマガの読者の方々は、皆さん森で癒された体験を持ち、それをもっと多くの人に紹介したいという願いを持っていると思います。

では、「癒し」とは何で、「癒された状態」とは、どんな状態なのでしょうか。

2005年に森林療法を始めた当初、私は自分の中に「癒し」の定義がなく、さまよいつづけていました。私がさまよっているのですから、参加者もさまよいます。「せっかくの森の中で、あなたの声がうるさくて癒されませんでした。」とアンケートに書かれ、帰りの電車を何度も乗り間違えて家に帰れなくなるほど凹んだこともありました。

あれから15年、2008年からスピリチュアルの世界に導かれ、2019年からは通信制大学に3年次編入をして心理学を学びました。紆余曲折を経て、今、私は、「癒し」には段階的なステップがあり、最終的には魂の願いにつながり、この宇宙の進化に貢献することだと思っています。それは自分とつながり、自分自身が持っている「幸せになる力」、「世界を幸せにする力」に気づくことだと思うのです。

癒しの3ステップ.jpg


●癒しの第1ステップ「ホッとする、安らぐ」

2006年の日本アロマ環境協会のシンポジウムで、私は「癒しとはホッとする、安らぐことだと思う。」と発表したことがあります。
元森林総合研究所の宮崎良文先生は、「森林浴はなぜ体に良いか」という著書で、「快適性とは人と環境間のリズムの同調である。身近な自然と接することにより、自然との間に同調関係が生じ、高すぎる緊張状態が緩和され、本来のヒトとしての姿に近づき、リラックス状態がもたらされる。」と、述べています。現代の私たちは人工化された環境や複雑な人間関係の中で、常に緊張状態にあると考えられます。今いる環境と自分との間に調和を感じ、ホッとして安らぐとき、私たちは「癒された」と感じるようです。
欲求段階説で有名なアメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間の基本的欲求を5段階にまとめました。

【マズローの欲求5段階説】
@生理的欲求
A安全・安定の欲求
B所属と愛の欲求(社会的欲求)
C承認の欲求(尊厳欲求)
D自己実現の欲求


このうち@〜Cまでは欠乏欲求とも呼ばれます。この欠乏欲求が満たされるとき、私たちは今いる環境に調和を感じ、ホッとして安心でき、「癒し」を感じるのだと私は考えます。


●癒しの第2ステップ「幸せになる力に気づく」

しかし、「癒し」には次のステップが存在します。欠乏欲求が満たされ、心の底からホッとして安らいで癒されたとき、人間の心は次のステップに進みます。マズローはこれを「D自己実現の欲求」と名づけました。生物としての安全が満たされ、社会的動物として所属・愛・承認欲求が満たされたとき、自分自身の力で幸せになる可能性が開かれてくる。その可能性に気づく「心」を私たちは持っています。それは、生物としての自分、社会的動物としての自分としっかりつながることで得られる自分を大切にする力です。自分勝手や自己愛とは異なる次元での自己受容から生まれる人間本来の力です。
2015年の私は、「癒しとは自分の存在と周囲の環境(家族・社会・自然環境など)との調和であり、自分の存在に対する安心感ではないか。→自分自身とのつながりが深まることが「癒し」なのではないか。」と、森林インストラクター東京会の講演で発表しました。


●癒しの第3ステップ「世界を幸せにする力に気づく」
ところが、「癒し」にはさらに次のステップが存在します。マズローは晩年に第6段階目として「自己超越の欲求」を提唱しました。どうやら、人間は個人を超えた「私たち(人間だけでなく地球のすべて)=世界」の幸せを願う生物のようなのです。
え? そんなの当たり前?
そうですよね。だけど、「世界」を幸せにするには、「自分」を幸せにする段階を超えていかなければならない。この段階が意外と難しいのが私たち人間です。

マズローの「自己超越の欲求」を源流としたトランスパーソナル心理学の思想家ケン・ウィルバーは、意識を3つの水準に分類しています。

【意識の三つの水準(ケン・ウィルバー)】
(1)プレパーソナル…自我を確立する以前(マズローの@〜Cの段階)
(2)パーソナル…自我を確立した水準。(マズローのD自己実現欲求の段階)
(3)トランスパーソナル…自我を超えていこうとする高次の心(意識)の水準。(マズローのE自己超越欲求の段階)


トランスパーソナルの水準は、スピリチュアルでのワンネスとか、般若心経の「色即是空、空即是色」とか、禅の「大我とは無我である」のような状態だと推測しています。私たちの魂はトランスパーソナル水準に向かう欲求、願いがあるのですが、それには自我を確立するパーソナル水準を経過し超えなければならないとウィルバーは述べています。

2021年の今、私が「癒し」を定義するとしたら、「@ホッと安らぐ、A「幸せになる力」に気づく、B「世界を幸せにする力」に気づく、というステップを踏みながら魂の願いに近づく旅路を歩いていると感じること。」かな。


●まとめ
森で癒されると感じたとき、皆さんはおそらく今いる環境に調和を感じ、ホッとして安らいだと感じていると思います。でも、「癒し」にはさらなるステップが存在する。森の癒しを広めたいと願うとき、ぜひ、癒しの第2ステップ、第3ステップへの可能性も感じてみてください。それが、実は森の癒しを広める本物の原動力になるのではないかと思っています。なぜなら、それが、人類が共通して持っている魂の願いだと思うからです。
posted by Yu SEKI at 08:53| サポーターコラム

2020年12月09日

スペシャルコラム(松尾祥子さん)

師走に入りました。1年のうち、この時期の、山、海、森林などのアウトドアフィールドに、最も心惹かれます。こんにちは。森林セルフケアサポーターの松尾祥子です。

先ほど、1月からスタートする研究会にむけ、抄録「森林療法はいかにして心理療法として成立するかの私論」を書き終えたところです。そして、1月からスタートするものがもう一つあります。2020年7月に上梓しました拙著「香りで気分を切り替える技術」を深める講座です。

本書は男性をターゲットに「匂いの脳科学や心理学が2−3時間で読めてしまう一般書」とのコンセプトにて執筆しました。一方、出版社には本書を届けたいターゲット層がもう一つありました。それは「香りを心理療法として活かしたいという方々」でした。
香りをメンタルコンディショニングに活かす術を、20年以上試行錯誤してきました。本書ではこの経験をもとに、香りの心理療法としての利用について心理学的見解や事例を、紹介しています。

つまり「香りで気分を切り替える技術〜香りマインドフルネス」は浅く一般書としても読めるし、深く専門書としても読むこともできる「二重構造」になっていたのです!
そして、本書で紹介する「香りマインドフルネス」とは、森林療法が効果的に作用する心身を育てる、意識と呼吸の使い方であるとも考えています。どうぞこれらの複数の視点から、本書を読んでいただければ幸いです。

A:香りで気分を変える技術.png



さて、森林療法は、アウトドアフィールドでの体験という広い意味で、わたしにとっては2つの側面があります。

一つは自身のセルフケア。もう一つは心理専門職としての森林療法です。比率で言うと9割は自身の森林療法でしょう。森林療法がない生活とは、空気のない生活のよう。自宅の花壇から、拠点のある蓼科、1年中海に入れる南伊豆の大自然まで、アウトドアで過ごす時間は、私自身の心身メンテナンス、健康維持、気づきや成長に欠かせないものです。

心理専門職としての森林療法は、「どうしたら、万人が、効果的に、療法として、森林を含めたアウトドアフィールドを活用することができるか」を考え、人の心身魂や自然との関わりについて、思考や体験を深める機会となっています。特に、動物と違い移動するという術を使わない植物が、いかに自身の生命を存続させるか、その巧妙な知恵、「植物の生存戦略」に関心があり、植物の生存戦略を「人がたくましく生きるために効果的に利用する」ことを考えるとワクワクします。この植物の生存戦略を知る一冊として、下記の書籍を紹介します。

B:植物は知性を持っている.png


今年は、「自分にとっての自然」について改めて考える機会が得られました。そしてこのプロセスと経験をもとに、生活や活動を自らの自然により合った形に再構築することになりそうです。これにより、森林療法協会での活動が増えるご縁ならば、喜んで、楽しんでご一緒させていただきたいと思っています。アウトドアでの活動は肩書きを超え、身体をもった人と人が腹を割った関係で体験を共有できる。これは森林療法のもたらす利点の一つでしょう。最後に青木ヶ原樹海で出会った、雨のなか輝きを放っていた樹木の写真を紹介させていただきつつ、フィールドでご一緒できますことを楽しみにしています!

C:青木ヶ原の木.png

posted by Yu SEKI at 10:47| サポーターコラム

森林セルフケアサポーターコラムvol.8『ホメオスタシスに耳傾ける』


ホメオスタシスに耳傾ける


左賀 秀機



森で過ごしたとはいえセルフケアと呼ぶにはちょっと無理だった日のことです。朝早く「ミズナラの森再生」のボランティア活動に向かいました。活動は鹿避けネットが雪で倒されないように下げる作業です。深い森の中、癒やし装置十分での作業でした。現場への道すがら、クロモジの枝を咥え味見チェックもしました。クジャクゴケは苔愛好家に人気があると教えていただきました。嬉しいことに我が家の裏山にも繁茂しているのです。

A:苔と露.jpg
【触るもよし見るもよしの苔】


作業を終え心地よい疲れとともに帰宅。夕飯のとき箸の先を噛み砕いてしまいました。いくら森の中だったとはいえ、ホメオスタシスは行動となって反応してくれたようです。急ぎgo to bed。
翌日は軽登山の愛好家と名残の紅葉を愛でるハイキング。目的地と到着時間は決まっています。人に遅れまいと思うだけでストレス。ランブリングどころではありません。森の中を歩いているので癒やされていると思いたいものの覚えるのは満足感と心地よい疲労感。ゆったり感、のんびり感を伴わずセルフケア体験をした気になれませんでした。でも、タカノツメの落ち葉からのここちよい香りは翌日も脳は覚えていていいお土産となりました。

B:フラクタル.png
【視覚もよろこぶフラクタル】


11月のはじめに放送大学の授業が京都大学上賀茂実験地で開講されました。林内に絶好の自然観察路があることを知りました。他にも同様のストレスの少ない環境の有ることに気づきました。今まではmochiyamaで体験会が出来ないかと山歩を繰り返していましたが、残念ながらどうしても山登りになり、道は獣道、藪漕ぎありでセルフケアのフィールドには不向きなところばかりと残念な思いを引きずっていた折の気づきでした。


C:心地よさ.png
【耳で感じる心地よさ】


その授業で「環境意識は森に親しむ習慣の有無により違う」と学びました。親水事業に見習い親林事業に取り組もうと、「親林山歩会」の名刺を作りました。名刺に実態を伴わせようと、「3 good things体験」をセルフで始めました。「3 good things」はカウンセリングでクライアントにすすめてきたメソッドで、ポジティブ心理学のセリグマン博士の提唱です。『今日体験した「いいこと3つ」を寝る前に書き出す。どうしてそうなったのかを考える』というものです。1週間つづけた後の調査では、被験者の幸福度は、2%向上。1ヶ月後は5%、6ヶ月後は9%向上していたと報告されています。森にはハピネスファクターがごろごろしています。いいことのGetはホメオスタシスを保つ楽しいストレスコーピングです。いいことを見つけようとするだけでも既に1つのいいことです。さ〜!「ステー・フォレスト」は如何でしょう。
posted by Yu SEKI at 10:37| サポーターコラム