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2021年08月12日

オススメ書籍のご紹介B


「小野有五、自然をみつける物語 全4巻、岩波書店, 1996年」



原田 純子


難しい本格的な文献も自分を深めるために大切ですが、ちょっと息抜きにもなるけど「え?そうなの?知らなかったぁ!」「これって大切な事よね」と気づかせてくれる書籍をご紹介いたします。

今年の夏前にふとしたきっかけで出会った本です。第2巻のタイトルに惹かれたのですが、森林療法とは違いました。1996年4月に第1刷発行とありますので、もう25年も前に発行されている本。北国の自然を舞台に児童向けとして書かれてはいるものの、自然への入門編としてもっと早くに出会っていたかった書籍です。

(1)川との出会い

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(2)森の時間

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(3)山のひみつ

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(4)島への旅

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都市部に暮らしていた小学6年生の少年と5年生の妹が、父親の突然の病死で母親と北国へ移住することになり、そこでの様々な体験を通して身のまわりの自然から環境について知識を深め、地球環境を保護していくことの重要性を学んでいくストーリーです。

地元の営林署に勤めていると言うおじさんが動植物をはじめ自然界のことを何でも分かりやすく説明してくれるので、まるで自然界入門のテキストのようです。子ども向けに書かれているのですが、本を読んでいるのに情景が目に浮かぶのは、実際にカタクリの群生を見に行った経験があることや、以前テレビの映像で見たことのあるサケの産卵風景が蘇り、これは歳を重ねてから読む特権だなと得をした気分です。

読んでいくうちに自分が主人公になって川を上っていく魚を追いかけていたり、人間の利益を優先したために、環境に負担をかけるだけの人工的な構造物に腹を立てていたり、基本に立ち返れる本でもありました。と言ってもまだ全巻読破できていないので、これは夏休みの課題図書として自分への宿題でもあります。

作者の小野有五氏は北大名誉教授であられ、環境科学者、地理学者として数々の成果を上げておられますが、そのご研究を基に自然保護活動をはじめとしてアイヌ文化にも造詣が深く、多方面で現在もご活躍中とのことです。

2021年07月10日

オススメ書籍のご紹介A


「ネイチャー・ピラミッドを森林セルフケアの参考に。」


飯田みゆき



2017年7月、『NATURE FIX自然が最高の脳をつくる』という本がNHK出版から出版されました。この本は、アメリカのジャーナリストであるフローレンス・ウィリアムズ氏が世界中を飛び回り、自然の力の謎を探った内容がまとめてあります。母国アメリカでのキャンプや川下り体験だけでなく、日本、韓国、フィンランド、スコットランド、スウェーデン、シンガポールなど世界各国を訪れ、自身の体験、各国の研究データを紹介しつつ、自然の力を解説してくれます。来日時には宮崎先生とも対談し、森林浴、森林セラピーはpart1で紹介されています。

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これまで森林療法のエビデンスといえば、研究者視点のちょっと難しい文章が多かったと思います。この本の特徴は、ジャーナリストである著者の好奇心そのままに、ときに感動し、ときによくわからないと、素直な疑問、体験が綴られている点です。もちろん、各国で実施された研究結果、注意欠陥多動性障害(ADHD)やストレス心的外傷後ストレス障害(PTSD)の効果検証、森の幼稚園などの試みも参考になります。

特に、エピローグに紹介されているネイチャー・ピラミッドの視点は森林セルフケアに参考になると思いました。ネイチャー・ピラミッドでは、底辺に日常的に触れ合う身近な自然を置き、二段目には週に一度行くべき場所として公園や川、三段目には月に一度出かける静かで心休まる場所、ピラミッドの頂点には年に一度どっぷりと浸る雄大な自然を置いています。このピラミッドを参考にすることで、個々人がどのような自然と触れ合えば良いかを選択することが可能になります。

私たちは森林セルフケアサポーターとして活動するとき、このネイチャー・ピラミッドのどの段階で活動しているのでしょうか。それは、サポーターそれぞれで異なると思います。私が昨年大学の心理実習で復職支援施設の実習指導者の方に与えられたテーマは「目の前の利用者さんに今、何が必要かという視点で見学すること」。森林セルフケアをサポートする立場で、目の前のお客様に何が必要かを意識するときに、このネイチャー・ピラミッドは参考になるはずです。

この本、いろいろと内容が幅広いので、希望者の方と一緒にzoom読書会も楽しそうだなと思っております。


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2021年06月11日

オススメ書籍のご紹介@


オススメ書籍のご紹介@



理事長
原田 純子


最近読んだ森関係の本から2冊ご紹介させて頂こうと思います。

その1
 「北の森漫画」
  漫画で学ぶ森林・林業 木材産業の魅力
  {発行}公益社団法人 北海道森と緑の会


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漫画なので親しみやすいけれど、、細部まできちんと書き込まれていておくが深い。登場人物からは学べるセリフがポンポン出てくるので、子どもだけでなく大人も楽しめると思います。北海道で見られる樹木の説明のページでは、木にまつわるストーリーなど文化や歴史も学べるので、一般的な樹木図鑑類とは趣が異なって面白いと思いました。

オンラインで読むことが出来るので是非チェックしてみてください!
https://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/square/kinoehon/index.html


その2
 アファンの木のアンソロジー
 ---黒姫の赤鬼の木憶---
 {発行}C.W.ニコル・アファンの森財団


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昨年亡くなられたC.W.ニコルさんの遺作とも言うべき書籍として発刊されましたが、アファンの森を協賛している企業さんの社内誌に書かれていたものを1冊にまとめられたものです。ご自身の森の木々を種別に文学的(?)に著している本で、これも樹木図鑑的でもありますが、それぞれにわかりやすい英文の記述もあり、もちろんニコルさんの年表など資料ももあり、読み物としても読みごたえがあります。

定価¥1,100(税込)ですが、アファンの森財団でのみ取り扱っている書籍になります。
https://afan.or.jp/c-w-nicole-a-letter-from-the-forest/4297/

皆さんのお勧めの書籍などもありましたら、ここでご紹介ください♪