• もっと見る

2026年08月09日

伝統文化の森も里地里山も「戸隠」で味わう

おすすめの森林セルフケアフィールド
      伝統文化の森も里地里山も「戸隠」で味わう
                               理事 原田純子

 今までに会報誌やメルマガで何度も書いてはご紹介してきた「戸隠」だが、だれが何と言おうとも戸隠推しなので、今回もやはり「戸隠」を森林セルフケアのおすすめフィールドとして書かせて頂く。

 そもそも信州に移住した理由が「森に住みたい」という単純な理由が根底にあること、そしてなぜ信州なのかということも何度も書いてきた。信州は我が両親が愛した地であり、彼らの定年後には移住するはずの地であった。残念ながら思いを果たせぬまま逝ってしまった両親の思いも、現在住まいにしているこの家屋も、全て引き継いで「我が家遺産」なのだ。定年を迎えて自由な身分となった私が彼らの夢を叶えるべく移住したと言うことにして格好をつけて関東圏から転居してきて、早くも12年目を迎えている。

 我が家は黒姫山の麓、信濃町にあり、家から歩いて行ける黒姫の森は(そもそも家が森の中だし)毎日の散歩で行ける「My森」であり、日々のセルフケアには欠かせない森となっている。それに対して只今絶賛推し活中の「戸隠」は車で小一時間ほどかかるので毎日は行かれない。しかし、その距離を隔てなければ行かれないと言う点も、森林セルフケアフィールドの欠かせない要素だと考えている。言わば非日常の世界であるからだ。家を出る時から、「戸隠」へ向かう道中はワクワクして、既に非日常の世界に気持ちが飛んでいることが自分でも判って笑ってしまう。

 その「戸隠」の中でも、今までに何回か協会の森林セルフケア体験会を「戸隠森林植物園」で開催してきた。今年も企画はしたものの残念ながら申し込みがなく開催を見合わせたが、下見を兼ねて何回か足を運ぶうちに、植物園以外でも森林セルフケアフィールドになりそうな場所にいくつも出会ったので、次回は新しいフィールドでの体験会開催も企画したいと密かに策を練っている。今まで紹介してきた「戸隠」も奥が深いと思っているが、森林植物園では森の植物の植生やそこに住む生き物たちに、神社仏閣ではその歴史、伝統、文化に興味が湧いてくる。どちらも知れば知るほど、行けば行くほど、なのである。ちょうど来年は戸隠神社の6年(数えで7年)に一度の式年遷宮の年に当たり、4月〜5月に掛けては「杜の弥栄(もりのいやさか)」という言葉を掲げて、その関連の伝統行事が相次いで行われるという。「杜の弥栄」とは、戸隠信仰の発祥の地である奥社をはじめとした水を育む神域の杜を、祈りとともに未来へと繋ぎ豊かに栄え行くことを願う言葉だそうで、水は命の源であるとしていることから、杜=森も命も永遠の未来へ繋ぎ栄えさせようという思いが伝わってくる。来年の戸隠の式年遷宮は、4月25日の式年大祭執行奉告祭(中社月並祭)に始まり、5月25日の式年大祭終了奉告祭まで、ほぼ一日おきと言って良いほど既に詳細な日程が出されている。1つでも多くの行事をこの目で見ておきたいと願っているが、何回足を運べるのか楽しみでもある。

 さて式年遷宮とは別に、今頃になって「戸隠古道」にも興味が湧いてきている。言わずもがなの中社や奥社を回ったり、植物園を散策することはバスで来る観光客でもできるのだが、戸隠には神社が五社もあるので古くからの神社巡りの道がある訳で、それを戸隠古道と言うのだ。戸隠観光協会が毎年開催している「戸隠古道大ウォーク」というイベントは2日の行程で、なんとスタートは長野市の善光寺!牛に引かれていくあの善光寺なのだ。今年も開催されるようなので興味がおありの方は戸隠観光協会のHpで確認されたい。今までにその古道の一部は何度も歩いていたが、最近はあの道を歩くとここに出るのか…などそれぞれが繋がってくる面白さもあって、今年のグリーンシーズンもできるだけ古道を歩いてみたいと考えている。中社や奥社など古道のスポット各所に、悪目立ちしない程度の新しい石柱が立てられているのだが、その石柱にはスポットに相応しいマークが刻まれていて、そのマークの拓本を収集するスタンプラリーのような楽しみが設けられている。さらに戸隠観光協会は上手にお誘いの企画を投げてきて、案内所ではそのための拓本帳も販売されているという用意周到さ。それでも楽しく歩くための小道具としてもなかなかよく考えられた仕掛けだと思うので、まんまとその企みに乗せられて拓本帳をコンプリートすることを目標に古道をくまなく歩いてみようと思っている。

 最後に「戸隠」の里地里山についても一言記しておきたい。協会の森林セルフケアのフィールドとして@都市公園A伝統文化の森B里地里山という三本柱を掲げていることはご承知の通りと思うが、ここまで伝統文化の森で推してきた「戸隠」で里地里山と言われてもピンとこないことと思う。しかし地図を広げてみれば一目瞭然。古道で巡る神社仏閣のある地区は「戸隠」のごく一部に過ぎず、広くは戸隠山の麓と捉えられる里地里山なのだ。中社から火の御子社、宝光社方面へずっと下って鬼無里方面へ向かうと、鬼女紅葉の伝説がある地域へ行かれるのだが、その付近は正に日本の田園風景の見本ともいえる里地里山が広がっている。山奥なのに太古の化石から貝殻などが多数出土され、展示されている戸隠地質化石博物館なども訪ねることができる。地名も「柵(しがらみ)」と読むその付近は、まだまだ興味をそそる歴史を抱えていそうなフィールドになる。この地域は我が家からは2つ山を越えることになるので、ますます非日常の世界に浸かることができそうと期待しているのだが、「戸隠」だけでさえ奥が深いのに、さらにその先には…なかなか見通しも立たないでいる。あまり期待せずに続報を待たれたし。