理事:田川裕則
先日、かねてから念願であった熊野古道中辺路を歩いてまいりました。熊野古道は、古来より多くの人々が信仰の心を抱いて歩いた巡礼の道であり、その中でも中辺路は京都や大阪などから熊野三山へ向かう主要な参詣道として栄えてきた歴史あるルートです。
実際に歩いてみると、豊かな自然と長い歴史が見事に調和した素晴らしい道であることを実感しました。深い杉林の中を進む石畳の道、木漏れ日が差し込む山道、時折聞こえる鳥のさえずりや川のせせらぎは、都会では味わうことのできない静けさと安らぎを与えてくれました。歩を進めるたびに、何百年もの昔から多くの人々が同じ道を歩いてきたことを思い、その歴史の重みを感じました。
道中では、急な登りや長い下りもあり、決して楽な行程ではありませんでした。しかし、一歩一歩を積み重ねながら歩くことで、自分自身と向き合う貴重な時間を持つことができました。日頃の生活では時間に追われることが多いものですが、熊野古道では目の前の道に集中し、自然の中でゆっくりと流れる時間を味わうことができました。疲れを感じながらも峠を越えたときの達成感は格別で、歩くことの喜びを改めて感じました。
特に印象的だったのは、道中で出会った方々との交流です。国内外から訪れた多くの巡礼者やハイカーと挨拶を交わし、励まし合いながら歩いたことは忘れられない思い出となりました。言葉が十分に通じなくても、同じ道を歩く仲間として自然に笑顔が生まれ、人と人とのつながりの温かさを感じました。スペインの巡礼の道とタイアップしており(サンティアゴ・デ・コンポステーラは、聖ヤコブ(サンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマやエルサレムと並ぶキリスト教の三大巡礼地です)スペイン人も多く歩いていました。
また、熊野本宮大社へと近づくにつれ、長い道のりを歩いてきた達成感とともに、どこか厳かな気持ちになりました。古くから人々がこの地を目指して歩き続けた理由が少し理解できたような気がします。自然への畏敬の念や感謝の気持ち、人々の祈りが積み重なった特別な場所であることを肌で感じました。
(写真)嵐の松本潤さんが熊野古道で写真集用にに撮った場所
今回の熊野古道中辺路の旅は、単なるハイキングではなく、自然、歴史、文化、そして自分自身と向き合う貴重な体験となりました。歩き終えた今も、あの静かな森の空気や石畳を踏みしめる感覚が心に残っています。この経験を大切にしながら、これからも健康に感謝し、一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。
熊野古道中辺路を歩けたことは、私にとって人生の大きな財産となりました。機会があれば再び訪れ、今度は季節を変えて熊野の魅力を味わってみたいと思います。