理事コラム 「里地・里山」 って言うけれど…
理事長 原田 純子
協会活動のフィールドの中に、今年から「里地・里山」を加えて三本柱となったことは既に折あるごとにお伝えしております。会員の方々は「里地・里山で森林セルフケア」を、どのように受け止めておられるでしょうか?
私が協会の活動に興味を持ち講座や体験会に参加し始めた頃、自分の生活拠点はまだ東京にあり、協会の活動は「都市公園の森で森林セルフケア」だけでしたので、その頃から緑に囲まれた森の生活に憧れていた私にはどこか物足りなさも感じておりました。現在は念願であった森での生活にシフトしましたので、「里地・里山と聞いてどこを思い浮かべるか?」と問われた時に即答できなかったことを白状します。その辺りのことは会報誌にも書かせて頂いておりますが、その後自分なりの「里地・里山」の定義に落ち着き、どこか初心に戻れた気持ちにもなりました。それは「結局は自分の気持ちの落ち着くところがあれば、近くの公園であっても遠くの森であっても、そこでセルフケアが出来ていれば良いのでは?」という身も蓋もない落としどころに落ち着いてしまっていたので、一周回って戻ってきたと言うのが第一印象であったのです。
昨年は京都でのフォーラムに向けて二本目の柱とする「伝統文化の森」として各地の森を訪ねた年でありました。その前はミツバチセラピー、さらにその前はホースセラピーと、ややもすれば協会は迷走していない?とさえ思われかねないフォーラムでのテーマでありましたが、「里地・里山の森で森林セルフケア」と言う今年のテーマで、見事にそれらが結びついたことにお気づきでしょうか?里山には鎮守の森もあれば建築のために樹木の切り出しが行われていたり、生活のための炭焼き小屋もあったりします。田園風景の広がる景色の中には家畜が居たり、果樹園の奥には養蜂家が巣箱を構えて蜂蜜採取に勤しむ…。古くからの地域の伝統芸能があり、祭りや四季折々の行事を守って生活している日本の文化も見えてきます。信仰の対象となっている森もある事でしょう。一口に「里地・里山」と言っても、現在見えているような形になるまでには積み重ねてきている歴史もある訳で、そのような流れで「里地・里山の森で森林セルフケア」を捉えて頂けたらと思います。今年のフォーラムにご参加頂き、ご自分にとっての「里地・里山」や森林セルフケアの原点をぜひご確認頂ければと願っております。
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