ミツバチは神様からの贈り物
一般社団法人トウヨウミツバチ協会
代表理事 高安 和男
代表理事 高安 和男
皆さんは、ミツバチと聞いて何を連想しますか?「甘いハチミツ」でしょうか?皆さんが大好きな「イチゴやメロン、スイカ」もミツバチが受粉のお手伝いをします。でも、「ミツバチは刺すので怖い!」ですよね!私も銀座で養蜂を始めるまではそうでした。でもミツバチを近くで見て、触れて行くうちに、どんどんその魅力に引き込まれて行きました。そんなミツバチをご紹介します。
人間とミツバチとの関係はとても古いです。最古の記録はスペイン、アルタミラ洞窟壁画です。野牛、イノシシ、馬、トナカイなどの動物の壁画の中に、野生のミツバチの巣を捕獲する様子が描かれています。養蜂の始まりは古代エジプト時代です。その時すでに花を求めて船に巣をのせてナイル川を上り下りしたそうです。さらにクレオパトラはパレスチナに養蜂場を持っていたとも言われています。ギリシャ時代にはソクラテスをはじめ多くの哲学者がミツバチの不思議に魅せられ、さらにローマ軍とキリスト教徒によって西洋世界に広まりました。その後、長い時代にわたり籠で飼育していたミツバチですが、19世紀中ごろにラングストロスという人が巣枠を使った巣箱での飼育方法を発明し、ハチミツの収穫量も飛躍的に増えて現在に至っています。ここで紹介したミツバチはセイヨウミツバチです。
次に現在に至るまで野生の在来種として命をつないできたニホンミツバチ(トウヨウミツバチ)をご紹介します。漆の工芸家から聞いた話では、縄文人は既に「漆」と「蜜蝋」を使っていたそうです。
日本の文献にはじめて「蜜蜂」と言う言葉があらわれたのは「日本書紀」(720)の皇極2(643)年の頃です。「百済の太子余豊(よほう)、蜜蜂の房四枚を以って三輪山に放ち、養(か)う。しかれどもついに蕃息(うまわ)ず」、つまりミツバチの飼育を試みたものの、繁殖はしなかったという失敗の記録です。ただし、これには後日談もあります。余豊と言う人は当時の百済の亡命太子でした。日本史で習った「白村江の戦い」(663)は、日本・百済連合軍と唐・新羅連合軍の海戦で、日本水軍が敗れ、朝鮮半島への拠点を失ったとあります。その時、日本が援軍とともに百済の総大将として遣わしたのが余豊です。余豊の名を日本書紀に残すために「蜜蜂」の事を記したという説もあります。
また、当時、聖徳太子は理想の社会像として仏教の拡大にも貢献しました。飛鳥時代から奈良時代にかけて仏像の鋳金技法として蝋型鋳造(ろうがたちゅうぞう)法が発達しました。
粘土で作った型の上に、蜜蝋と松脂(まつやに)を煉合せた蝋材を貼って、鋳物の原型をこしらえる技法です。鋳造技術と一緒に蜜蝋も隋や唐からもたらされました。正倉院の収蔵品には蜜蠟が「五百九十三斤・・」と言う記載があり、その保存されている袋の中一つに墨書で「四十七斤・・」とあり、「およそ三十二キログラム」もの量になると言います。さらに調査の結果「トウヨウミツバチによって生産されたことが有力で、中国や東南アジアからもたらされた」可能性が指摘されています。また、仏教伝来に貢献した鑑真は「200リットル」の蜂蜜を持って日本に来たという記録もあります。
その歴史からひも解いても、西洋でも日本でも、政治や宗教とミツバチとの関りが何と深い事でしょう。最後に、「ハチミツは神様からの贈り物」ということが世界中で言われていたことを紹介します。「私たちは毎日たくさんの命を食べて生きています。肉や魚だけでなく、米もパンやパスタを作る小麦も、野菜もすべて植物の命です。ところが、命をいただかない食べ物があります。それがハチミツです。受粉の助けが必要な植物は、ミツバチや他の訪花昆虫に来てもらいたくて香りのよい花蜜を出します。ミツバチは受粉のご褒美としてもらった花蜜をハチミツに変えて餌として保存します。
我々人間はミツバチに安全な住まいを提供し、熊やスズメバチなどの外敵から守る代わりに、いざという時のために備蓄したハチミツをお裾分けいただきます。つまりハチミツは誰の命も奪わない神様からの贈り物です。」こうしてミツバチは神の使いとしても崇められてきました。そんなミツバチですが成虫としてミツバチ(働きバチ)になってからの寿命は、わずか1ヵ月です。しかも羽化してすぐに飛べるわけではなく最初は巣の中の仕事をしながら飛ぶ練習をします。上手に飛べるようになった後、わずか2週間が花蜜を集める期間で、その一生を終えます。1匹のミツバチが一生かけて集めるハチミツは、およそティースプーン半分です。いまがミツバチの一番元気に活躍する季節です。専門店に行けば今年収穫したハチミツも売っていますので是非ご賞味ください。
次回は、ミツバチの生態について詳しく紹介したいと思います。
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