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2022年09月13日

レベルアップセミナーのご報告

「世界の森林療法事情を考える〜『Nature Fix 自然が最高の脳をつくる』(NHK出版)から学ぶ・続編」


NPO日本森林療法協会
理事 降矢 英成


【日時】8/28(日)13:00〜16:45
【講師】 飯田みゆき(森林セルフケアコーディネーター、薬剤師、公認心理師)
     松尾祥子(臨床心理士/公認心理師、アロマセラピスト)
【進行】降矢英成
【内容】
今回は、2月に「世界の森林療法事情を考える〜『Nature Fix 自然が最高の脳をつくる』(NHK出版)から学ぶ」というテーマで行った際に、ディスカッションで質問がでたところを、講師に宿題として調べていただき、続編として学びを深めました。

また、この本では、論文の概要とか結論だけを紹介してくれていますが、実際に「どのような研究デザイン」で、「どのように行ったのか」も分かると勉強になるため、できれば本物の英文の論文を確認していただくようにお願いしました。

松尾さんは「30×30ネイチャーチャレンジ」という「1日30分を30日間、カナダ国民が自然と触れ合い、その結果、健康や幸福感を向上させる」ことを目的とした論文について解説してくれました。

この研究は、財団が毎年行っているものだそうで、ある場所に集めて測定などをしたものではなく、このチャレンジに参加した人への聞き取りをしたものでした。結果としては、自然に触れる時間は約5時間/週から倍の10時間/週に増え、一方、メールや電話の時間は減るなどが分かったほか、自然との関連を「心」「身体」「環境」のどの視点で作っているかという「自然関連尺度」や、「環境に対する動機」を「自分のため」「他者も含めた社会のため」「他の生物のため」のどの視点に立っているかなど、多層的な調査をしていました。

そして、結果を表記するときに「大きく改善した」とか「わずかに減少した」などの形容詞がどういう根拠で使い分けているのかについては、おおむね有意度の大きさに沿っていました(何と、一部は間違って逆の表記になっていましたが)。

飯田さんは二つの論文を解説してくれましたが、フィンランドのヘルシンキで「都市の中、都市公園の中、森林公園の中を比較した研究」では、都市公園と森林公園ではほぼ同等の効果が見られたという結果で、私ども協会が「都市公園で森林セルフケアを行う」意義が裏付けられた印象でした。

実際には、実験前の調査票回答→座観15分→途中の調査票回答→森林歩行30分→終了時の調査票回答という流れで行ったことが分かり、座観の15分は妥当な長さとしましても、森林歩行の30分という長さはちょっと短い印象ですが、午後3時から始めたためもあることが分かりました。

このように、現実の事情により本当に必要な設定になっていない場合もあることが分かり、また、報告で「座観は15分以上で効果がある」というような表記になっていたのは、5分とか10分との比較をしていないため、妥当な表記ではありませんでした(ある報告では脳波を測定してみると3分経つと効果が現れるという結果でした)。

私たちは、基本的に森林が健康へ良い影響を及ぼすという認識ですので、つい身びいきな視点に立ってしまう傾向にあり、論文を紹介するときなどに「わずかに」という形容詞を勝手に抜いてしまうなどをしがちですので、お互いに注意しましょう。座学編では、次回は松尾さんと飯田さんに引き続きお願いする予定です、お楽しみに!

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posted by Yu SEKI at 07:58| 活動報告