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2022年07月09日

連載コラムBachの森歩きB「ひとり山歩き in 熊野古道」

ひとり山歩き in 熊野古道


森林セルフケアコーディネーター
小川 純子


私は今年、52歳になりました。
子育ても終わり、数年前から自分のために生きてみよう。まずは自分に正直になってみよう。そう思いながら小さなチャレンジを繰り返してきました。つい最近ですが、また一つ人生初となるチャレンジができました。それが今回の「ひとり山歩き」です。場所は一度行ってみたかった「熊野古道」です。

小さなチャレンジを始めてから、出会った方々のほとんどが「熊野古道」に行ったことがありました。私が「何で熊野古道に行ったの?」と質問をすると、逆に「何で熊野古道に行ったことがないの?」と聞かれてしまうことが多々ありました。「なるほど、一度は行ってみようかな。でも、今じゃないな」そんな感覚で、あっという間に数年が過ぎていましたが、遂に今年、2022年6月18日〜20日、熊野古道『発心門王子〜熊野本宮大社コース』を歩いて来たのです。18日は一人で歩き、19日は語り部さんと同じコースを歩いてきました。

6月18日(土)、少し緊張しながら早起きをして羽田空港から飛行機に乗りました。搭乗後2回アナウンスがありました。1回目は「搭乗手続きをされずに通過されたお客様がいらっしゃいます。ただいまお調べしておりますので、今しばらくお待ちください」と。定刻より20分ほど遅れて離陸。まあ、流れに任せよう。2回目のアナウンスは「天候の悪化により南紀白浜空港への着陸が出来ない場合は羽田空港に戻ります」と。これもまあ、流れに任せよう。ウトウトしていましたら、隣に座っていらした 老夫婦の会話が耳に入ってきました。「こういうことはよくあるからね。ところで今日は一日雨みたいだからゴルフはキャンセルだな」そうか、一日雨なんだ。まあ、流れに任せよう。

そのうちに無事に南紀白浜空港に到着し、空港からバスで熊野本宮大社に向かいました。バスを降りて傘をさしながら道路沿いに見つけたコインロッカーに荷物を預け、お腹が空いたのでお昼を食べられるお店を探し、まずは腹ごしらえを。そして観光案内の方にいろいろと教えていただき、傘をさしながらでも歩けるとのことでしたから、バスで発心門王子へ出発。

バスの中から一人が始まりました。「私だけ?」降りた後バスが行ってしまうと、傘にあたる雨の音しか聞こえない。「誰もいない」ちょっと心細くなりながらもバスの運転手さんに何度も確認した方向へ歩き始めました。歩き始めは静岡の祖父母の家の周りの景色に似ていて、なーんだこんな感じなんだと少し安心したり。民家があり坂の上からおばあさんが杖をつきながら下りてくるのが見え、「こんにちは」と挨拶をしてちょっと楽しくなったり。途中途中で小さな案内板を見つけ、数名の住民の方々と出会い、「気を付けて行ってらっしゃい。そのまま真っ直ぐ行けば良いから」「ありがとうございます」大丈夫、迷わないで行ける。と心の中で確認しながら、気持ちが良いなあと歩いて行きました。

そのうち雨が止んできたので傘をしまった辺りから民家がなくなり山歩きとなりました。私は自然に山に入る前に「入らせていただきます」と、頭を下げていました。滑らないように、気をつけて足元ばかりを見ながら、遅くなると 宿までのバスに乗れなくなるし…などと考えながら、ただただ歩き続けていたのですが、ふと筋トレ感覚で歩いていることに気がつきました。「自然を感じるために来たのに」そこで足を止め、ゆっくり周りを見渡しました。すると、いきなり鳥の声や、葉が揺らぎこすれあう音が聞こえて、匂いを感じ始め、心地よい風を感じ、樹木が何処までも続いていることに気がつきました。すごいところに来てしまった。思わずそう呟いてしま いました。それから何度も深呼吸をしてみました。ゆっくりと、丁寧に。そして、更に気がつきました。「誰もいない」そういえば山に入ってから誰にも会わない。私の前にも後にも誰もいない。一瞬、怖くなりました。でも、何故か「大丈夫」という声を自分の中から感じることができました。「山が好きな人には普通の体験なんだろうな」

山を出たところで、改めて山のほうに向かって一礼。「ありがとうございました」また、ぽつぽつと雨が降ってきたのでそこから傘をさして熊野本宮大社へ。

6月19日(日)は9時集合の「朝一語り部」に参加しました。先着6名予約制、参加費千円、日曜日の み。通常、語り部さんの予約は1対1で同じコースで1万円だそうです。事前予約で私一人でしたからとってもお得だと思っていました。当日ちょっと早く着いていた私に、70代くらいの女性の語り部さんが「勧誘してきますから時間までお待ちくださいね」とおっしゃって、バスを待つ数名の方々にやんわりと声をかけていました。が、一人で戻ってこられて「難しいねえ」と 一言。 待っていたバスが来たので、語り部さんと一緒に乗り込み、発心門王子へ。

発心門王子のバス停に着くと、10数名の方々が バスから降りていきました。バス停から少し坂を上り、発心門王子に到着。 早速、語り部さんの案内が始まりました。想像以上に大きな声で始まりましたから、その場にいた人たちが一斉にこちらを振り返りました。一人の50代くらいの女性が私に声をかけてきました。「何が始まるんですか」「朝一語り部というコースがあって、私は事前予約して参加したんです。平日は1万円のコースで今日と同じ内容らしいんですけど、それがたったの千円で参加できちゃったんです。すごくないですか。 良かったらご一緒にいかがですか。まだ定員に達してないみたいだし。私も仲間がいる方が嬉しいし。語り部さん、まだスタートしたばかりだから参加できますよね」 結果的にここからプラス4名が参加することになりました。「では改めてご案内させていただきます」と、ちょっと声のトーンが上がった気がする語り部さんと私を含めた6名で歩き始めました。

しばらく歩いた先で前を歩いていた語り部さんが立ち止まりました。「語り部コースとは別にセラピストさんと回るコースがあって、そこで使われる場所なんですよ」と木立の一角を指しました。前ばかりを向いて歩き続けていた私たちも立ち止まり、語り部さんの指さす斜面側に顔を向けました。そこは立ち並ぶ樹木の間がぽつんぽつんと切り開かれていて木漏れ日が差し込み、まるでひとつの舞台のようでした。昨日の私はここもスルーして歩いていたのだと気づかされました。

丸太でつくられたベッド.png
丸太で作られたベッド


寝転んで見上げた景色.png
寝転んで見上げた景色


語り部さんのお陰で一人の時とはまた違った熊野古道を感じることができ、学び、堪能することができました。その後熊野本宮大社に到着した6名で参拝し一期一会に感謝をして別れました。こうして今回の「ひとり山歩き」は、私にとって自然と繋がる新たな一歩となりました。


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posted by Yu SEKI at 16:00| サポーターコラム