第51回日本ファンドレイジング研究会テーマ:日本をソーシャルデザインする〜「ほしい未来は、つくろう」宣言
日 時:2014年12月10日(水)18時30分〜20時30分
会 場:TKP虎ノ門ビジネスセンターANNEX カンファレンスルーム
講 師:植原正太郎さん(NPO法人グリーンズpeople 事業部 マネージャー)
記 録:川添亮
【Greenzについて、Greenzが目指すもの】
スローガン:「ほしい未来はつくろう」→ どういうことなのか?

(1)事例紹介
@フランスのJeremy Emsellemさんのが始めたプロジェクト「Golden Hook」:
一般のユーザーが、オンラインでお婆ちゃん達オーダーメイドの手編みの製品を頼めるサービス
・毛糸でものを作ることに長けているおばあちゃんたちが暇をもて遊ばしていた
→おばあちゃんたちの雇用の創出と生きがい+手編み製品の価値の再評価
A 川口可奈さん「ハブチャリ」という放置自転車を再利用したシェアサイクリングサービス
・自転車を整備、修理するのはホームレスの人々
→ホームレスの方々はものを修理する技術に優れている
→都市の放置自転車の問題解決+ホームレスの方々の自律+環境に配慮した移動手段の促進
★Greenzは世の中の社会的課題を人に任せるのではなく、身近な問題に対して
自分たちが率先してアクションを起こすことを呼びかける。
またそれを一人でやるのでなくみんなでやるムーヴメントを創出することを目指している。
(2)ソーシャルデザインとは?
・社会的な課題の解決と同時に新たな価値を創出する画期的なしくみつくること。
★Greenzのミッション:ソーシャルデザインの生態系作り:お互いが社会問題解決のために
したいことを支えたり、コラボレーションしたりする仕組みを世の中全体につくる
【では上記の未来を達成するためにGreenzはどんな活動をしているの?】
(1) “Greenz.jp”というWebマガジン
・1日一本から二本海外などのソーシャルデザインの事例を紹介する記事を掲載
(2) “Green books”紙媒体でもソーシャルデザインを紹介。現在まで3冊出版。
・Greenz.jpで特に人気だった記事を再編集して掲載
(3) “Green Drinks” 実際に読者の方と気軽に出会える場
・ “Green Drinks” は元々世界で展開されているオープンプラットフォーム
・毎月2回 “Green Drinks Tokyo” Greenzが主催する “Green Drinks”
(4) “Green School” Greenzが主催する学校
・自分でもソーシャルデザインを実践したくなった人むけ。Greenz流の編集や
インタビューの仕方、自分のプロジェクトの自分の仕事をするためのマネタイズ方法、
など深い学びの場。
(5)「リトルトーキョー」 虎ノ門ヒルズに真裏にあるカフェバー兼イベントスペース
・お昼は単なるカフェ1000円でとても美味しいご飯⇄夜はほぼ毎晩イベントを開催
【グリーンズは何人いるの?】
・有給のスタッフは4人:代表、編集長、副編集長+植原さん(植原さん以外は全員理事)
・編集の専用アシスタントが2名と全国にライターが70名
【ところでグルーンズはどうやって稼いでるの?】
★グリーンズの強み:企業、行政と、読者を繋げる
→企業、行政が課題と思っていることと、読者や取引先をつないで、課題の解決に導く
@YAMAHAの音街プロジェクト:
ノウハウの伝達、コンサルを行って活動を支援、認知の促進など。
A経産省資源エネルギー庁のDIY発電カルチャー:
ムーヴメントを広げるサポート
【ファンドレイジングについて】
・greenzは寄付会員制度「greenz people」を運営:
greenz.jpのメディア運営を月額1000円からサポート。
「欲しい未来は、つくろう」が集うコミュニティからムーヴメントに。
・greenzが目指すもの:「Community supported media」
→由来は…
「Community supported agriculture」(欧米で流行っている:
・自分が住んでいる地域の農家をそこに住んでいる人たちが支援
・農家を支える会員制度→会員特典:収穫の際に野菜
・地産地消、運送費かからない、環境負荷軽減、生産者と消費者の距離が近い
★寄付会員制度による寄付→国内外のソーシャルデザインの事例を配信
→プロジェクトが認知される、支援される、コラボが生まれる→記事がシェアされる
→ソーシャルデザインに対する理解が深まる、アクションを起こしたい人が増えて行く
【寄付だけでGreenzを運営するには3000万円ほど必要】
★現在会員数:350人←10倍に!(毎月20〜30人増えてきた)
10倍実現にむけて:greenz 植原さんの取り組み
(1) Greenz people会員特典の拡充
@会員限定のメルマガが月に一回:
グリーンズの編集の裏側の仕組みの話、マネタイズの話、
対談記事など(本にできるくらい読み応えがある)
A会員限定のgreen Books:年に2回、70〜80頁:
もっと濃い中身、会員にしかとどかない
B Facebookを活用したオンラインコミュニティでの会会員同士の交流場
(2) 寄付決済/会員管理
・12月中旬からgreenz独自の寄付決済/会員管理システム「green payment」を運用予定
→独自のシステムを開発した理由:
モバイル対応の必要性/会員フレンドリーなシステム/他者システムの依存のリスク軽減
・今後の展望:Lineなどを使った決算システムなど。
(3) イベントをもっと増やしていく
・仮説:web訪問者→イベント参加者に→寄付会員に
・2014年の現状:寄付会員:200人/年、web訪問者(全体):
279万人/年、web訪問者(リピーター)90万人/年、イベント参加者:300人/年
★2015年はイベント参加者を2000人/年に!
→@Green drinks Tokyo :960人/年
Aオープンランチ:200人/年
B朝活(読書会など):260人/年
Cその他イベント:480人/年
(4) webマーケティング
★読者が増えれば→会員が増える!
・ニュースプラットフォームとの連携→色々なプラットフォームにグリーンズの記事を配信
→Smart News経由でweb訪問者5万人増の経験
・Google for Nonprofit やLinks for Goodの活用検索キーワードからGreenzの読者を増やす
・CVR向上:訪問者が増え、読者が増えたら…→会員への導線を刷新
★これらのことを実践するためにITプロボノチームを作る。
【質疑応答】

質問:「現在の会員350名の導線はどうなっているのか?
上記の仮説は会員350人とマッチングできている?」
植原:「全然できていない。Greenz peopleになってくれる方はweb読者のかたばっかり。
いままでイベントでそのGreenz people の話しなどはしてなく、webでしか告知していない」
質問:「350名の継続率は?」
植原:「8割〜9割。いままで年間6000円だった。退会のタイミングが少なかったのかも。
月額1000円にすると退会率は上がる可能性も」
質問:「年間6000円から年間12000円ということは会費が倍になる?」
植原:「元々年間6000円に意味はなかった。寄付単価を上げる意味も。
年間6000円より月額1000円のほうが入りやすく、辞めやすい。」
質問:「この独自の決済システムを他のどこかに有料で提供することはある?」
植原:「自分の野望、Greenzで実績を積んだのち2〜3年後にはそれを目指している」