テーマ:「NPO/NGOと企業との連携、徹底解説!〜企業連携ができる団体へ成長するために〜」
日 時:2014年4月9日(水)18時30分〜20時30分(開場:18時15分)
場 所:航空会館6F 603会議室
講 師:河内山信一氏
(株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズ代表取締役、准認定ファンドレイザー)
記 録:山本匡浩
(日本ファンドレイジング協会ボランティア、ADRA Japan)
※今回の研究会は、外務省から委託をうけて行なった調査に基づいている。外務省への報告書は、後日外務省のNGO研究会のページにアップされる予定である。
○調査の概要この調査の目的は、NGOと企業の連携を促進するため、NGOのあるべき姿と、団体の現状を把握し、課題を解決するためのフローを策定することである。そのために、NGOと企業の連携がステップアップしたかどうかを調査した。ステップアップとは、下記のような企業連携が発展・拡大したものを指している。
1)連携導入期(物品寄付、社員ボランティア、施設貸出、募金箱設置など)
2)連携理解期(団体への寄付、法人会員、プロボノ支援、マッチングギフトなど)
3)連携発展期(コーズ・リレーテッド・マーケティング、業務委託、商品開発、サービス提供など)
ベストプラクティスを個別インタビューした定性調査(12企業・団体)と、NGOへのWEBアンケートで定量調査(回答46団体)を行ない、そのなかから企業連携パターンをフロー化した。なお、調査対象46団体中、11団体がステップアップを経験していた。
○NGOの段階別ポイント1)NGO初期段階 〜企業に紹介される団体になる〜ステップアップするNGOは、事業計画書と活動報告書、自団体紹介の資料を持っていることが望ましい。また、3ヵ年計画をもっている団体が多い。企業は中期計画(3年)に従って動くため、3ヵ年計画があるNGOは企業に提案をしやすい。
また、ホームページ(HP)、講演(イベント)の実施、プレスリリースの配信などの情報発信をしていることも重要である。
インタビューでも企業は、HPやメールマガジン、講演会などで情報収集し、口コミなどを通じて連携するNGOとコンタクトを取っていることがわかった。
2)NGO成長期 〜世の中を「巻き込む力」をつける〜ステップアップ経験があるNGOの8割は、外部ネットワークに参加している。例えばNGOのACEは、20以上のネットワークに参加し、毎年それぞれの活動を評価し、継続するかどうかを検討している。
また、企業がNGOに求めるものは、専門性と発信力。企業は専門性として、専門知識だけでなく、(現地での)マーケティング力、(海外)政府とのコネクションなどを期待している。また、NGOが活動に関わる白書をだしたり、アライアンスをつくることで、団体の専門性や、その認知が広まる。
発信力については、以下のベンチマークが目安となる。ベンチマークは、各項目で上位25%に入るラインに設定している。
・NGO発信力ベンチマーク
HP:1300PV/月(約400PV/日)
取材数:10件/年
講演数:43件/年(約3件/月)
メルマガ数:2000通
Facebookいいね!数:1,000いいね!
Twitterフォロワー数:600フォロワー
BLOG更新数:月10回更新/(3日に1回更新)
ネットワーク数:10団体に加盟
3)NGO信頼期 〜見つけられる、そして選ばれるNGOになる〜信頼期では、企業を理解し、その目的にあった提案をする力を求められる。また、企業は対等に仕事をするビジネススキルを持つ団体・スタッフに信頼を寄せている。
それに加え、NGOの理念と、企業の目的を共有することが重要。リコーとセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)の連携事例では、リコーの目的は、海外でのデジタル印刷機の販売だが、それはSCJの目的ではないため、販売は手伝わないという線引きをしていた。NGOは企業の下請けではなく、同等のパートナー・専門家として連携することが大切。
○質疑応答
参加者:連携がうまく行かなかった例で、阻害要因はなにか?
講 師:うまくいかなかった事例は調査対象ではないが、何かが足りない団体が多い。ベンチマークやそれぞれの段階ごとで、足りていない部分があると連携が躓きやすい。
参加者:今回の調査対象は、NGOだったが、NPOに使えるものは何か?
講 師:NGOの特徴は、海外の現地情報を持っていること。企業はどのようなネットワークをもっているのかを重視する。国内のNPOの場合もネットワークが重要。例えば、保育のNPOだったら、保育園ネットワークなどつながりの力を見られている。ネットワークや専門性の数値化して評価することが重要。
また、白書を出ことでネットワークが広がり、ピンポイントで関心がある企業からコンタクトを得られる。
参加者:中間支援という立場にいると、よく企業からどこと連携すればいいのかと相談をうける。そのとき、良く知っている団体が頭に浮かぶ。中間支援団体のスタッフに、自分の団体の強みを理解してもらえば紹介されやすくなる。
講 師:企業に紹介される団体になるためには、中間支援団体との付き合いが必要。そして、自分のやっていることをうまく伝えておくことが必要。例えば、環境イベントに参加したいという大手外資系企業が、環境系中間支援団体に相談に来て、そこを経由してある団体との連携が成立した事例を知っている。
○まとめ今回の調査結果は、当然のことだと思われるかもしれないが、現在の実態を表している。しかし、3年後になればその姿も変わっていく。そのため、3ヵ年計画をつくることをおすすめしている。
NPOは、社会変革をするものであり、社会の変化に大きく影響をうけるので、常に現在のポジションとゴールを見直してほしい。
━・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
【次回の研究会】
「4000人が参加する米国ファンドレイジング大会の報告会」
〜SHIFT the way you think about everything〜
詳 細:
https://blog.canpan.info/jfra/archive/1149 日 時:2014年5月14日(水)18時30分〜20時30分(開場:18時)
場 所:日本財団ビル 2階 第1-2会議室
〒107-8404 東京都港区赤坂1丁目2番2号日本財団ビル
http://www.nippon-foundation.or.jp/org/profile/address.html 参加費:3000円(当日支払)
━・‥…━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆