事務局の石川です。
2013年度初のファンドレイジング研究会が終了しました。今回の研究会からは、認定・准認定ファンドレイザーからなる「ファンドレイジング研究会企画委員会」によって企画・コーディネイトされて開催されたのですが、結果は大成功!参加者も多く、終了後のアンケート結果もとてもよい評価をいただき協会一同とてもうれしく思っています。みなさま、ご参加いただきありがとうございました。
また、素晴らしい講演を行っていただいたACE若槻様、白木様、コーディネーターとして準備に奔走いただいた河内山様にも改めて感謝を申し上げます。
次回の研究会(5月14日)も
受付を開始しましたので、こちらもよろしくお願いいたします。
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議事録:第35回ファンドレイジング研究会
テーマ:「企業から寄付されるNPOになるには」
日時:2013年4月16日(火)18時30分〜20時30分
会場:会場:日本財団ビル 第1+2会議室
講師:特定非営利活動法人ACE
代表 岩附由香氏 / 事務局長 白木朋子氏
コーディネーター・司会:株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズ
代表取締役 河内山 信一氏 (准認定ファンドレイザー)
記録担当:村松正彦
【講師の紹介】
<岩附由香氏>
認定NPO法人ACE代表。1974年生まれ。東京都出身。上智大学在学中に米国に留学、帰国の途中メキシコを訪れ、そこで物乞いをする2人の兄弟に出会う。
帰国後、大阪大学大学院国際公共政策研究科に進学、修士課程を修了。その在籍中に、ACEを立ち上げ、以後NGO職員、会社員、国際機関職員、フリー通訳等の仕事と並行してボランティアでACEの活動を続け、2007年より常勤。国際協力NGOセンター副理事長。
<白木朋子氏>
認定NPO法人ACE事務局長。学生時代にインドを訪れ、児童労働を余儀なくされる子どもたちに出会う。1997年ACE設立より参画。海外事業の管理、講演・ワークショップ、CSR・企業との連携、組織運営に従事。明治学院大学国際学部卒業。英国サセックス大学・文化環境開発研究所、開発人類学修士課程修了。民間企業を経て2005年4月より現職。
共著(岩附、白木)「わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。」(合同出版)。
<河内山 信一氏>
株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズ 代表取締役/准認定ファンドレイザー
1973年生まれ。東京都出身。大学卒業後、15年間広告代理店に勤務。企業の環境コミュニケーション、CSR事業準備室の立ち上げ、愛知万博など、環境やCSR周りを担当。2012年3月に2社目の電通を退社後、ファンドレイザーを目指し、NPOなど非営利団体のファンドレイジング(資金調達)を基本としたコンサルティングを主な事業とする株式会社シン・ファンドレイジングパートナーズを設立。
http://www.shinfundraising.co.jp/【岩附氏の講演】

<ACEの概要>
ACEの使命は、市民と共に、児童労働の撤廃と予防の活動を行う事。ここで「市民」というのは、政府や消費者等々、色々な人が対象となるが、企業も含まれる。児童労働を無くすためには、企業のサプライチェーンにも取り組まないといけないので、企業との協働も行っている。
<企業から寄付されるNPOになるには>
企業から寄付されるNPOになるための、5つのポイントを紹介する。
ポイント1:企業を巻き込むことをミッション達成に位置づけよう!
児童労働に反対する国際団体が「ワールドカップという機会に児童労働問題を知らせる」ことに重きを置いたキャンペーンを行っていたが、日本が開催国となるWC2002にあわせ、2011年に記者会見を開催おこなったので私達も協力した。このキャンペーンは啓発的な意味合いでやっていたが、企業は真剣に連絡してきた。このことが契機になり、「企業は単に寄付する団体ではなく、児童労働をなくして行くパートナー」と考えるようになった。
ポイント2:ネットワークに参加しよう&思い立ったら話を聞こう!
ACEは、児童労働・NGO・CSRなどをテーマとした様々なネットワークに加盟している。このネットワークを通じて、他のNGOや企業とも会う機会が増えて来た。ACEを代表する商品に、「てんとう虫」チョコがあるが、この協働もネットワークを通じてお話しを頂いた。
ポイント3:企業の適切な人と会う方法を考えよう!
企業へのコンサルティングについても、このネットワークの他のNGOから相談されて、「では、ACEがコンサルティングしましょう」となる事が多くなった。数年前にG8サミットNGOフォーラムに参加したが、その際に大手広告代理店のCSR担当者と会い、その方を通じて森永製菓さんのNGO担当者を紹介して頂いた。
【白木氏の講演】

ポイント4:企業の方が社内で説明しやすい、団体ポジショニングを確立しよう
森永製菓さんは、他のNGOの方と既に協働を行っていた。では、ACEが森永製菓さんとタッグを組むうえで、ACEの独自の価値をどう高めるか? そのためには、専門性を高める事。カカオの児童労働やガーナのカカオに詳しい、というACEの知見や、「てんとう虫」チョコから「チョコといえばACE」の認知が進んでいたという実績がACEの独自の価値となる。これが企業に対するACEのポジショニングとなった。
また、アドボカシーと国際協力の組みわせという強みを磨いてきた。企業の国際的なネットワークに入り、カカオについて学んできた。現地の人達、商社の人達とのネットワークもある。新聞・テレビでも取り上げられた。これらもACEの独自の価値。
ポイント5:一緒に仕事をするパートナーという意識を持とう!
児童労働の問題はチョコの中にある。海外企業は、生き残り戦略としてこの問題に取り組んできたが、日本企業はその問題を隠し気味だった。「この問題への取り組みをACEと一緒にやりましょう」というのが企業との協働に対するACEの考え。
森永製菓さんからは2011年から支援を頂いているが、2013年はACEのプロジェクトで取れたカカオ豆によって、森永のチョコレートがつくられるようになった。森永製菓さんにとっても「児童労働のないチョコ」ということで、チョコの価値が上がる。
【質疑応答】
Q.企業側から目標値は求められたか?
A(白木さん).求められなかった。売上はACEには求められていない。ACEに求められているのは、現地で成果を上げる事。勿論、売上が上がらなければ企画は続かないと思っていたので、自分達も意識を持って一緒に売り込んで行った。
A(岩附さん).むしろ数値的で無いものを求められている。「この企業がこんな素晴らしい取り組みをしている」という認知・評判を広める事が求められている。
