被災地の郷土芸能の現在 [2012年03月01日(Thu)]
3月になりました。
東日本大震災が発生してからもうすぐ一年が経とうとしています。 この一年、皆さんどのように過ごしてきましたか。 そして一年を目の前にどのような思いをお持ちですか。 震災後、郷土芸能や祭りを取り巻く環境や視線は、被災地のみならず全国的に大きく変わりました。 それらは地域に無くてはならないものとして、また地域を繋ぐものとして、大いに取り組まれ、大いに取り上げられました。 これほどまでに多くの集落で、地域で、様々な芸能や祭りが行われていたなんて、こうなるまでは誰も気づきませんでした。 それでも皆、当たり前のように続けてきたものでした、嫌でも、人がいなくてもやらなければならないものでした。 一方、「地域のもの」だからこそ私たち外部の人間は知る術を無くし、いざこうした事態になって初めて状況把握を試み、愕然としたものです。 一年が経とうとしている今でも、私たちは状況把握が難しい状態にあります。 遅々として進まない被災した「無形民俗文化財」の調査、支援。 私たちの力不足と、そしてあまりにも多いその数、種類。 (社)全日本郷土芸能協会は、関係者・関係団体・教育委員会などと連絡を取り合いながら、被災地の郷土芸能や祭り、行事のリスト化に努めていますが、あまりにも数が多く、定義が難しく、そして「人」が絡んでいるものでなかなか公表できないでいました。 けれど、皆さんが忘れないように一つ一つクリアにしていかなければなりませんよね。 前置きが長くなってしまいましたが、現在全郷芸が調査し把握している数だけでも知っておいてもらいたいと思います。不明な点も多く定義が曖昧とはいえ、ショッキングです。 岩手県 沿岸被災地域の芸能・祭り・行事等(権現様を含む):約400 被災(津波で伝承者・用具が何らかの被害にあった):130以上か 宮城県 沿岸被災地域の芸能・祭り・行事等(春祈祷行事を含まない):約300 被災(津波で伝承者・用具が何らかの被害にあった):190以上か 福島県 沿岸被災地域および原発被災地域の芸能・祭り・行事等:約500 被災1(津波で伝承者・用具が何らかの被害にあった):70以上か 被災2(原発によって避難し、地域住民が分散している等、地域として状況が把握できない):約200 [(社)全日本郷土芸能協会調べ*各県民俗芸能緊急調査報告書等を基に、阿部武司氏(東北文化財映像研究所)、久保田裕道氏(儀礼文化学会事務局長)、橋本裕之(盛岡大学教授)、とりら〜ふるさと岩手の芸能とくらし研究会、宮城県文化財保護課、福島県文化財課の協力をいただき、その他新聞記事等を基に監修している・平成24年2月29日現在] この数はほぼ集落の数に値するはずです。 活動再開した所も数多くありますが、福島のように今はどうしようもない状況もあり、これから何年もかけて道を模索していかなければなりません。そんな時に力になれる体制をしっかり作っていきたいと思っています。 |