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2011年04月22日

大切な思い出の品々を守る 〜水災害後の応急処置〜 2/2

こちらのブログからの続きです。

賛助会員滑G画保存研究所 小谷野匡子先生から、下記の応急処置方法の情報を提供いただきました。

大切な思い出の品々を守る 〜水災害後の応急処置〜 2/2

フロッピーディスク

 ◆ケースからディスクを取り出し、きれいな水につけます。

  キッチンペーパーやマイクロファイバーのタオル(眼鏡拭きのように糸くずのでない布)などの上で乾燥させます。

  乾燥後は新しいケースに入れ、データをコピーし、オリジナルは破棄します。

ビデオテープ、カセットテープ

 ◆濡れている場合は、ケースからテープを取り出します。

  テープは巻いた状態のまま、きれいな水で洗います。

  きれいなシーツまたはタオルの上に縦に立てて乾燥させます。

  乾いたらケースに戻し、コピーし、オリジナルは破棄します。

LP、45s、78‘sなどのレコード

 ◆ラベルやジャケットについては上記の紙の項目を参照して下さい。

  レコードに泥や土がついている場合はきれいな水で洗い落とします。

  横にした網戸の上など空気循環のいいところで自然乾燥させます。

コンピュータハードドライブ

 ◆ハードドライブは、乾かすだけでまた利用できるものではありません。

  ドライヤーを使って乾かすのはやめましょう。

  コンピュータからハードドライブを取り出し(振って水を出したりはしない!)、そのままプラスチックの袋に入れ、コンピュータリカバリーの専門会社に送ります。

  バックアップディスクやテープの方がより簡単、安価に復元できます。

注意事項

★本格的な処置については専門家に相談しましょう。

<汚染物質>

 水災害により、下水、肥料、ガソリン、油やその他化学薬品などに汚染されてしまうことが考えられます。

このような対象物の回収は可能ですが、回収している人への危険が大きいことがあるため回収が本当に必要かどうかを慎重に考える必要があります。

 回収する場合は、ゴム手袋を着用しましょう。

レスピレーターも使用する方が良いですが、ない場合は外の広い場所でのみ回収作業を行いましょう。

ゴーグルなど目、鼻、口を守れるものを着用しましょう。

また、回収作業を行っている人は白い使い捨てつなぎ服(工務店で売っていて、画家や建設業者がよく着用するもの)を着る方が良いですが、ない場合は長袖、長ズボンを着ましょう。

作業終了の度に着たものは捨てましょう。

 汚染物を除去するには、きれいな水で汚染物がなくなるまで何度も洗います。

<カビ>

 まず、カビが活性化しているか休眠状態であるかを確認します。

活性状態のカビはけば状であったり粘着性であったりします。

休眠状態のカビは乾いて粉状になっています。対象物を乾燥、かつ涼しい所に移動し換気が十分されていることを確かめましょう。

このような状況下ではカビの活動が止まり、匂いも自然と消えます。

カビが生えているのが確認できた場合、完全に対象物が乾くまで取り除く作業はしないでください。

乾いてない状態で取り除こうとすると逆にカビが擦り込まれてシミになり、その除去が不可能になります。

 短時間、太陽光に当て、外気にさらすことによって匂いが取れることもありますが、光により暗色化したり、褪色するものも多いので気をつけて下さい。

<煙・煤>

 まず、柔らかい化粧用ブラシなどを使い、慎重に煤や汚れを除去します。

汚れ・煤などは匂いを紙などに吸着する源になります。

次に、対象物を平らにテーブルの上に置きます。

本の場合は本棚に置くようにテーブルの上に置き、扇状に頁を開きます。

除湿器をテーブルの近くで回します。

湿気を取ることによって匂いも除去されます。

除湿器がない場合は扇風機でも大丈夫です。

また、対象物をゴミ袋に入れ、重曹1箱の蓋を開けたものを一緒に入れて結び、2,3日置いておくと匂いを取る効果があります。

この方法で匂いが少なくなったようなら、もう一度繰り返してみると良いでしょう。

注:湿気の強い所ではカビが生えてしまう可能性があります。

 短時間、太陽光に当て、外気にさらすことによって匂いが取れることもありますが、光により暗色化したり、褪色するものも多いので気をつけて下さい。

<自然乾燥>

 最大限の空気循環で乾燥させるためには扇風機を使うと効果的ですが、対象物に直接風を当てないようにしてください。

余分な水分はスポンジ、ペーパータオル、画用紙、タオル、シーツなどのものを使って吸い取ります。

インクの手書きのものや損傷しやすそうなものの表面の水分は吸い取ろうとしないで下さい。

また印刷インクが染み込んでしまうことがあるので新聞紙で吸い取らないで下さい。

しかし、もし新聞紙以外のものが手に入らない状況のときは、新聞紙のカラーで印刷された部分で吸い取るようにします。

こするとカラーのインクがとれることがあるので擦らないように注意します。

<乾燥中の損傷>

 もし乾燥中に対象物が壊れたりバラバラになりそうになっても、完全に乾燥するまでは直そうとしないようにしましょう。

壊れたピースを容器に入れ、ラベルを付けておきましょう。


参考サイト:

http://www.loc.gov/preserv/familytreasures/ftpreserv.html

http://www.conservation-us.org/index.cfm?fuseaction=Page.viewPage&pageId=597

http://www.nedcc.org/resources/leaflets/3Emergency_Management/07SalvageWetPhotos.php

http://cool.conservation-us.org/bytopic/disasters/primer/waters.html
posted by JCP at 15:27| Comment(0) | TrackBack(0) | report

大切な思い出の品々を守る 〜水災害後の応急処置〜 1/2

賛助会員滑G画保存研究所 小谷野匡子先生から、下記の応急処置方法の情報を提供いただきました。

大切な思い出の品々を守る 〜水災害後の応急処置〜 1/2

安全対策

★作業をする際には長袖、衛生手袋、マスクや保護眼鏡などを着用しましょう。

  カビまたは有害物質を扱った後は抗菌石鹸を使って手を洗いましょう。


★カビには有害なものがあるため、カビまたは有害物質が見受けられる場合は感染対策用マスク(レスピレーター)を使いましょう。

  体調に異常を感じた場合は医者に相談しましょう。

  乾いているカビを除去する場合は、カビ胞子が自分に向かって飛ばないように気をつけましょう。


書類、地図、ポスター、賞状など

★濡れている場合(紙は濡れている状態では非常に弱いため注意しながら、また十分に下から支えながら慎重に扱いましょう。)

@吸水性のある紙などで余分な水分を取り除きます。

A乾燥します。

 ◆濡れている場合、重なった紙類などは無理に剥がさないようにします。

  0.5cm程度以上の高さまでなら、重ねた状態で乾かしてもかまいません。

 ◆重なった紙を問題なく剥がせる場合は、吸水性のあるキッチンペーパーやクッキングシート(ワックスペーパー)などを間にはさみ、紙作品が乾くまで取り替えます。

 ◆可能であれば、錆びてないきれいな網戸を木のブロックやレンガを間に挟んで積み重ね、網戸の上に紙を乗せて乾かせばより効果的に乾かすことが可能です。

 ◆テーブルなどの硬い表面の上で乾かす場合は、吸収性の良い材料を敷き、湿ったら取り替えながら乾かしていきます。

B平らにします。

 ◆ほとんど乾いた状態になったら無地の薄紙のような保護紙の間に入れ重しを上に乗せます。

(注:水分が抜け切れてない状態で重しをしてしまうとカビが生えてしまう可能性があるので、こまめに確認をします。)


★乾いている場合

@汚れを取り除きます。

 ◆柔らかい筆やスポンジで埃や汚れなどを除去します。

A塩水に浸ったものは真水に浸して洗います。

 ◆絵具やインクが水に溶けるものは洗えません。

 ◆バットに水を張ります。まず、紙の支えになる合成繊維の紙か、なければ薄い布などを浮かべます。

  その上に紙作品を乗せ、水に浸します。

  水は、何度か新しい水に替えて洗います。

B乾燥します。

 ◆机の上に新聞紙を敷いてその上にキッチンペーパーを置き、支えの紙又は布ごと作品をその上に移動し、自然乾燥します。

C平らにします。

 ◆濡れている場合のBと同様の手順で乾燥します。



@半分以上濡れてしまっている本はまず水切りをします。

 ◆本は、シーツまたはタオルの上に立たせ、小さく切ったスポンジを本の前側の縁に当てて水切りをします。

  水切りの際は本を閉じたまま行います。

  水が垂れなくなったら本の冷凍が可能になります。
 
  本は、濡れているときには開かないようにします。

A本を冷凍します。

 ◆冷凍すると本への更なる損傷を防ぐことが可能であり、その状態で数週間、数ヶ月と安定した状態で保存ができます。

 本はクッキングシートのようなワックスペーパーに包み、冷凍庫に入れます。

 霜取り機能のある冷凍庫の場合は、凍らせたまま本を乾かすことができますが、数週間から数カ月かかります。

B本を解凍します。

 ◆本を解凍するときは、霜をはらいゆっくり解凍します。
 
  解凍中は、適宜余分な水分を吸い取ります。

C本を乾燥します。

 ◆本が半乾きの状態のとき、一番効果的に自然乾燥させることができます。

  本を立て、扇形に開いて乾燥させます。
 
  上下の縁のうち、より乾いている縁の方をまず下側にします。

  数時間ごとに、上下を逆にして乾燥させます。

 ◆乾かすときは、本より大きい白いキッチンペーパーを1枚ずつ表紙・裏表紙と次頁の紙の間に入れてから本をたてて乾燥させます。

  キッチンペーパーが濡れたら取り替えます。

D本に重しを乗せます。

 ◆本が、濡れてはいないけれど触るとひんやりする状態になったら、本を閉め、レンガなどの軽い重しをして歪みを最小限にします。

  カビが生えてないかときどきチェックします。

写真

 ★殆どの写真、ネガ、スライドは自然乾燥が可能です。

  古い写真には水により損傷を受けやすいものがあり、その場合は修復・復元が難しいことがあります。

@汚れを落とします。

 ◆写真が泥や土まみれでまだ濡れている場合は、冷たいきれいな水をためたバケツや緩やかな水流の下で優しく洗います。

  泥は乾いた状態で除去する方が取れやすいので、無理に完全に取らなくて大丈夫です。

A乾燥します。

 ◆写真(画像の部分)側を上にして乾燥させます。
 
  濡れている時は写真やネガ(画像の部分)を触るのは避けます。

  (注:ネガ、スライドでは、大概、光沢がない側が画像側です。)

 ◆早く乾燥させるには、洗濯バサミ(木の洗濯バサミあるいは、傷が付きにくい挟み口が平らなプラスチック製のもの)を使って洗濯紐に吊るします。

  画像部分の上には留めないように注意!

 ◆額装されている写真は、まず、額のガラス部分を下にし、裏ボードなどを取り出します。

  写真がガラスにくっついてしまっている場合は取り出さずそのままガラス面を下にしたまま平らな状態で乾燥させます。

 ◆乾燥中に写真が丸まってしまっても、後で平らにできるので大丈夫です。

衣類、布類(テキスタイル)

 ★繊細な生地のものは広げないようにしましょう。

  濡れているものは重ねないようにしましょう。

@洗います。

 ◆洗ってすすぎ、水分をきれいなタオルやシーツなどで取り除きます。

  濡れている状態で元の形に整えます。

A乾燥します。

 ◆可能であれば、屋内で扇風機やエアコンを使い乾燥させます。

  無理であれば、外で陰干しをします。
 
  錆びてないきれいな網戸を木のブロックやレンガの間に挟んで積み重ね、網戸の上に乗せて乾かせばより効果的に乾かすことが可能です。

木製家具

 ◆スポンジなどを利用して表面を軽くクリーニングし、水分を拭き取ります。

  ゆっくり空気乾燥させます。

  合板などを利用した家具には重しをするかクランプを使って押さえて乾燥させます。

  その際、表面にワックスペーパーなどを当てて保護します。

 ◆水分や湿気により表面に白い曇り(ブルーミング)が現れることがありますが、すぐに処置が必要な症状ではありません。

  処置については専門家に相談しましょう。

布・皮張りの家具

 ◆泥を洗い落します。

  クッションや取り外せるものは取り除きます。

  シーツやタオルにくるみ空気乾燥させます。

  シーツやタオルは濡れたら取り替えます。

  木製の部分は水分を拭き取り、ゆっくり自然乾燥させます。

絵画(油絵)

 ◆額から取り外します。

  絵は木枠から外さないようにします。

  絵の部分を上にし、平らに置いて乾かします。

  画面の上には何も触れないようにします。

  直射日光での乾燥は避けます。

 ◆絵画の表面にも、乾燥後にブルーミングの症状が現れることがあります。

  (木製家具の項を参照)

絵画(掛軸)

 ◆濡れている場合:水分を吸い取る紙を下に敷いてその上に広げ、陰干しで乾かします。

  上に毛布など薄手の布をかけて乾かすと、乾かすときにできる歪みを押さえることができます。

 ◆巻いたまま濡れて乾いた場合:巻いた状態で濡れたときは、中までは濡れていないことも多いものです。

  しかし、巻いた状態で中まで濡れて乾いてしまった場合は、無理に開くと裂けることがあります。

  その場合は、湿らした紙に包んでビニール袋の中などに2時間位おき、全体に湿りがまわったら開いて陰干しします。

金属品

 ◆泥やゴミが付着している場合は、きれいな水で洗い、すぐに乾いた柔らかい布で拭いて乾かします。

  彫刻などのような大きな金属作品に大きい泥の塊がついているような場合には、そのまま乾かします。

  固まった泥は後で取り除きます。

CD

 ◆きれいな冷たい水で泥や土を洗い落とします。

  それでも落ちない場合は薄い洗剤液につけておきます。

  CDを擦ってはいけません。

  ラックがあって縦にして乾燥できる場合はそうします。

  もしそうできない場合は、きれいなワックスペーパー(クッキングシートなど)の上にきれいな紙を置き、その上に印刷面を下にして置き、乾燥させます。

  紙は濡れたら取り替えます。


この内容は、次のブログへ続きます。

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2011年04月11日

災害発生時の対応と、写真/電子資料の応急処置方法 2/2

災害発生時の対応と、写真/電子資料の応急処置方法 2/2

こちらのブログからの続きです。

 以下は、IFLA(国際図書館連盟)のマニュアルから、災害発生時のマニュアル部分を抽出しました。
水損資料の応急処置については、現在様々な団体のHPで見ることができますが、こちらはより専門家向けに、初動から一段進んだ段階までの対応方法を記してあります。

@@は、特に重要な部分、(@@)は、筆者の注記です。

(文責:谷村 Hilgeman 博美)


f 職員、作業要員への支援

― 復旧作業に携わるすべての人々が定期的な休憩と食事、飲み物をとれるよう用意し、現実に即した労働時間とすること。
必要な場合、適当な避難場所(テントや毛布など)を用意すること。

― 進捗状態、未解決の問題、職員個々の貢献の重要性について、全員が認識できるよう、定期報告を行うこと。

― ボランティアには必ず、報酬を払うか、または他の形で謝礼をすること。

― その機関の職員自身が、自分の職場環境が破壊されているのを見ることにより相当な心理的トラウマに苦しんでいる可能性があることを忘れないこと。
適切なカウンセリングを行うことを検討すること。


g 水損資料を事前に選定した復旧作業場所に移動させる

水で濡れた紙はとても脆いことを忘れないこと。

(できれば箱に入れる、あるいは台の上に置いて運ぶ。)

― 資料は別々に運ぶこと。

― 最初に、床に置かれた資料を移動させること。
次に、書架の一番上段の資料を動かし、順次下段に進めていくこと。

― 資料の移動経路をつかみ、情報管理を良くするために、明確な流れ作業の手順に従って資料を移動すること。

事前に注意深く研修を行い、実際の処理に当たっては適切な監督の下で行うことにより、復旧後に、資料がどこにあるか確認するための時間やコストを、かなり軽減することができる。

― 閉じた本は閉じたままにし、開いた本は開いたままにすること。くっついてしまった本同士や一枚物同士を引き離さないこと。(とても大事です!!!)

― 写真資料の表面に触れないこと。

― 泥まみれの閉じた資料は閉じたまま、きれいな流水で(ホースを使って)洗い流すこと。

(この作業、また洗い流すかどうかの判断には専門家がいた方が良いと思います。)

例えば煙で損傷した資料を非常に丹念にクリーニングする場合は、資料が乾燥するまで待つこと。

(大抵、乾燥してからのクリーニングが安全です。これも専門家の判断が必要と思います。)


h 復旧エリアの資料は処理方法によって分ける

紙資料について、まず決めなければならないことは、被災場所で資料を洗浄し乾燥させるか、冷凍工場に移していったん冷凍し、後で処理するかどうか、である。その決定は以下の条件によるだろう。

(十分な冷凍庫の容量がある場合は、まず冷凍しておくとカビが生えないので安心です。)

― 資料の冊数

― 資料がどの程度、水に濡れ、汚れ、汚染されているか。

― 資料の性質。可溶性インク(手稿本インク、ある種の印刷用インク)とコート紙は、可能なら、冷凍した方がよい。

― 利用しやすく手ごろな値段の冷凍施設が使用可能かどうか。

― 災害が局地的なものか、それとも広域にわたるもので、外部の施設が存在したとしても利用できないようなケースであるかどうか。


i 水損資料の処置

― わずかに水に濡れた資料(可溶性インクを使った資料やコート紙は除く)のためには

 空気乾燥させる。

 これは多くの場合、被災現場で実施可能であるが、スペースが必要であり、大きな労力を要する。

 乾燥作業を行なう環境を除湿し、可能な限り、扇風機を使って空気を循環させる。

(扇風機の風は直接物に当てず部屋の向こう側の天井下くらいに当てます。これで部屋全体の空気が循環します。)

空気を継続的に動かすことは、乾燥スピードを速めるとともに、カビの発生を防ぐ

(早いと48時間でカビが生えてきます。すでに4月半ば、暖かい日が続くと危険です。)

 資料を広げる(例えば、架台式テーブルの上に)

 過分な湿気は、きれいなスポンジか吸い取り紙を使ってやさしく拭いて、吸収すること。

 製本した本は、立てて、ページが扇形に広がるようにする(大型本または薄表紙の大型本は支えるものが必要である)。

または、吸い取り紙(例えば、きれいな新聞印刷用紙、薄い吸い取り紙)をページの間に差し込み、次に圧力をかけ、定期的に紙を替える。
ゆるく綴じた文書や一枚ものの資料は、可能なら、水平な棚上に置いた吸い取り紙の上に広げるか、または、木綿の物干し用ロープにかけて干す。

― びしょびしょに濡れた資料や、くっついてしまった一枚物の資料や、水溶性インクまたはコート紙を使った資料はすべて、 (もし利用可能で手ごろな金額であれば) 冷凍庫に送る。
びしょびしょに濡れた資料は48時間以内に、カビが生える可能性がある。

(一度濡れると、よほど完全に乾いていない限り、湿気ばかりでなく汚れのせいで資料はカビが生えやすくなっています。)

資料を冷凍庫に入れ冷凍することにより、資料を無期限に安定的な状態にすることができる。
それにより、後で処理可能な分量に分けて取り出して乾燥させることが可能になる。

 資料は(可能な範囲で)個別にビニール袋や包装紙に包み、プラスチックの箱に入れること。

図書は背を下にして梱包すること。

(透明の中が見えるビニール袋に入れることにより、中に何が入っているか分かります。

そうでなければ、中身が何か分かるよう、(出来れば中と外に)札をつけてください。

いくつか一緒に乾かして差し支えないものを、最初から一緒にしておくことは可能です。

また、いくつかを一緒にプラスチックの箱に入れてください。

** 冷凍庫は、スーパーマーケットや普通のお店の冷凍庫、あるいは家の冷蔵庫についている冷凍庫でも十分役にたちます。

一時的に大きな冷凍庫が無い場合に。)


 動かしやすく、水に強い容器(プラスチックのトレイや箱、ビニールで裏打ちした標準規格の保存箱)を使うこと。
処理しやすいように、たくさん詰め込みすぎないこと。

 資料にラベルを貼り、記録する。

 冷凍やその他の処理を行うために送り出される資料の容器には、必ず、機関名と容器の内容(情報管理のためのファイル番号、請求記号、シェルフ番号等)を防水マーカーで記したラベルを、はっきりわかるように貼ること。

 現場から離れた場所に運んだすべての資料についての記録を必ずその機関で保管すること。
記入用紙を予め用意することを検討すること。
この段階で時間をかけておけば、後で時間を節約することができる。
前もって取り決めた冷凍施設への資料輸送を手配する。
輸送に数時間もかかる場合には、冷凍設備のあるバンやトラックの手配を検討すること。


― 写真資料と電子資料

可能なら、専門家に助言を求める方が常に安全である。

写真は現像などの過程で、水処理をすることが多い。

そのため、写真資料は、冷たいきれいな水で処理可能なことがよくある。

ネガ(銀塩フィルムやフィッシュを含む)、磁気テープ、写真の印画については、洗浄し、感光乳剤の側を上にして空気乾燥することが可能である。

銀塩マイクロフィルムについては、一時的に冷たい水を張ったバケツに入れてから、フィルム処理施設に運ぶことが可能である。
posted by JCP at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | report

災害発生時の対応と、写真/電子資料の応急処置方法 1/2

災害発生時の対応と、写真/電子資料の応急処置方法 1/2


 以下は、IFLA(国際図書館連盟)のマニュアルから、災害発生時のマニュアル部分を抽出しました。
水損資料の応急処置については、現在様々な団体のHPで見ることができますが、こちらはより専門家向けに、初動から一段進んだ段階までの対応方法を記してあります。

@@は、特に重要な部分、(@@)は、筆者の注記です。

(文責:谷村 Hilgeman 博美)


反応と対応(災害発生時)

― いかなる緊急時においても、常に、人命の安全が最も優先されるということを忘れないこと。

― 組織は常に、安全の問題に関わる場合、救急サービスに従わなければならないことを忘れないこと。

― 対応の種類は、災害の影響がある機関に限ったものであるか、または、災害の影響が地域全体/国全体にわたるものであるか(例えばハリケーンや地震)による。

必要なら、可能な限り、「独力で対応する」ことができるよう準備すること。


1. 最初の対応


― 警報を発して、職員の中のしかるべきメンバー及び適当な救急サービスと連絡を取ること。

その機関の通常の開館時間外に起きる災害は、おそらく、警備員かメンテナンスの作業員によって発見されるということを忘れず、彼らに対し、必ず、通知の手順について適切に周知しておくこと。

― 建物から避難すること。適切で安全であれば、部分的な救済活動を行うこと(例えば、水道を止める、消火器を使うなど)。


2. 主要な災害対応

災害対応チームのリーダーは、救急サービスと協力して、適切なレベルの対応を決定するために、状況を評価すべきである。

そして、リーダーとチームの他のメンバーは必要に応じて、以下の人たちと連絡をとるべきである。

― 他のスタッフ
― ボランティアになり得る可能性のある要員
― 外部機関
― 保険業者
― 専門家

最初の評価は、災害の性質により、建物の外部からしかできない可能性がある。

そして、敷地内に再び入ることを救急サービスが許可した時に、その次の段階の評価を行う必要があるかもしれない。


3. 救出

「急がば回れ」(急ぐほど遅くなる)を忘れないこと。

損傷を受けた資料はできるだけ早く移動させなければという心理的プレッシャーがあるだろうが、状況を的確に評価して、救出を始める前に場所が安全な状態になることが肝心である。

特に、その場所から移動した資料は必ず、すべて適切にリスト化し、資料を入れたコンテナにはラベルを貼ることがとても大切である。

それによって、後で、その資料がどこに行ったか容易にわかるからである。

建物が修繕されるよりずっと前に、「極めて重要な記録」にアクセスする必要が生じる機関もあるだろう。

救急サービスから、その場所に再び入ることが許可された時は、様々な手段が採られるべきである。


a 状況とニーズに関して、再評価する


b すべての活動と支出を記録しておく

 行動を起こす前に、保険と後から行う分析のために、被災場所と被災資料を写真かビデオ撮影すること。

 救出の全過程を通じ、継続して写真により記録しておくこと。

 余分の支出が生じた場合はすべての請求書を取っておくこと。


c 環境を安定的な状態にする

― 電気はすべて、必ず主電源を切ること。

― 被害を受けていない資料は、例えばビニールシートで覆うなどして、風雨から保護すること。

(くれぐれも、資料、その資料のある場所、シートが良く乾いていることを確認してください。

床に直接置いてビニールシートをかけると、往々にして床の湿度が高く、カビの原因になります。)


― (被災)場所は必ず窃盗や略奪から守ること(柵を作る、警備員による警護など)。

― 必ず水をくみ出すこと。

― 許容できる環境レベルを作り、維持していくために、必要に応じて扇風機、除湿機、ヒーターなどを使うこと。

(乾燥のためのヒーターの使用は、温度を上げ、ひいてはカビの発生を促すので注意を要する。)

可能なら、温度と相対湿度を定期観察する装置を設置して必ず環境をチェックすること。

d 水損資料の移動の準備

― リーダーの監督の下に、移動要員を動員し、簡潔に指示すること。

(救出優先順位を頭に入れておく。)

― 復旧チームには潜在的な危険が多々あることを注意させること(例えば、不安定な建物、ぐらぐらする棚、滑りやすくでこぼこな床面、汚染された水など)

― 全員が必ず適切な服装をすること。
必要なら、長靴、手袋(現場が泥や下水等に汚染されているかもしれないので)、マスクをすること。

― 何を一番先に救出すべきかについて、決められた優先順位に従うこと。


e メディアとの関係

「広報渉外担当者」を任命し、定期的に報道・放送関係者への発表を行うこと。

― 広くコミュニティ全体や、修復、再建プロジェクト等に対して寄付をしてくれる可能性のある人たちから、同情や支援を引き出すため。

― その機関の利用者に、資料の被害状況やサービス再開への進捗状況について知らせるため。

― 公表する情報は、専門分野のウェブサイト(例えば、図書館、文書館関連のメーリング・リスト)にも搭載すべきである。

この内容は、次のブログへ続きます。

続きを読むには、ここをクリックしてください。
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2011年04月05日

被災写真応急処置方法について

被災写真応急処置方法について


○写真プリントの処置について

1.塩分除去


 できれば真水で洗う。

アルバムなどからは早く取りだして、一つ一つ水洗いをする。

この場合の水洗いは、大量の水道水(純水よりも)を用いることが望ましいが、井戸水や湧水を使うことでも良い。

アルバムの処置について 参照 


2.表面の汚れを除去

 傷をつけないように、刷毛あるいは軟らかい布などを使用する。指は写真の表面に触れないように注意して取り扱う。


3.乾燥

 1枚1枚、水分をスポンジあるいは布※で除去してから、1枚ずつ日陰で自然乾燥。

熱はかけないようにする。

自然乾燥は吸水性のある紙の上に平に置くか、写真のエッジの画像のない部分をクリップで挟み吊るして乾燥する。

湿っていると重ねた時にくっついたり、カビが生じる。

※ タオルなどケバがあるものは使用しない。


○アルバムの処置について

 アルバム全体を洗うのは乾燥のことを考慮すると難しい。

アルバムから写真のみを取り外し処理。

台紙は海水を含んでいるので、フリーアルバムのビニールシートから写真を外すのは難しいかもしれない。

可能ならば外したほうが良い。


★処置に際しての注意点

1.記録について

・取り出した時の状態、どんな材料の写真か、その後何を施したかを、できるだけ記録しておくことが重要。

・余力があれば、処置する前に複写をしておく。


2.処置が難しいものについて

・重油をかぶっているなど手に負えない案件は、無理して処置をせず、なるべく低温で保管した上で、専門家に問い合わせてください。


3.写真の種類が不明な場合

・写真の時代や技法によって処置方法が違ってきます。

最近の家庭用プリンターでプリントしたものは、水に濡れると画像が消滅してしまうことがあります。

時代や種類が不明な場合は無理に洗浄せず、なるべく低温で保管した上、専門家に問い合わせてください。

  ※問合せ窓口

    NPO法人 文化財保存支援機構:TEL;03-3821-3264 FAX;03-3821-3265

                E-Mail:jimukyoku@jcpnpo.org

(文責:NPO法人 文化財保存支援機構)

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2011年03月30日

洪水で損傷を受けた家族の紙資料・紙作品の応急救済策

関東・東北大震災 被災現場で資料の救援活動をしている方々へ

アメリカ国立公文書記録管理局(NARA)HPの記事の中から、水害資料救援の初動に必要と思われる対策を抜粋して翻訳しました。

災害現場でアルバムや位牌、文書などの救援にあたっている方々に読んでいただければ幸いです。

翻訳は文化財保存支援機構の会員によるものです。

参考となる部分を選んでご利用下さい。

現場ではマニュアルでは対処しきれない問題が数々起きていることと思います。

更に質問がございます場合は、文化財保存支援機構事務局まで、電話(03-3821-3264)、あるいはメール(jimukyoku@jcpnpo.org)にてお問合せ下さい。





洪水で損傷を受けた家族の紙資料・紙作品の応急救済策
アメリカ国立公文書記録管理局(NARA)
1993年8月

国立公文書記録管理局(NARA)は、アメリカ連邦政府の記録に関する国立収納庫として、家族の記録の重要性を認識しています。

1993年の中西部で発生した洪水の際、NARAの局員は、損傷した文書、写真、書物、その他の個人的な書類に関する緊急時の安定化と救済を必要とする一般の方々にお知らせする技術的なヒント集を作成しました。

一部の対象品については、洪水による損傷は取り返しがつかない場合もあることに留意することが重要です。

また、金銭的価値が非常に高い、歴史的価値がある、あるいは思い出深い品々の処置は、必ず修復家に相談しながら実施してください。



カビ

多くの人々はカビに敏感です。

また、一部のカビは毒性です。

カビを処置していて健康上の影響が見られた場合は、中断して、医師または専門家(地域の相談窓口で必要な情報が得られる場合があります)に相談してください。

カビの発生を防ぐ最も効果的な方法は、カビの成長を促進する環境条件(高温・高湿)から対象品を切り離すことです。

最初に考えるべきは、対象品を乾燥させることです(下記の「乾燥」にある注意事項を参照ください)。

湿気を帯び、カビが生えている物をすぐに乾燥できない場合は、凍結させて安定化させるという方法があります。

損傷した対象品を家庭用または業務用冷凍庫に入れてもカビは死にませんが、そうすることで適切な処置環境が整うまでカビを休眠状態にします。

後日、時間ができたときに凍結した対象品を対処できる数ずつ解凍し、処置することができます。


活動中のカビは毛羽立っていたり、ぬるぬるしていたりするように見えます。

休眠中のカビは乾燥していて、粉状です。

活動中のカビを除去しようとしてはいけません。

除去しようとしても広げて、こすりつけてしまうだけです。

凍結後または母材が乾燥したように見える後も生きていたカビは、日光の紫外線に短時間(1〜2時間)さらすだけで処置することができます。

屋外での取り扱いには、最大限の注意を払う必要があります。

それは、外光にあてすぎると劣化を促進し、退色の原因となったり、風に吹き乱されると物理的損傷が生じることがありますし、湿度が高い場合や急速な温度変化による結露があるとカビの成長をかえって刺激してしまうことがあるからです。


休眠中のカビ胞子は、条件が整えばすぐに再活性化します。

したがって、休眠中のカビを対象品から取り除く必要があり、そのためにはブラシなどで払い落とすか、掃除機で吸引します。

この処置は、ほかの物や空間がカビに「感染」しないように屋外で行う必要があります。

カビを払い落とすときは、柔らかく、清潔で、色の薄いブラシを使用し、優しく押し当てるようにして払い落とします。

また、ほかの物にカビを移さないように、ブラシが汚れたら頻繁にブラシを交換します。

掃除機を使用する場合は、弱い吸引力で、ノズルの先に網状のカバーを取り付けると、対象品上の密着していない部分が間違って吸い込まれることを防ぐことができます。


洗浄と乾燥

紙は、湿っていると非常に壊れやすくなりますので、取り扱うときには注意を要します。

こびりついた泥や土砂を除去した方がいい場合があります。

洪水の水が引いたときに残された土砂は汚染されていることがあるからです。

ゴム手袋を使用するといった注意を払う必要があります。

対象品がまだ湿っている場合は、きれいな水を入れた水槽の中で対象品を攪拌して、余分な土砂を除去します。

この処置は、洪水による損傷の結果、ぼやけた、毛羽だっている、または、退色している画像については実施してはいけません。


空気乾燥

湿った書物、文書、写真の中で、2日以内に空気乾燥できなかったものは、カビの成長を阻止するため凍結する必要があります。

空気を循環させることで、ほとんどの対象品の乾燥効率がよくなります。

最適な空気乾燥状態を得るには、換気扇のスイッチを空気の循環が最大になるように設定します(空気が、乾燥させる対象品に直接あたらないようにしてください)。

空気乾燥に使用する吸い取り用材料は、清潔で、吸収力が高いものであることが必要で、吸い取り紙、印刷前の新聞紙、ペーパータオル、雑巾、マットレスなどを使用します。

網状のシート(網戸など)をしっかり支えた状態で、間隔と設けて配置すると、コンパクトで効率的な乾燥スペースを作ることができます。

面に多くの穴が開いていることで空気循環が良くなり、乾燥を促進します。

ペーパーバックの表紙、雑誌、美術本などの艶のある紙は、そのままにしておくと、くっついてしまいやすいものです。

高価なものの場合、このような対象品を最初に救済する必要があります。

束ねられていない艶のある紙を空気乾燥するときは、重ならないように広げる必要があります。

束ねられた艶のある紙は、くっつかないようにページとページの間に間紙を挟む必要があります。

このようにして乾燥させると、ページ数が多いものは著しく変形することがあります。


書籍

本文部分と表表紙、裏表紙の間に間紙を挟みます。

時間と間紙の数量に余裕があれば、本文部分にも、全体を通してところどころに間紙を挟みます。

扇状に広げ、間紙が本の端から出るようにして、本を立てます。

水が間紙の中に逃げ込んで水が蒸発することで、乾燥が促進されます。

間紙が湿ったら、間紙を交換し、均等に乾燥するように毎回本を反転させます。


文書

小さな束(6mm)して平らな状態で空気乾燥させるか、可能であれば1枚ずつ平らに置いて空気乾燥させます。

下に置いた吸い取り用材料が湿ったら、交換します。


写真、ネガフィルム、映画フィルム

いくつかの種類の写真は水による損傷から非常に影響を受けやすく、回復率は非常に低くなります。

写真の印刷面やネガフィルムの表面に触れないようにします。

古い写真処理が識別できない場合、対象品をよく観察して、修理家にアドバイスを求めます。

古い写真やネガフィルムを凍結させないでください。


ほとんどの写真、ネガフィルム、スライドは、表を上にして1枚ずつ空気乾燥させるとうまく乾燥させることができます。

写真の下に敷いた吸い取り用材料は、湿ったら交換します。

最近の写真とネガフィルムが濡れた状態で重ねられていた場合は、冷水に浸しておくと剥がすことができます。

ただし、このような処置は取り返しのつかない損傷を引き起こすことがあります。

高価な対象品、特にもうネガが存在しない写真については、すぐに修理家に相談する必要があります。


額入りの対象品

裏張り材を額から取り除きます。

対象品がガラスに張り付いていない場合は、注意して対象品を額から取り外し、空気乾燥させます。

対象品がガラスに張り付いている場合は、対象品を額から取り外そうとしてはいけません。

ガラス面を下にして、対象品にキズがつかないようにして乾燥させます。


対象品の損傷が取り返しのつかないものである場合があります。

金銭的価値が非常に高い、歴史的価値がある、あるいは思い出深い対象品の処置は、必ず修復家に相談しながら実施してください。

組織に所属する作品の処置に関する意思決定は、適切な担当者のみが行うことができます。

アメリカ保存学会(202-452-9545)には個人のコレクションの処置に関する指針を与えることができる修復家のリストが用意されています。



この出版物は、公共サービスとして作成されました。

この出版物の全体または一部を無償でコピーし、配布することができます。

個々の記事をコピーする場合は、そのままをコピーし、作成機関の名称が正しく表示されるようにしてください。

この出版物の編集者は別のプロジェクトに関しても協力する予定です。

これから取り扱って欲しい課題がある場合は、その内容を以下へお送りください。

Preservation Programs
National Archives at College Park
8601 Adelphi Road
College Park, MD 20740-6001
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2010年09月14日

平成22年度「文化財保存修復専門家養成実践セミナー レベルT開催報告」

平成22年8月30日〜9月10日まで、東京国立博物館との共催で、「文化財保存修復専門家養成実践セミナーレベルT・Bコース」を開催しました。
同セミナーは、複数の財団から助成を頂いて、平成20年度から開催しています。
年間10日間の講義を2ヵ年継続で受講することにより、ひとつのレベルを修了します。
今年は去年からの受講生18名と、新規に応募してきた15名、そして聴講生若干名を加えた約35名の受講生が10日間に渡る講義を受講しました。
これら35名の中には、学生有り、社会人有り、22歳から67歳まで、多彩な人材が集まりました。
内容は文化財全般にわたる基礎講座で、「環境保全概論」「基礎修理設計」「基礎材料論」「特講」などに分類されたカリキュラムに分かれています。

主な会場は東京国立博物館ですが、外部の美術館のバックヤードを見学させてもらったり、建造物保存に取り組むNPOの協力を得て、谷中の町並み保存現場見学などを織り交ぜ、盛りだくさんの内容となっています。

東京国立博物館では、展示室を利用して実物を前に講義を受けたり、普段は茶室として活用されている応挙館において虫害の予防を学んだり、座学だけではなく実践的に体験することが本セミナーの特徴です。
最終日前日の懇親会は、市田邸というNPOが保存している民家を借りて行い、大いに盛り上がりました。

学生にとっては、社会で実際に文化財を相手に働いている人たちの声を聞く事ができ、社会人にとっては最新情報を仕入れることができる、民間ならではのセミナーです。
彼らの中から、明日の世界遺産の保護を担う人材が輩出されることを願っています。
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2008年03月10日

てく探 写真いただきました!



前回のブログにてご報告しました「てくてく探険隊 ヨコハマ山手は、異人館街のあちこちにさわる!」の集合写真が、代表の河西さんから届きました。山手234番館前にて撮影しました。
本当に寒い日で、私の顔は半分マフラーに埋もれていました笑い
それはさておき、こういうマメさ、イベント後のフォローが次につなげ、参加者を増やしていくには大切なのだと切に感じました。

次回の「てく探」は、4月26日(土) ヨコハマ第2弾。港周辺と市街地編です。
わたしも「さわり」に行きます!M
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2008年01月23日

「てくてく探検隊」に参加してきました

すっきりと晴れた1月19日(土)に『てくてく探険隊「ヨコハマ山手は、異人館街のあちこちに触る!」』に参加してきました。
「てくてく探険隊」は、2005年5月に当機構の第9回月例交流会で講師を務めてくださいました河西 裕氏が代表をされているNPO文化遺産保存のための映像記録協会が主催するイベントです。

朝10:00、決して広くはない石川町元町口の改札口付近には老若男女50人ほどが集合。参加者の多さにまず驚きました。
天気はいいものの吹く風はやはり冷たく、凍えながら、石川町駅近くの「ブラフ18番館」からヨコハマ山手の異人館街の探険はスタートしました。山手町を西から東へ横断するように、7軒の館内が見学できる西洋館、教会と、現在もちゃんと住宅として機能している西洋館(もちろん外観だけ)を見学しました。

てく探の講師、矢澤高太郎氏による説明は解りやすく、この辺も幅広い世代の参加者を呼ぶ要因のひとつのようです。
ちなみに今回のおさわりポイントは「ベーリックホール」の渦巻きが美しい階段の手すりでした。
最後の港の見える丘公園付近の山手111番館にたどり着いたときには、15時の解散予定時刻を大幅にオーバーしていましたが、あっという間の一日でした。しかしながら、一日中歩き回り、日頃運動不足の私は翌日は筋肉痛でした汗

てくてく探検隊は、1ヵ月半に1度位に開催されています。
次回は3月8日(土)で前橋市の「総社古墳群」だそうですので、ご興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか?
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2007年12月04日

紙漉きツアーに行ってきました

先日ブログでご紹介しました、『紙漉きと楮刈り取り体験ツアー』に参加してきました。
12月1日・2日にわたって行われましたが、今回はその様子をレポートします。


1日目 紙漉き体験
今回お世話になったのは、静岡県三島市にある宍倉ペーパー・ラボ。
代表の宍倉佐敏氏にご指導いただきつつ、実際に紙漉き開始です。

紙料づくり
今回は紙漉きに使用する紙料(今回は三椏)の準備から自分達で行いました。
いわゆる『紙漉き体験』では、すでに漉漕の中に紙料が用意されていて、紙を漉くところから始まるのが一般的だと思うのですが、
今回の体験ツアーでは紙漉きに関わるほとんどすべての行程を体験することができました。

繊維を煮熟する釜から漂う匂いや手でちぎれるほど柔らかくなった繊維など、本や写真を見るだけではわからないことだらけです。
紙料になる白皮の繊維をほぐすために板に乗せて叩き棒で叩くのですが、力任せに叩いて木屑が混入したり・・ただ叩けば良いというものではないのですね。。

紙漉き
紙料の準備が整ったら、漉漕に入れていよいよ紙漉き開始です。

一回にすくう液の量など、なかなかうまくいきません。
何度も挑戦しつつ、ハガキや名刺、半紙などを漉き終えました。


2日目 楮刈り
紙漉きの順序としては逆になってしまいますが、畑の楮を刈り取って白皮を取り出す作業です。
この作業を体験できる機会はなかなかありません。とても貴重な体験です。

楮刈り
鋸を使って楮を根元から刈り取ります。
楮の木はそんなに堅くはないのですが、それでもなかなか重労働です。
この日は良いお天気だったので、じっとりと汗が・・


皮剥ぎ
適当な長さに切りそろえた楮を蒸し、皮を剥ぎます。
比較的簡単に剥がれますが、紙漉きに使用する部分は少ししかなく、
楮の木のほとんどの部分は使われません。


表皮削り
水に浸してやわらかくした後、ナイフなどを用いて白皮以外の部分を削りとります。なかなかきれいに剥がれません。。

ここまで終えてようやく、1日目の作業につながります。

『紙漉き』といってよく取り上げられる漉漕で紙を漉く作業は本当に最後の部分で、
それまでに非常に手間暇かけて紙作りが行われています。
私たちが体験したのはほんのわずかですが、この大変な作業を続けていらっしゃる方々のおかげで和紙は作られているのだということを実感することができ、実り多い2日間になりました。


最後になりましたが、今回お世話になった皆さま、
貴重な機会を与えてくださり本当にありがとうございました。


東京学芸大学
文化遺産教育専攻
小川絢子
(JCPスタッフ)
posted by JCP at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | report