12月1日・2日にわたって行われましたが、今回はその様子をレポートします。
1日目 紙漉き体験
今回お世話になったのは、静岡県三島市にある宍倉ペーパー・ラボ。
代表の宍倉佐敏氏にご指導いただきつつ、実際に紙漉き開始です。
■紙料づくり
今回は紙漉きに使用する紙料(今回は三椏)の準備から自分達で行いました。
いわゆる『紙漉き体験』では、すでに漉漕の中に紙料が用意されていて、紙を漉くところから始まるのが一般的だと思うのですが、
今回の体験ツアーでは紙漉きに関わるほとんどすべての行程を体験することができました。
繊維を煮熟する釜から漂う匂いや手でちぎれるほど柔らかくなった繊維など、本や写真を見るだけではわからないことだらけです。
紙料になる白皮の繊維をほぐすために板に乗せて叩き棒で叩くのですが、力任せに叩いて木屑が混入したり・・ただ叩けば良いというものではないのですね。。
■紙漉き
紙料の準備が整ったら、漉漕に入れていよいよ紙漉き開始です。
一回にすくう液の量など、なかなかうまくいきません。
何度も挑戦しつつ、ハガキや名刺、半紙などを漉き終えました。
2日目 楮刈り
紙漉きの順序としては逆になってしまいますが、畑の楮を刈り取って白皮を取り出す作業です。
この作業を体験できる機会はなかなかありません。とても貴重な体験です。
■楮刈り
鋸を使って楮を根元から刈り取ります。
楮の木はそんなに堅くはないのですが、それでもなかなか重労働です。
この日は良いお天気だったので、じっとりと汗が・・
■皮剥ぎ
適当な長さに切りそろえた楮を蒸し、皮を剥ぎます。
比較的簡単に剥がれますが、紙漉きに使用する部分は少ししかなく、
楮の木のほとんどの部分は使われません。
■表皮削り
水に浸してやわらかくした後、ナイフなどを用いて白皮以外の部分を削りとります。なかなかきれいに剥がれません。。
ここまで終えてようやく、1日目の作業につながります。
『紙漉き』といってよく取り上げられる漉漕で紙を漉く作業は本当に最後の部分で、
それまでに非常に手間暇かけて紙作りが行われています。
私たちが体験したのはほんのわずかですが、この大変な作業を続けていらっしゃる方々のおかげで和紙は作られているのだということを実感することができ、実り多い2日間になりました。
最後になりましたが、今回お世話になった皆さま、
貴重な機会を与えてくださり本当にありがとうございました。
東京学芸大学
文化遺産教育専攻
小川絢子
(JCPスタッフ)
文化遺産教育専攻
小川絢子
(JCPスタッフ)