牧草から国の目安を超える放射性セシウムが検出されたことについて宮城県原発センターが村井知事に緊急要望を行いました。 [2011年05月19日(Thu)]
宮城県丸森町と大崎市で、牧草から国の目安を超える放射性セシウムが検出されたことについて、きょう宮城県原発センターが村井知事に緊急の申し入れを行いました。
←宮城県畜産課の発表文書はこちらです。 検出されたセシウムは丸森町で採取した牧草は1524ベクレル(セシウム134が718ベクレル、セシウム137が806ベクレル)、大崎市で採取した牧草からは347ベクレル(セシウム134が152ベクレル、セシウム137が195ベクレル)。福島原発から放出されたセシウムは、134と137がほぼ同量で、測定値にその特徴が反映しています。 宮城県知事 村井嘉浩殿 牧草から目安を超える放射性セシウムが検出された事態を受けて放射能モニタリング体制の抜本的強化を緊急に求めます 2011年5月19日 原発問題住民運動宮城県連絡センター 丸森町と大崎市の牧草から、国の目安をこえる放射性セシウムが検出されたことにともない、緊急に以下の事項を要請いたします。 1、牧草の放射能測定をきめ細かく行う体制をとること。 宮城県は、画一的に県内全域の約6千軒の畜産農家に、乳牛や肉牛に牧草を与えたり、放牧したりしないよう要請しました。しかし、購入飼料だけに依存すれば畜産農家の経営に打撃があり、県内全域で自給飼料が制限されれば購入飼料が不足して飼育頭数を減らさざるをえなくなる事態になることが危惧されます。 放射性物質の汚染は、地形・風向き・降雨等に影響されて、まだら模様に広がることが知られています。きめ細かい測定をしないまま一方的に計画的避難地域とされた福島県・川俣町で、測定したところ基準値以下だったことが判明し、二つの地区が除外されました。牧草についても測定を地域ごとにきめ細かく行い、牧草を使用できるところと制限するところをデータにもとづいて判断するという、より科学的な方針をとり、畜産農家の営業と経営を守ることにも資するよう求めます。 2、畜産農家が被るすべての被害をまず県が補填し、東京電力と国に請求すること。 購入飼料だけを使う事態になれば、畜産農家は利益のすべて失うほどの減収・打撃になります。しかし福島県内では、減収に対する補償が遅れています。畜産農家のくらしと営業に甚大な影響が及びことを回避するために、飼料購入代の差額にとどまらず、出荷制限や風評被害も含めて、すべての被害を県がまず補てんする措置をとり、それを宮城県から東京電力及び国に請求する措置をとるよう求めます。 3、モニタリング対象を山菜等にも広げ、農産物の種類、測定頻度を拡大すること。 いま検出されている放射性物質は、その多くがセシウム134とセシウム137で、その多くは地表から数センチ以内の土壌にとどまっているとされています。県は、農産物の放射能測定をいくつかの野菜等に限定してきましたが、その対象をリスクが高いと考えられる山菜、きのこ、タケノコにも拡大して下さい。また、農産物については、種類、測定頻度を大幅に拡大して、食品の安全を保障して下さい。 4、幼稚園・保育所の園庭、小中高校の校庭・グランドの放射線量を県の責任で測定すること。 丸森町や白石市等の一部市町村が独自に測定機を購入して空中放射線量を測定し、とくに影響を受けやすい子どもたちが使用する校庭等の測定を重視しています。 県内全域でどの子どもも安全が確保されるよう、これまで測定されたことがない特別支援学校も含めて幼稚園・保育所、小中学校、すべての高校で、県の責任で放射線量の測定を行って下さい。 5、さしあたり消防本部に配備されている測定機器を活用し、独自の測定機器を購入する予算を計上すること。 福島第一原発では、燃料棒のメルトダウンが起こっていることが判明し、冷温停止状態に持ち込める展望も見えていません。県民の間では、宮城県当局に放射線量のモニタリング体制強化を求める声が高まっています。 仙台市消防局及び県内各地の消防本部には、個人線量計が100個、ガンマ線及びエックス線用線量率計が30個、中性子用線量率計が5個も配備されています。さしあたり緊急にモニタリング体制を厚くするために活用することを検討し具体化してください。 県は、民間企業から寄付された13個の測定器を仙南の市町に配分してきましたが、県として抜本的な予算措置をとり、汚染度のマップが描ける程度の密度で空中放射線量をモニタリングすることを求めるものです。 6、測定結果の生データを公表し、県民との情報共有を進めること。 国と宮城県はこれまで「絶対安全神話」を振りまいて原発を推進してきたので、率直に言って県民の中には福島原発事故後の宮城県政の対応に対する根強い不信感があります。福島原発の事故で「絶対安全神話」の前提が崩れており、宮城県が信頼を取り戻すためには少なくとも入手した情報については公表し、その評価と判断についても共有する姿勢に転じることが不可欠です。 県が関与する放射能のモニタリングについては、放射性物質の核種がわかるガンマ線のエネルギー値も含めて、生データをすべて公表することとし、過去のデータについても公表して下さい。 以上 |