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「李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領の言動に抗議し、対韓外交等の見直しを求める意見書」に反対する遠藤いく子県議の討論(概要)ー従軍慰安婦問題にもふれて [2012年10月11日(Thu)]

 私は、日本共産党宮城県会議員団を代表し、意見書第33号議案「李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領の言動に抗議し、対韓外交等の見直しを求める意見書案」に反対する立場から討論いたします。
 まず、この意見書案も政務調査会長会議で全会一致を見なかったものであり、それを無視して提案したことは、最大会派をはじめ、賛同する議員の良識が問われる問題であることを指摘しておきます。
 本意見書案は、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が今年8月10日、韓国の大統領として初めてわが国が領有権を主張する竹島に上陸した問題と、天皇の訪韓にからむ謝罪要求,従軍慰安婦問題についての言及を問題視したものです。
 竹島が日本の領土であることは歴史的にも国際法的にも明白な事実です。が、およそ領土問題は,歴史的事実と国際法上の道理にもとづき、冷静な外交交渉で解決を図ることが重要であり、感情的な対応で緊張をエスカレートすることは双方が自制すべきです。李大統領の竹島上陸に対しても、日本側は冷静に対応すべきという立場から意見書案に賛成できません。
 また日本が竹島を編入した時期と日本が韓国を植民地にしていった時期が重なっている問題があります。竹島の日本編入がおこなわれたのが1905年,その前年第一次日韓協約が結ばれ,韓国は外交権が奪われて異議申し立てが出来ない状況でした。そこを考慮するならば、日本が過去の植民地支配への真摯な反省にたってこそ、この問題を冷静に話し合う土台をつくることができます。日本と韓国が双方の持っている歴史的事実をつき合わせて、冷静な外交交渉で解決に当たることこそ必要です。
 一方、意見書案には、従軍慰安婦問題について、「貧困による人身売買の被害者である慰安婦」は存在したが、権力によって強制連行された被害者に対して国として補償すべき『従軍慰安婦問題』は存在しなかったと言える」などと、きわめて重大な事実誤認があります。
1993年の慰安婦問題に関する河野洋平官房長官の談話は、「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」と明確に認定しています。「慰安婦の募集」についても、朝鮮半島は当時日本の統治下にあったと述べ、「その募集、移送、管理等も甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反しておこなわれた」と断定。「更に、官憲等が直接これに加担した」としています。これが権力による強制でなくて、何を強制というのでしょうか。
 河野談話は、政府が1992年から93年にかけて政府をあげておこなった事実調査に基づいて発せられたものであり、現在の野田首相に至るまで歴代首相がその立場を踏襲することを内外に表明してきたもので、国際的にも日本政府の立場として公認されているものです。
 2006年10月、衆院予算委員会で当時の安倍晋三首相は、何とかして旧日本軍の犯罪行為を免罪しようと、「家に乗り込んでいって強引に連れて行った」行為しか強制と認めないという態度をとりました。この発言に対し、米国など国際社会から批判が噴出。訪米先で安部首相は「元慰安婦の方々に申し訳ない気持ちでいっぱい」と表明せざるを得なくなり、会談したブッシュ大統領は河野談話の継承を前提に「首相の謝罪を受け入れる」と述べた,これが歴史の事実です。
 さらに米下院は2007年、日本軍が性奴隷を強制した事実を承認し、日本政府に対して謝罪を求める決議を全会一致で採択し、その後オランダやカナダも続く事態となりました。
 また国連人権委員会差別防止と少数者保護委員会は1998年、慰安婦は事実上の奴隷であり、「当時ですら、奴隷制を禁じた慣習的国際法に明らかに違反していた」との報告書を採択しています。
 こうした事実に基づく国際社会の到達点を踏まえるならば、意見書案にある「『従軍慰安婦問題』は存在しなかった」などとは全く言えず,まして「過去の政府要人らの談話・発言を取り消す」要望など、論外といわねばなりません。
 教科書検定に関わる近隣諸国条項について述べます。本意見書案はその見直しを要求しています。1982年、日本の中国侵略を進出などと書いたことが問題になり外交問題に発展した時、当時の宮沢官房長官は「過去に於いて我が国の行為が韓国中国を含むアジアの国々の国民に多大の苦痛と損害を与えたことを深く自覚しこのようなことを二度と繰り返してはならないとの反省と決意の上に立って,平和国家としての道を歩んできた」との談話を発表しました。この精神は「我が国の学校教育,教科書の検定にあたっても,当然尊重されるべきものである」と述べ、その具体化としてこの条項を設けたものです。検定制度には検閲とも言える審査がされるなどの問題はありますが,日本国憲法を踏まえた近隣諸国条項は尊重されるべきものであり,この見直しを認めるわけにはいきません。
 加えて言うならば、わが宮城県議会は、日韓議員連盟を超党派で構成し江原道議会との交流を重ねてきました。本意見書案はその積み重ねを台無しにするものです。
 以上、述べた内容から、本意見書案は、領土問題をはじめ、韓国との関係悪化に拍車をかける以外の何ものでもなく、可決すべきでないと申し述べて私の反対討論と致します。ご静聴ありがとうございました。

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