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中村会長 年頭の挨拶 [2024年01月04日(Thu)]
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2024年の年頭にあたり、謹んで初春のご挨拶を申し上げます。

昨年は、協会として大きな行事であった国際船長協会連盟(IFSMA)の東京総会を無事開催することができました。コロナ禍も完全に終息したわけではありませんが、4年振りに対面での開催となりました。ウクライナ侵攻による欧州からのフライト迂回飛行、運賃の高騰等がありましたが、ウクライナ船長協会会長を含め、15カ国、30人程の海外からの参加者があり、略計画通りの規模での開催となりました。東京での開催にあたっては、日本郵船株式会社、株式会社商船三井、日本財団から財政面での支援を頂きました。改めて謝意を表します。

総会に併せて開催されたシンポジウムでは、海技者の教育訓練関係、自動運航船関係等のセッションが設けられ各国からの講演が行われました。講演内容や議論の概要は月報477号で赤塚理事が紹介記事を執筆されています。その中でも、IMOにおける自動運航船に関する合同作業部会と法律委員会における進捗状況として、自動化の程度や運航管理の仕様に違いがあっても遠隔オペレーションセンターを含め自動運航船には常に人間の船長が存在しなければならないと云う方向で基本的に合意されているとの紹介がありましたが、海難事故発生時における、船籍国、オペレーションセンター所在国の責任関係適用法令、オペレーションセンターでの海技者資格要件等の国際的な法体系の整備の必要性等の議論が注目されていました。

日本船長協会からも「自動避航システムの安全性評価・認証基準の提案」と題して講演を行いました。これは、日本でも2025年に内航の自動運航船が実用レベルで就航させるプロジェクトが進行しているものの、各計器メーカー等が開発している自動避航システムはブラックボックスであることから、日本海事協会に対して安全性評価、認証基準の必要性を指摘し、大規模なシミュレータ実験を経て具体的な基準を提案した内容の紹介です。世界各国の計器メーカーにおける開発の技術者は海上衝突予防法の15条(横切り船)、16条(避航船)等の理解し易い条文はよいとしても、17条(保持船の最善の協力動作)、38条(切迫した危険のある特殊な状況を避けるための動作)、39条(船員の乗務)などの難解なルールへの対応は極めて難しいのではとの危惧からの提案です。
日本船長協会の提案を簡単に要約すれば、自動避航システムで航行する船舶は遭遇する他船舶に不安を与えることなく、海上衝突予防法に規定される各船間の航法等が適用される前にリスク軽減を行う様、その客観的な基準を遭遇する船舶との相対距離と方位変化率等で定めたものです。
今回IFSMAのシンポジウムで紹介したところ、幾つかのポイントを得た質問を会場、またメールで戴きました。国内においては、既に航海計器メーカーにも日本海事協会を介して基準案の説明会を実施しています。当協会は現行の海上衝突予防法を改定することなく、自動避航システムを機能させる、また小型船から大型船まで、遭遇する在来航法の船舶に不安を与えないシステムの客観的な基準が認証基準となるよう働きかけていきます。

ロシアによるウクライナ侵攻に関しては、ウクライナ船長協会から、オデッサを中心としたウクライナ情勢の報告として、日々空襲警報が出る状況であり、また多くの船舶が紛争地域に留まっている状況であるとの説明等がありました。
終息の方向が見えないウクライナ紛争に加えて、イスラエルとハマスの軍事衝突等、様々な懸念材料が生じています。昨年11月には紅海南部とアデン湾を航行する商船に対する攻撃があり、日本の船社が傭船した船舶が拿捕、乗組員が拘留される事件が発生しました。その後も、イスラエル関係船舶に対する攻撃として多数の船舶が準軍事組織による攻撃を受けています。
IFSMAでは昨年12月のIMO総会でICS(国際海運会議所)と共同でこれら攻撃に関する深刻な懸念を声明の形で表明しました。具体的には同地域に影響力を有する国々に対し、航行の自由を維持するために全力を尽くすとともに、貿易を妨害し、無防備な乗組員を犠牲にする攻撃的で違法な行動に敵対勢力が固執することを思いとどまらせるよう呼びかけるよう要請しました。IFSMAのようなNGOがIMOの総会で発言することは通常許可されていないそうですが、例外的に声明を出すことを許されたと云う経緯があります。

日本船長協会では、日々運航に従事している船長・航海士のためのガイドブックとなる国際法ハンドブックの発刊作業を進めています。同ハンドブックの中では、国際法の基本と過去の遭遇事例を含め、Q&A方式で判り易く記述する予定です。

今年も地域紛争の収まりが見えず、国際情勢が我々海事社会に与える影響が懸念されますが、日本船長協会としてもIFSMAと連携し、状況の推移を注視して参ります。
最後になりましたが、会員の皆様のご健勝とご活躍を祈念し新年の挨拶とさせて戴きます。
船長教養講座開催案内 2023年11月17日 [2023年09月19日(Tue)]
船長教養講座を開催いたします。
2023年11月17日(金)15:00〜17:00
東京都千代田区麹町4-5 海事センタービル2階

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船長実務勉強会開催案内 2023年9月1日 [2023年07月26日(Wed)]
船長実務勉強会を開催いたします。
2023年9月1日(金)15:00〜16:30
東京都千代田区麹町4-5 海事センタービル2階

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第65回定時総会 [2023年05月26日(Fri)]
令和5年5月26日、海事センタービルにおきまして一般社団法人日本船長協会の第65回定時総会が開催されました。

(1)審議事項
   第1号議案 令和4年度事業及び会務報告について
   第2号議案 令和4年度収支決算及び資産報告について
   第3号議案 役員の改選について
   第4号議案 その他
(2)報告事項
   報告事項1 令和5年度事業計画について
   報告事項2 令和5年度収支予算について
   報告事項3 令和4年度公益目的支出計画実施報告書に
         ついて
   報告事項4 その他

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<船長表彰>
商船三井オーシャンエキスパート株式会社の自動車専用船「ORCHID ACE」伊藤雄輔船長の人命救助の功績が報告され、同氏に中村会長から表彰楯及び記念品が授与されました。

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教育用DVD 最新作 英語版 販売開始のお知らせ [2023年05月16日(Tue)]
「日本の輻輳海域における安全な航海 - 大阪湾・瀬戸内海・関門編 -」の英語版です。(英語タイトル:A guide to Safe Navigation in Japanese Congested Waters OSAKA WAN・SETONAIKAI・KANMON)東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、関門などの輻輳海域では、海上衝突予防法と異なる日本独自の通航方法(海上交通安全法、港則法)が定められています。そのため、全ての船舶は、航路ごとの交通ルールを事前に確認し、安全に航行することが求められています。このDVDでは、航路毎の航法に加え、大阪湾、明石海峡、備讃瀬戸(含む水島航路)、来島海峡、豊後水道及び関門海峡の地形、気象・海象や漁業の特徴、航路内外の特色、台風等緊急時の対応や海上交通センター及び実施すべき通信等の紹介と解説をしています。さらに、別フォルダにて、関連する情報のpdfファイルもDVD内に納めています。

ビデオの内容は次の通りです。
・オープニング
大阪湾
・概要
・航法・航路
・交通・漁業
明石海峡
・概要
・航法・航路
・交通・漁業
・通信
備讃瀬戸・水島航路
・概要
・航法・航路
・交通・漁業
・通信
来島海峡
・概要
・航法・航路
・交通・漁業
・通信
豊後水道
・概要
・航法・航路
・交通・漁業
関門海峡
・概要
・航法・航路
・交通・漁業
・通信

■時間     :79分
■制作年度   :2021年

販売価格:1枚 3,960円(税込)・送料別
申し込み先
当協会ホームページ: http://captain.or.jp/ 
なお、サンプル動画試聴もできます。
TEL 03-3265-6641 Fax 03-3265-8710 
E-Mail jca-tokyo@captain.or.jp
一般社団法人日本船長協会

(本教育用DVDは国際船員労務協会殿からの助成事業として作成したものです)
自動避航システム認証に向けた検証実験報告等 [2023年04月07日(Fri)]
自動避航システム認証に向けた検証実験報告書
自動避航システム認証に向けた検証実験資料編
自動避航システム認証に向けたアンケート調査
をホームページにアップしました。

https://captain.or.jp/?page_id=11561

2023年度 操船SIM+BRM研修のお知らせ [2023年03月15日(Wed)]

2023年度 操船SIM+BRM研修案内

阪 神  (於:海技大学校) 

1グループ研修員3名で4日間の研修を実施する。(応募状況により2名及び4名も実施可とする)

本研修は日本船長協会の会員が優先となります。


期   間

募集人員

第252回操船SIM、第159回BRM研修(2023年度 第 1回)
4月 18日(火)〜 21日(金)3 名

第253回操船SIM、第160回BRM研修(2023年度 第 2回)
5月 9日(火)〜 12日(金)3 名

第254回操船SIM、第161回BRM研修(2023年度 第 3回)
6月 13日(火)〜 16日(金)3 名

第255回操船SIM、第162回BRM研修(2023年度 第 4回)
7月 11日(火)〜 14日(金)3 名

第256回操船SIM、第163回BRM研修(2023年度 第 5回)
8月 22日(火)〜 25日(金)3 名

第257回操船SIM、第164回BRM研修(2023年度 第 6回)
9月 12日(火) 〜 15日(金)3 名

第258回操船SIM、第165回BRM研修(2023年度 第 7回)
10月 10日(火) 〜 13日(金)3 名

第259回操船SIM、第166回BRM研修(2023年度 第 8回)
11月 7日(火) 〜 10日(金)3 名

第260回操船SIM、第167回BRM研修(2023年度 第 9回)
12月 5日(火)〜 8日(金)3 名

第261回操船SIM、第168回BRM研修(2023年度 第 10回)
1月 23日(火) 〜 26日(金)3 名

第262回操船SIM、第169回BRM研修(2023年度 第 11回)
2月 13日(火) 〜 16日(金)3 名

第262回操船SIM、第169回BRM研修(2023年度 第 12回)
3月 5日(火) 〜 8日(金)3 名

研修場所
海技教育機構 海技大学校 操船シミュレータ室(第三実習実験棟2階)

研修証書
SIREの新規ガイドライン【SIRE 2.0】において
BRM/BTM研修は、『IMO Model Course 1.22.』 に沿う研修であるよう指示があり、2022年4月より
研修証書を海技大学校発給の証書に一本化し 『IMO Model Course 1.22.』の記載が入ります。
(船長協会発給の証書は廃止いたします)

訓練シナリオ
狭水道航行(ブイ間航行、伊豆大島沖北上、浦賀水道南下、Horseburgh灯台付近北上 等)
投錨(仮想海域、中ノ瀬、Singapore東錨地 等)
着岸操船(横浜本牧埠頭、KSB、水島、堺泉北 等)
離岸操船(横浜本牧埠頭、KSB、水島、堺泉北 等)
水先人役を入れたBRM訓練(KSB)

研修可能船種
VLCC 260000DWT、PCC 6000RT、BULKER 70000DWT、CONTAINER 8000TEU、
LNG 127000 ㎥

受講料 190000円 (テキスト・資料代約6000円を含む)
申込み先、 詳細に関しては(一社)日本船長協会
TEL:03-3265-6641 E-Mail:jomuriji-k@captain.or.jp
にお問い合わせください。

中村会長 年頭の挨拶 [2023年01月04日(Wed)]
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2023年の年頭にあたり、謹んで初春のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、3 年目に入った新型コロナウィルスの感染対策としてワクチン接種が広く行われたにも拘わらず、年末から第8 波の拡大時期に入り終息に向けては先の見えない状況が続いています。感染対策と経済活動との両立を目指して少しずつ以前の状況に戻りつつありますが、船舶運航の現場では、上陸制限、各国の検疫及び出入国管理において、未だ一部の地域においては以前と同じ状況に戻ったとは言い難い状況のようです。
 昨年の2 月に始まったロシアによるウクライナ侵攻も停戦協議の可能性を見いだせないまま2023年に入っています。協会の月報“Captain”の「IFSMA(国際船長協会連盟)便り」において、赤塚理事がNo.81, No.83で報告していますが、世界有数の船舶乗組員供給国であり、黒海にオデッサやイリチェスク等の重要港湾を擁するウクライナが紛争状況下に置かれたことは、世界の海事社会に大きな打撃を与えています。
 ウクライナへの侵攻が始まって直ぐにロンドンにおいてICS(国際海運会議所)の主導の下、海運関係団体が集まりUkraine TaskForce Group が結成され、IFSMA も同グループの会合に参加しています。IFSMA 経由で日本船長協会にも隔週で開かれている会議の情報が伝えられています。日本の一般のマスコミではあまり報道されていませんが、昨年の9 月の段階で750人を超える船舶乗組員が紛争地域に留まらざるを得ない状況であるとの報告がなされています。黒海では滞船も多くなっており、乗組員らは未だ交代ができない状況が生じています。ウクライナ人、ロシア人乗組員らにはビザの問題、徴兵の問題も多く発生しています。幸い、日本人乗組員が紛争地域に留まっていると云う事例はないようですが、日本の海運会社の運航船舶が黒海に配船されている状況はあり、滞船問題、乗組員の交代の難しさの問題は無関係ではありません。
 また、ウクライナでの問題のみならず、昨年12月に開催されたIMO の第128回理事会では北朝鮮の周知なく発射されたミサイルに対する非難の声明も出されていますが、IFSMAの代表は、IMO では、船員の安全と福祉の重要性について公に声明を出すことに留まっているもどかしさについて次のように発言し ています。We all seem to speak publicly about the importance of the Safety and Welfare of our seafarers, but when it comes down to it, words are one thing and actions are totally another. 声明は出すけれど、具体的に動いていない(動けていない)と云うもどかしさです。我々としては、現場の乗組員らの安全のために、地道にできる限り努力していくことを考えていかなければならないと感じています。
 このような社会情勢の下、今年の10月には、IFSMA からの要請を受けて東京でIFSMAの総会・シンポジウムを開催します。わが国の海運会社等の支援を頂きながら、初めてのアジアでの開催となります。本来ウクライナで開催と云う計画もあった様ですが、2023年は東京と云うことになりました。
 シンポジウムでは多くのテーマで講演・討議が予定されていますが、日本船長協会としては、I F SMA 本部とも協議の上、単なるIFSMA 内部のシンポジウムに終わらせることなく、広く世界の海事関係者が注目するテーマを選び我々を取り巻く諸問題についてアピールしていこうと協議しています。今、日本船長協会が取り組んでいるテーマの一つは近い将来一部で実用化がなされるであろう自動運航船の主要機能である避航システムの具体的な認証基準の提案です。
 当協会では、昨年の3 月から、日本海事協会からの委託を受け、自動避航システムの認証(基準策定)を目的とした客観的な評価基準の策定に取り組んでいます。昨年の10月からは、操船シミュレータを有している日本の海運会社三社の全面的な協力、支援を頂いて検証実験を行っていますので、今年度段階での結果が待たれるところです。
 近い将来、世界中の色々な計器メーカが製品化するであろう自動避航システムは基本的にブラックボックスです。当協会が提案する同システムの基準は、周りの船舶に不安を与えないと云うことをキーワードとして、COLREG(海上衝突予防法)適用海域において、前広にリスク軽減を行うことを前提にしています。
 この提案については、会員の皆様と共に機会を設けて議論を重ねていきたいと考えています。
 今年の国内外の社会情勢は、まだまだ霧中状態のところがありますが、東京でのIFSMAの総会・シンポジウム開催を機会にわが国海運のプレゼンンスを高め、海事社会に貢献していきたいと考えております。最後になりましたが、今年が会員の皆様にとって明るく平穏な年となる事を祈念し、新年の挨拶とさせて戴きます。
2022年最新作 教育用DVD販売のお知らせ [2022年06月01日(Wed)]
『日本の輻輳海域における安全な航行 –大阪湾・瀬戸内海・関門-』(日本語版)

東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海、関門などの輻輳海域では、海上衝突予防法と異なる日本独自の通航方法(海上交通安全法、港則法)が定められています。そのため、全ての船舶は、航路ごとの交通ルールを事前に確認し、安全に航行することが求められています。このDVDでは、航路毎の航法に加え、大阪湾、瀬戸内海、関門の地形、気象・海象や漁業の特徴、航路内外の特色、台風等緊急時の対応や海上交通センター及び実施すべき通信等の紹介と解説をしています。さらに、別フォルダにて、関連する情報のpdfファイルもDVD内に納めています。

内容:  (79分間)
大阪湾、明石海峡、備讃瀬戸・水島、来島海峡、豊後水道と瀬戸内海西側海域及び関門海峡それぞれの概要/航法・航路/交通・漁業/通信が納められております。
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販売価格:1枚 3,960円(税込)・送料別
申し込み先
当協会ホームページ: http://captain.or.jp/ 
なお、サンプル動画試聴もできます。
TEL 03-3265-6641 Fax 03-3265-8710 
E-Mail jca-tokyo@captain.or.jp
送付先住所及び電話番号を明記の上、E-MailまたはFAXにてお申し込み下さい。
振込み用紙を同封して発送いたします。
一般社団法人 日本船長協会

(本教育用DVDは国際船員労務協会殿からの助成事業として作成したものです)



会長交代の就任あいさつ [2022年05月27日(Fri)]
一社)日本船長協会 会長 中村 紳也
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 この度、前任の葛西会長の後を引き継ぎ、当協会の会長を務めさせていただくことになりました。就任のご挨拶にあたり、先ず長年会長として、協会の運営にご尽力されました葛西前会長に心から敬意を表すと共に感謝申し上げます。
 葛西前会長の方針を引き継ぎ、先ずは協会の責務として、先の総会で承認された事業を効果的に達成することに力を尽くして参りますとともに、前会長が取り組まれた協会運営の改善に沿って効果的・効率的な運営に努めていきたいと存じます。会員各位をはじめ関係団体の皆様のご指導とご教示をお願い致します。

 さて、今日の社会を取り巻く環境として、ロシアによるウクライナ侵攻、新型コロナウィルスウィルスの世界的な感染の広がり等、数年前には予想しなかった事案が発生し、大きな影響を受けています。我々国際海運に携わる者は過去にも国際紛争等の影響を受けてきました。
 私の個人的な経験においても、航海士として勤務していた1980年、重量物船にて日本からイラン向けに石油プラントの輸送に従事していた時、イラン・イラク戦争が勃発しました。揚地であるイランのバンダルホメイニ(Bandar Khomeini)港に入港する前日にイラン・イラク戦争が始まり、同港は封鎖、積載していたイラン向けプラント機器は急遽アラブ首長国連邦のドバイ(Dubai)にて揚荷されました。幸いにも本船には直接的な被害はなかったものの、先にペルシャ湾に入湾し、イラクのウムカッスル(Umm Qasr)港に入港していた僚船は被弾し、その後の戦闘激化のため出港することができず、乗組員は陸路待避の上、空路にて日本に帰国しました。

 国際紛争の影響は様々の形で船舶の運航に影響を与えます。船長としての対応についても多様な局面について考えておくことが必要です。当協会では、ウクライナ問題を想定していた訳ではありませんが、以前から取り組んできている船長のための国際法に関するハンドブックの作成を急ぎたいと思います。
 また、今回のロシアによるウクライナ侵攻に関しても多くの報道がなされていますが、国際紛争における様々な問題について会員の皆様と共に学ぶ機会を設けたいと考えております。

 わが国商船隊の運航形態は30年以上前からグローバル化が加速してきました。私自身が乗船した乗組員の国籍もフィリピンのみならず、クロアチア、ミヤンマー、リビア等と多彩でした。それぞれの国の文化と生活習慣が異なる中で互いに学びつつ連携と信頼を深めていく努力が必要でした。海運は、船舶のハード、ソフトと共に乗組員の資格要件等を含めて国際社会の中で諸規則を定め活動しています。環境問題に関しての国際的な取り組みについても同様です。
 日本船長協会は、赤塚理事が長年に亘り副会長を務める国際船長協会連盟(IFSMA)の総会を来年東京で開催することを要請されています。国際的なプレゼンスを高める機会にもなると考えています。詳細はまだ決まっておりませんが、技術的な話題としては自律船に関する基準、認証等の他、日本での様々な研究開発の検討状況を紹介することができる場にしたいと考えております。

 さて、当協会は現役の船長を主体とする正会員、および航海士会員、そのOB等の賛助会員の皆様で構成されていますが、旧来の船員教育制度の下で、全寮制と言う集団生活の中で培った船乗り気質も、現在では個人の創造性や斬新的な思考を尊重した教育の中で大きく変貌しているように見受けられます。更に、近年では一般大学出身者が海技者として海運会社で養成され、海陸で活躍されている会員の皆様も多くなりました。出身母体は多様になりましたが、船長と言う職務を通じた横断的な団体として、時代のニーズに対応し、船長の識見の涵養と海技の研鑽に努め、海技クラスター全体での質的、量的海技者の維持、向上に貢献することで、海事産業の発展に寄与していきたいと考えています。

 当協会が長年取り組んでいる「子供達に海と船を語る」講演事業についても、コロナウイルス感染の影響を大きく受けましたが、防止対策の進展とWEB方式の普及により、以前にも増して若い人々への講演の機会が得られつつあります。わが国における海事の知識の普及と海事教育の振興への貢献を目指して参ります。

 これらの事業活動は、当協会会員はもとより、海運会社を始めとする関係団体の皆様のご理解とご協力なくして成果は期待できません。今後とも当協会が海運、海事社会の発展に有意義な活動を進めていくため、皆様のご忌憚のないご意見を賜るとともに、ご支援ならびにご協力を戴ければ幸甚と存じます。
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