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子供たちに船長体験をしてもらいました [2015年10月29日(Thu)]
開催日時
平成27年7月25日(土) 10:00〜15:45
平成27年9月27日(日) 10:00〜15:45

開催に至った経緯
2015年は、IMOが主催するワールドマリタイムデー・パラレル・イベントが日本において開催される年であり、海の日が祝日に制定されて20年になるという節目の年でもあります。海運業界においても、いろいろな海の日のイベントを開催することになりました。このような動きの中、日本財団が「海でつながるプロジェクト」(政府、民間法人、大学等が連携するプロジェクト)の一環として、「あなたのまちの海の日サポート」プログラムによる助成プログラムを設け、これに日本船長協会は、MOLマリン株式会社と共同で、「子供たちに操船シミュレーター体験会してもらう」を企画しました。申請したところ承認を得られましたので、MOLマリンの操船シミュレーターを利用して、体験会と講演会を併せて開催する運びとなりました。

イベント内容
イベント内容は、小学生および中学生を対象とした体験会と講演会を2回、それぞれ午前の部と午後の部、計4回開催しました。

シミュレーション体験会
船長、レーダー、操舵、テレグラフ、VHFを輪番で体験してもらう(一人約3分)もので、船は大型コンテナ船、航行域は大井のコンテナ埠頭を出港し、羽田沖で反転して、大井埠頭に戻ってくるというシナリオにしました。

講演の部では、
@ 船の種類、海運の重要性、パナマ運河とスエズ運河通航方式の違い(船長)
A 船の特性、乗組員の生活(航海士)
上記をビデオ上映およびクイズを交えながら解説し、参加者を2班に分けて、シミュレーション体験と講演を交互に行いました。

講演者感想
講演とシミュレーターを併せて開催することは、初めての企画でした。今回は、MOLマリンの船長にインストラクター役をお願いし、また協会船長の講演に加え、女性航海士にもお話をお願いしました。講演も、小学生低学年が退屈しないよう女性航海士によるクイズ形式を取り入れてみました。
第一回目(7月)は一回のリハーサルで臨むことになりましたが、子供たちにわかりやすく、やさしく対応することをお願いしました。船長・航海士の方々には、すぐに理解していただき、本番ではリハーサル以上の成果を上げることができたと思います。
第二回目(9月)では、第一回目のアンケート結果を参考にし、さらに改善を図って、より分かりやすいイベントになったのではないかと自負しております。

今回は、子供たちに加えて付き添いの保護者も参加されました。「保護者・見学者の声」にもあるように、子供たちのみならず、保護者の方にも大変好評でした。

<保護者・見学者の声>
「過日開催されました海の日のイベント「子供たちに海と船を語る」につきまして、
大変密度の濃いイベントを拝見させていただき、誠にありがとうございました。
制服に身を包んだ皆さまから、普段あまり自分の生活との関わりを考えたことの無
い(であろう)海運のお話を、具体的にコンビニの商品などを例に教えてもらう、という子供たちにとって非常に貴重な経験であったと思います。また、シミュレーターを使ったリアルな体験も子供たちにとって衝撃的だったと思います。」

「当日は、甥とその父親の二名が参加させていただきました。初めて、見て触るものであり、とても楽しかったようで大変喜んでおります。また今週末は、にっぽん丸に乗船予定ですので、今回のイベントは、その予習のようなものとなり、クルーズがより充実したものになりそうです。私も写真を見せてもらいましたが、制服を着せていただいたり、オリジナルのうちわをご用意いただいたり、色々とご準備いただいたこと感謝申し上げます。
お忙しい中、たくさんの方のご協力のもと、素晴らしいイベントを企画開催いただきましてありがとうございました。」

「本日は、イベントに参加させて頂き有難うございました。たくさんの楽しいお話や、本格的なシュミレーターの体験が出来たことを大変喜んでおりました。以前、東京海洋大学でもシュミレーターの体験をした事があったのですが、今回のシュミレーターは本物の船に乗っているみたいだったと興奮しておりました。本人は将来航海士になりたいと言っているのですが、今回のイベントで航海士という仕事がどういった仕事をするのかイメージ出来た様です。また、参加したいと申しておりましたので、この様なイベントがあれば応募させて頂ければと思います。本日は有難うございました。」

「Thanks you for allowing us to attend such course. Our experience was mind blowing. The course was arranged in such fantastic way and I hope all young kids gets attracted to our profession in the future. The quiz arrangements (examples) and 3- 3mins changes of roles to the next responsivity was very good arrangements. This is a key event in the social responsibility in attracting the young generation to our shipping industry.」

最後になってしまいましたが、船長、航海士の感想を紹介したいと思います。

宇都宮船長
「船の動きは、自動車や飛行機に比べて圧倒的にゆっくりなため、どのように子供たちを退屈させず、シュミレーターを体験してもらうかに気をつかいました。5種類の役割分担(船長・操舵手・機関操作・通信・レーダー)を3分毎に交代してもらい、それぞれの役割を楽しんでもらったつもりです。また、途中船にまつわるクイズを実施したり、急に荒天となる状況も設定しました。子供たちが酔っ払いはしないかと心配しましたが、大喜びで荒天も楽しんでくれたようです。船員という職業がなかなか一般には認識されにくい職業だけに、これからも地道にこのような活動を行っていきたいと思います。」

池田船長
「操舵当番やテレグラフ当番は復唱してから作業にあたるようにしました。最初は恥ずかしがって声も小さかったですが、何回もやる内にみんな声が出るようになってきました。
復唱すること,大きな声を出すことの大切さをわかってもらえたような気がします。
小学生低学年の子には指示されたコースに向けるのは難しかったようですが、みんな一生懸命取り組んでいました。3分間という短い時間で交代したのが飽きずに集中できて良かったのではないかと思います。1回の人数は5人ぐらいがちょうど良かったと思います。」

玉井船長
「今回、私は事前にシミュレーションシナリオの構築、当日はシミュレーターコントロールセンターでオペレーションを行いました。参加の子供たちには直接会わない裏方です。
シミュレーションは、あらかじめ船橋配置の船長の方々と手順を打ち合わせているため、進行に合わせてタグボートなど他の船をコントロールします。ただしタイミング良く気象を変える等の操作はもちろん、船橋内で少し間が空いた時に夜景にして印象を変える等、船橋内の雰囲気に注意しながらオペレーションを行う必要がありました。
 また、子供は何が興味あるのか、どこに眼が行くのか、シミュレーションシナリオを構築する段階から意識しました。しかしながら子供の興味の向くままに見せることは、「船の世界を知る」という目的のこの企画に沿いません。船の現場の様子を損なうことなく子供にも解りやすく見せることが重要です。
貿易と船の話は小学校高学年で習いますがあまり印象が残っていないようで、一般には大人でも知らない事が多い海運。今回の見学では子供はもちろん、付き添いの大人の方々の方が興味津々だったかもしれません。これからも機会を作って船の仕事の紹介ができればと思います。」

尾田航海士
「一般の大人にもあまり知られていない船乗りの仕事を、小中学生にどう伝えるか、プレゼンの作成時はとても悩みました。飽きさせないように気を遣い、身近なものに例えたり、乗船中の写真を見せたりして、少しでも仕事内容を理解してもらえるように工夫しました。また、非日常である乗船中の話を、「自分には関係ない、全く別世界の話だ」と認識させないようにしました。まずは「数ある仕事の中の一つのお仕事であり、誰もが目指せる、選べる職業だ」と認識してもらうことを目標に語りかけたつもりです。乗船中にしか見られない風景や、世界が海で繋がっていることを伝え、彼らの冒険心が高まり、船乗りの仕事に関心を持ってくれたら嬉しく思います。
職業の話は高校生を対象に行うことが多いかと思いますが、今回のように保護者の方も巻き込むことが認知度を上げる近道だと感じました。話だけでなく、体感してもらえるという強みのあるMOLマリンで、こうした機会を持ち続けられたら、と思います。」

最後に今回のイベントをスムーズに効果的に実施できましたこと、日本財団殿のご理解、ご援助に深く感謝申し上げます。またMOLマリン殿の関係各位の多大なご協力、誠にありがとうございました。日本船長協会は、今後もこのような機会があれば、「子供たちに海と船を語る」事業の一環として進めてまいりたいと思います。
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