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2012年08月09日

学生の本気がプロジェクトを動かす


5月12日のブログでもご紹介させて頂いた、滋賀大学の夏季集中講座
「被災地応援プロジェクト」へ協力してきました晴れぴかぴか(新しい)


この集中講座は、企業の本業×被災地支援をテーマとしており、
私たちの前には、企業として3.11に関わっている2社が講義をしている。
マイクロ・ファイナンスで被災企業の再建に取り組む、でミュージック・セキュリティーズと
塩害農地の再生に取り組む、株式会社MY FARMのお話は、被災地の様々な課題を改めて痛感する内容であり
企業の力強さを感じるものであったとの事。

私たちは、そこにプラスして「関西にいても」「学生だから」出来ることを伝えたい。
実際に企業と一緒になって実際に活動している学生とともに伺った。

元気だ状プロジェクト 
大阪大学4回生 鍛冶屋くん
立命館大学3回生 服部くん

ミンナDEカオウヤプロジェクト 
花園大学3回生 東本くん

そして私、同志社大学5回生の岡あゆみ、以上4名が同じ学生の視点で
各プロジェクトの活動内容、今後の展望、滋賀大学と共に出来ることを提案。


まずは導入として、NPO法人日本アントレプレナーシップアカデミー理事長の山中さんのお話から
学生が企業とともに挑戦する意義・可能性についてのお話から始まり、
その後、被災地に向けて活動する各プロジェクトの説明に入った。

学生に対し、同じ学生が授業をする。
これ自体なかなかない機会。
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ミンナDEカオウヤプロジェクトについて説明する東本くん


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なぜ活動に携わろうと思ったのか、3.11後の自身の心の動きを話す服部くん


同じ関西にいても、ほとんどの人が元気だ状やミンナDEカオウヤの動きを知らず、衝撃は大きかったよう。
ある滋賀大学の学生からは...
「元気だ状に衝撃を受けた。年賀状は出しにくいだろうから、それに代わるものを立ち上げよう。
そんな小さな事も復興に繋がるとは考えもしなかった。被災を受けた場所・人に対してばかりに目がいっていた。」

との感想を得た。
新たな復興に関わる視点を持つことにも繋がったようだ。

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元気だ状プロジェクトの立ち上げの経緯を話す鍛冶屋くん



滋賀大学からは、この日、10名の学生が参加。
講義開講前のアンケートでは、
「何かしたいけど、何をしたらいいのか分からない」
「被災地にボランティアに行きたかったけど、時間やお金の関係で行けなかった」
「関西からでも出来ることを考えたい」

など、1歩踏み出せずにいる様子が伺えていた。

しかし講義の後半、この日の授業を受けて自分が感じたこと、思ったことなどを
一人一人紙に書いたところ・・・
「 行動 」「 発進 」など、ここから次へ動き出そうという言葉がたくさん!

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「何かしたい」
そう想っている滋賀大学の学生に動き出すきっかけを
与えるものになっていれば幸いだ。


岡あゆみ

2012年08月07日

EAST LOOP プロジェクト

株式会社福市でEAST LOOPプロジェクトを担当している、海老川広子さんを取材に伺った。

同社はかねてから本業として、社会的に弱い立場にいる人々に、
働く事から生きていく力を与える「フェアトレード」を展開してきた。
そんな中、3.11の震災が起こり「海外の支援も大切だが、同時に東北の人たちを助けなければ。」と、
これまで培ったノウハウを生かし、NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークに協力いただき、
被災地と全国を繋げるEAST LOOPプロジェクトを立ち上げた。
EAST LOOPプロジェクトのHP

仮設住宅でもかぎ針ひとつで、場所をとらずにできるものとして、
デザインはニットなどのデザーナーの岩切エミさんの協力を得て
被災地に仕事を作る最初の商品ハートブローチが生まれた。
商品代金800円(税抜)のうち、50%の400円が作り手さんに送られる仕組みだ。
ひと編み、ひと編みが作り出すハートからは作り手さんの温かさが感じられる。

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写真:ピンク色のハートブローチ。カラー展開は赤・ピンク・ベージュ・きみどり・水色の5種類。

2011年7月から講習会などで作り手さんの輪を広げ、岩手県ではNPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク、宮城県では石巻復興支援ネットワーク、東松島の婦人団体まざ〜らいんと協力しながら、現在総勢200名近くの作り手さんによってプロジェクトは形作られている。


-- 作り手さんの声
海老川さんが、岩手県宮古の作り手さんを訪問した際のお話を伺った。
 仮設住宅に入り、6畳の空間で夫と娘3人で暮らしていると、プライベートの時間がなくストレスが溜まる。
 先の不安 もあった中、お金が貰える事は勿論だけれど、とりあえず、手を動かせたのが救いだった。
 夫も最初は協力的じゃなかったが、最近では糸を巻くのを手伝ってくれている。
 なかなか仕事がなく、夫が働けない状況がある中で、このプロジェクトに参加してお金を得ることが出来、
 自分の自信になっている。こうゆうプロジェクトに参加できていることが誇らしい。
 頂いたお金は使おうと思っていたが、もったいなくて使えずにいる。貯めているんだ。
と、宮古の仮設住宅で暮らす作り手さんにお話を伺い、
「関西にいてだんだん気持ちが薄れていく中で、もっと頑張らないと!と思えた日だった。」 と海老川さん。


-- 商品として
支援でもあるが商品でもある。直接販売できる機会ばかりでなく、卸商品として自分たちの手を離れた販売機会も多い為、買って頂く人に喜んでもらう為には、商品という意識・基準をしっかりしなければいけない。被災地から届けられたハートブローチを一つ一つ検品して、基準に達しないものは作り手さんへ返している。商品としての完成度を高めているからこそ、様々な企業にも受け入れられイベントや店舗などの販売へと輪が広がっている。
東松島の婦人団体まざ〜らいんの方からは、
「不備などがある商品は、どんどん返してくれたら良いよ」
「高いお金を払って買ってくれているんだから、良いものを作らなきゃ」と。
一つでも多く売れることが仕事を生み出し、さらには作り手さん自身の働いているという意識を高める事に繋がっている。
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-- 作り手さんと応援する人を繋げるもの
商品を手にしたお客さんから「ミヨちゃんの買いました」「ばぁばさんの届きました」など、
Facebookページには購入した人の声がずらりと並ぶ。
商品の裏面に、制作した方のニックネームが書かれているからだ。
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株式会社福市では、その投稿された声を定期的に切り貼りして、作り手さんに届け、
そして、HPでは作り手さんからのメッセージを発信して、双方を繋げる仕組みを生み出した。
誰もが利用・投稿・閲覧可能なFacebookが、応援してくれる人々を巻き込むのに大きな役割を担っている。
EAST LOOPプロジェクトFacebookページ


-- 今後の展開
将来的にEAST LOOPプロジェクトは、株式会社福市の手を離れ、運営される形を目指しているそうだ。
現地の人にアンケートで意見聞きながら、何らかの形で現地に引き継ぎができないか模索中だ。
例えば販路開拓などは、現地での展開が望ましい。
地域の状況・作り手さんの意見をふまえ移転を進めていく予定だ。


株式会社福市は本業のフェアトレードは勿論、NPOではなく株式で社会貢献をしている。
助成金に頼ることなく利益を生み出し、継続的に事業を行っている。
「これからのソーシャルビジネスはそうゆう形でやっていかなければならない。本当にチャレンジ。」と、語る海老川さん。

今後のEAST LOOPプロジェクトが、支援から現地の人が自ら行う事業となり、どんな展開をするのか楽しみだ。


岡あゆみ