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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


大野城市 [2010年12月02日(Thu)]


福岡県に大野城市という自治体があり、フルコスト計算書を作っているというので、月曜日に調査に行ってきました。

これがなんと久々の大当たりで、フルコストどころか、行政経営システムと官民連携・協働をフルセットで導入しており、人口9万5千人に対して市職員数が387人(平均的には900人はいくはず)というとんでもない事例を生み出していました。

福岡市に隣接して、人口急増期が長期に渡って続いてきたという特殊状況もあり、職員の養成が追いつかないということで、当初から民間の活用と新住民を含めたコミュニティの再編を方針として推進してこられたそうです。

特筆すべきことは、民間やコミュニティに仕事を委託する場合に、経費削減を優先するほとんどの自治体と異なり、持続的に仕事を担ってもらうためにもフルコストを払うという方針を堅持してきたということです。

その結果、チャイルドケアセンター大野城という大きなNPOが育ったほか、コミュニティ組織も有給職員を雇用する体制になっているそうです。また、行政自体も、平均的な自治体に比べて職員数が約4割ほどという超スリムな規模に維持されています。

冒頭の写真は、1階の総合案内がすべて民間に委託されている風景です。

キーパーソンは、企画畑で一連のシステム構築を推進し、その後財政課長になって査定権を各課へと権限委譲する枠予算制度を導入し、さらに現在は新コミュニティ課長として、「コミュニティセンターを『自助』『共助』『公助』からなる役場に転換」するプロジェクトを進めている見城俊昭さんでした。

一連の改革を実に楽しそうに話してくれました。全部自分で手がけたということが一目瞭然です。

こういう公務員が、本当に時々ですが、存在するのです。