民主主義発祥の地、ナゴヤ
[2010年02月28日(Sun)]
名古屋市の地域委員会選挙の開票がありました。事前登録者が18歳以上の対象者のうち10・6%で、そのなかでの投票率は82・4%。絶対投票率は8・7%ということになります。
広がりの不十分性を指摘する声もあり、当然のことですが、しかし、これほどの新しい仕組みがこれほどの抵抗のなかで実施されたことを考えると、第一歩として不可逆点を越えるだけの数字といってよいと思います。
委ねられる予算額が当初の5000万円から500万円〜1500万円に減ったことや、予算編成のテーマが事前に決められたことなどの問題点はありますが、小学校区のボランティア公選議会が予算編成を行うという日本で初めての実験がついにスタートしたことの意義は誰も否定できないでしょう。
議会基本条例など、地方議会のあり方をめぐる議論が高まっていますが、そんなうわべだけのまやかしではなく、この学区のボランティア議会こそが将来の地方議会のモデルになることは確実だと思います。だからこそ、これに対する賛否こそが改革派対守旧派の分岐点になるのです。
選挙についていえば、公募委員とは別に定員の4割ほどの「推薦委員」(信任投票)を設定して学区連協の役割を尊重したにもかかわらず、ほとんどの公募委員枠にも学区連協が定員いっぱいの候補者をたて、組織選挙をやってほとんど当選させたことは明らかなルール違反だったと思います。ある学区では、自治会の回覧板で特定の候補者への投票を指示したようです。
自治会などの地縁組織は公的組織なのでしょうか、民間組織なのでしょうか。組織として選挙運動をやってもよいと主張する際は民間組織だからというようですが、それなら自分たちだけ「推薦委員」枠を持つなどという特権は放棄すべきです。公的組織と民間組織をいいとこどりで使い分けることは許されません。(当然ながら、任意加入の民間組織として活動すべきだというのが私の意見です)
これと対照的に、千種区の田代学区では、以前に紹介したような学区連協の会長さんの開かれた姿勢のおかげで、6人定員に17人の立候補があり、結果として、19歳と25歳の学生さんも当選しました。見事な事例であり、こういう地域でこそ住民から広く支持されるまちづくりが進むことでしょう。
私の自宅は隣の学区なので、今後の地域委員会の会議もぜひ傍聴にいきたいと思います。
ちなみに、私の友人の大学教員は惜しくも1票差で落選でした。勇気ある挑戦に心からエールを送りたいと思います。学生と大学教員が平場で選挙で競うという事例がかつてあったでしょうか。こういうことが起こることこそが、河村市長の言う「日本、民主主義発祥の地、ナゴヤ」です。
最後に、この選挙結果を票数まで詳しく報道した「中日新聞」2月28日付の解説記事はなかなか泣かせました。
とまれ、「新しい自治の仕組み」はレールの上を走りだした。公開討論会で、住民が自らの言葉で、聴衆に地域の実情を真摯に語り掛ける姿が印象的だった。
私はきょうを最後に市政担当を離れることになったが、市民の英知を結集すれば、いずれ地域委員会は大輪の花を咲かせると確信している。(白石亘)
東京目線の全国紙は、いつからこの名古屋の動きをきちんと報道しはじめるのでしょうか。
広がりの不十分性を指摘する声もあり、当然のことですが、しかし、これほどの新しい仕組みがこれほどの抵抗のなかで実施されたことを考えると、第一歩として不可逆点を越えるだけの数字といってよいと思います。
委ねられる予算額が当初の5000万円から500万円〜1500万円に減ったことや、予算編成のテーマが事前に決められたことなどの問題点はありますが、小学校区のボランティア公選議会が予算編成を行うという日本で初めての実験がついにスタートしたことの意義は誰も否定できないでしょう。
議会基本条例など、地方議会のあり方をめぐる議論が高まっていますが、そんなうわべだけのまやかしではなく、この学区のボランティア議会こそが将来の地方議会のモデルになることは確実だと思います。だからこそ、これに対する賛否こそが改革派対守旧派の分岐点になるのです。
選挙についていえば、公募委員とは別に定員の4割ほどの「推薦委員」(信任投票)を設定して学区連協の役割を尊重したにもかかわらず、ほとんどの公募委員枠にも学区連協が定員いっぱいの候補者をたて、組織選挙をやってほとんど当選させたことは明らかなルール違反だったと思います。ある学区では、自治会の回覧板で特定の候補者への投票を指示したようです。
自治会などの地縁組織は公的組織なのでしょうか、民間組織なのでしょうか。組織として選挙運動をやってもよいと主張する際は民間組織だからというようですが、それなら自分たちだけ「推薦委員」枠を持つなどという特権は放棄すべきです。公的組織と民間組織をいいとこどりで使い分けることは許されません。(当然ながら、任意加入の民間組織として活動すべきだというのが私の意見です)
これと対照的に、千種区の田代学区では、以前に紹介したような学区連協の会長さんの開かれた姿勢のおかげで、6人定員に17人の立候補があり、結果として、19歳と25歳の学生さんも当選しました。見事な事例であり、こういう地域でこそ住民から広く支持されるまちづくりが進むことでしょう。
私の自宅は隣の学区なので、今後の地域委員会の会議もぜひ傍聴にいきたいと思います。
ちなみに、私の友人の大学教員は惜しくも1票差で落選でした。勇気ある挑戦に心からエールを送りたいと思います。学生と大学教員が平場で選挙で競うという事例がかつてあったでしょうか。こういうことが起こることこそが、河村市長の言う「日本、民主主義発祥の地、ナゴヤ」です。
最後に、この選挙結果を票数まで詳しく報道した「中日新聞」2月28日付の解説記事はなかなか泣かせました。
とまれ、「新しい自治の仕組み」はレールの上を走りだした。公開討論会で、住民が自らの言葉で、聴衆に地域の実情を真摯に語り掛ける姿が印象的だった。
私はきょうを最後に市政担当を離れることになったが、市民の英知を結集すれば、いずれ地域委員会は大輪の花を咲かせると確信している。(白石亘)
東京目線の全国紙は、いつからこの名古屋の動きをきちんと報道しはじめるのでしょうか。