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〔後房雄のブログ〕

現実関与型の政治学者が、日本政治、自治体改革、NPOやサードセクターの動向などについて話題を提供しています。一応研究者なので、面白かった本や論文の紹介もします。


民主党代表選挙 [2011年08月28日(Sun)]
民主党代表選挙が明日午前中に迫りました。でも、今回はどうにも期待感が湧きません。

毎日新聞の100人への世論調査では、半数が前原氏、3割が5人のなかにはいない、という結果だったようですが、私も、このなかで選べといわれたら前原さんでしょう。

特に、小沢、鳩山両氏のあからさまなカイライとなった海江田氏だけはやめてほしいです。

小沢氏の復権戦略は、今回は背後から操作できる代表・首相にしておいて、(裁判の決着を経て)来年9月の次の代表選挙で復活して、自らの手で解散総選挙をやる、というもののようです。

権力闘争の戦略としては周到で、民主党の他のリーダーたちとの権力闘争の力量の差も子供と大人のようなものでしょう。

また、民主党のほかの政治家たちの統治能力の未熟さを見るにつけても、一度小沢氏にやらせてみたいという気持ちも理解できます。

しかし、野党民主党が政権交代を果たすまでの小沢氏への期待感のようなものはもはや感じることができないというのが私の率直な気持ちです。

仮に小沢政権が実現してある程度の成果をあげたとしても、それが民主党の成熟につながるようにはとても思えないからです。

特に、小沢氏が絡むと、政策論争の影が薄くなってむき出しの権力闘争になってしまうことが問題だと思います。昨年の菅、小沢の代表選挙でも、小沢支持を明言していない議員を個別に自宅に呼びつけて踏み絵を迫っていたということを民主党議員から直接聞きました。

本当にこういうことはやめてもらいたいと思います。

総合的に考えると、小沢、鳩山、菅の三氏は完全に手を引いて、未熟でも次の世代で政策論争が主軸になるような党風を作っていくしかないと思います。

仮に前原氏が代表となったとして、来年9月の小沢氏の逆襲を退けれるだけの成果をあげられるかどうか、これまでの民主党政権の2年を見ると厳しいと言わざるをえません。

しかし、こうした見通しにしか希望が持てません。復権した小沢氏の政権が成果をあげたとしても、一将功成りて万骨枯る、という荒涼とした風景が浮かぶからです。

小沢氏がイギリス型の二大政党制を目指す意志は疑いませんが、どうも彼にはそうした開放的な政治の担い手としては致命的な欠陥があるようです。
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