〜地域の中で寄り添う支援とは〜 平成26年度「地域福祉フォーラム」に参加しました [2014年11月29日(Sat)]
平成26年11月26日、石巻市遊楽館(かなんホール)にて、石巻市社会福祉協議会主催の「平成26年度地域福祉フォーラム」が開催されました。
![]() NPO法人よろず相談室理事長、牧秀一さんによる基調講演「希望へ苦闘〜人は人によってのみ救うことができる〜」に始まり、「寄り添う支援とは」をテーマに、3名のパネリストによる、パネルディスカッションが行われました。 NPO法人よろず相談室の牧秀一さんは、大阪市に生まれ、大学卒業後、高校の教員として37年間勤めた後、現在、保育士を育成する専門学校で勤務しています。平成7年の阪神淡路大震災後、勤務の空いた時間に避難所でボランティア活動を始め、現在、震災高齢者、震災障害者の問題を主な活動の柱に取り組んでいます。 基調講演では、阪神淡路大震災後の公営住宅の入居者の高齢化の問題、特に、孤独死の問題について語られました。まるで分譲マンションのような一見素敵な公営住宅。しかし、独居高齢者にとって、隣人の物音が聞こえない空間は、まるで独房のようで、孤独感を増します。そして、高齢により、また自死により、入居者が亡くなっていき、空室が多くなり、次は自分の番かと死への恐怖を抱えて生活しています。入居者同士のコミュニティが希薄で、孤独に死を迎えていく、中には死後10か月を経て、隣人がベランダのうじ虫で異常に気づき警察に通報されたケースなど、痛ましいケースもあります。また、震災によって心身に障害を持った震災障害者については、あまり知られず、理解と支援が得られない状況であることも語られました。障害者だけが入居する、バストイレ共同の2階建ての公営住宅もあり、そのことは、障害を持つ方人への理解のなさを表すものでしょう。阪神淡路大震災後20年、現在の神戸の課題は、超高齢化時代をむかえる現在、東日本大震災の被災地では、5年後に現実となることが予想されます。仮設住宅から、災害公営住宅へ入居が始まる現在、阪神での教訓を、被災地石巻で活かしてほしいと、牧さんは語られます。 ![]() パネルディスカッションでは、NPO法人ベビースマイル石巻代表の荒木裕美さんが「NPO活動から見えた子育て支援にについて」をテーマに、震災後のお母さん同士が、さまざまな活動をとおして、情報交換や、支え合っていることを話されました。石巻民生委員児童委員協議会の北川禮子さんは、「地域の中で進めるサロン活動について」と題して、集会所で月に2回開催する茶話会をとおして、おばあちゃん達が心も体も元気になっていく様子を話されました。高齢化社会にあって、寄り添う支援の大切さ、そして人間の幸せとは何かを、考えさせられました。最後は、石巻社会福祉協議会地域福祉コーディネーターの谷祐輔さんが「地域福祉コーディネーターの役割について」話されました。谷さんは福岡県に生まれ、東日本大震災後にボランティアグループ「revive」で泥出し、引越し、町内活動サポート(側溝清掃)などの活動をし、平成25年4月から地域福祉コーディネーターとして地域づくり支援に取り組んでいます。前述の北川禮子さんにも、とても頼りにされている頼もしい存在です。谷さんのような多くの若者が被災地で活躍していることを嬉しく、そして頼もしく思うとともに、人の役に立ちたいという気持ちを持つ若者が(もちろん若者だけではありませんが)活動しやすい環境を整えていくこと、そして分野を超えて心ひとつとなり課題に取り組んでいくことが、震災から4年目を迎える今、石巻に必要なことであると筆者は思います。NPOに所属する一人として、また市民の一人として、多くの事を学ばせていただいた大変有意義なフォーラムでした。(文責:岡田) |