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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


個人向けローン 〜 大手銀が強化 総量規制機に [2010年11月28日(Sun)]

 昨日の読売新聞ネット記事によると、大手銀行が個人向けの無担保ローン事業を強化しているとのこと。

<記事抜粋>
・改正貸金業法完全施行で400万人以上が消費者金融などから新規借入が出来なくなるとみられている。
・銀行の個人向け無担保ローンは総量規制対象外、大手行は「銀行としての責務」(三菱東京UFJ銀行頭取)。
・金利は信用力によって年5〜14%に設定、限度額500万円とする商品が多。

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 ごくごく一部を除き、今まで実現できなかったことが急に実現できる道理はない。銀行の取組によって貸金業市場からの脱落者の幾人かが救済されるのであれば、それに越したことはない。

 しかし、できない相談はやはりできない相談であり続ける。それは早晩明らかになるだろう。貸金業を巡る問題は、改正貸金業法の完全施行後、完全に制度の問題になった。

 本件で政治と行政がリスクを取らないのはマスコミの責任が大きかったが、その傾向は今もまだ強い。弱者救いのつもりが弱者隠しになっている典型例。本件での救済の手法は単一ではなく二つ。

 “貸さない親切”だけではなく、『貸す親切』も同時並行に走らせないといけない。ただそれだけのことである。そんな当たり前のことができていないから困る人が増える。そんなに難しいことではない。難しいと思い込んでいる為政者がいるというだけのこと。
社会保障給付 〜 過去最高94兆円 08年度 [2010年11月14日(Sun)]

 一昨日の東京新聞ネット記事によると、国立社会保障・人口問題研究所は08年度の社会保障給付費は94兆848億円と発表。

≪記事概要≫
・「08年秋のリーマン・ショックに伴う失業給付の増加や、障害福祉サービスの拡充が全体を押し上げた」。
・国民所得比率も過去最高26.8%。
・前年度2.6ポイント増、国民所得7.1%減少が大きな要因。
・構成割合は、年金52.7%、医療31.5%、福祉その他15.9%。
・高齢者関係が全体の69.5%。国民1人当たり給付費は73万6800円。

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 既に少子高齢社会に入った我が国において、常に念頭に置いておくべき指標がここにある。詳細は国立社会保障・人口問題研究所の資料を参照されたい。

 政治レベルで本気になって経済構造や財政構造を修正していかないと、本当恐ろしいことになりかねない。もう遅いだろうが、だからこそ早いとこやらないといけない。
日本政策金融公庫 〜 「安全網貸付」4〜9月27%減 [2010年11月05日(Fri)]

 今朝の日経新聞によると、日本政策金融公庫「セーフティネット貸付」の新規実行額は10年4〜9月期で2兆958億円と、前年同期比27%減とのこと。

<記事抜粋>
・中小企業倒産減少傾向が背景。
・08年4〜9月期(7264億円)と比べると3倍近い水準。
・今年に入ってからは中小企業の業績悪化が一服したことなどに伴って貸付額減少。
・今年7〜9月は単月ベースでそれぞれ前年同期比約2割減。

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 詳細は日本公庫資料を参照されたい。中小企業金融で考えると、銀行など民間金融機関が貸さないか貸せないかのいずれせよ、結果的に銀行が与信しない資金需要への与信が公的与信の担当分野となる。

 成約率や回収率の推移も合わせて見てみないと、制度への評価として確かなことは言えない。公的与信の政策的意義付けは非常に難しい。民間与信と公的与信では、『優良顧客』の概念が異なる。

 黒字化する中小企業金融ビジネス対象には、公的金融機関が与信する必要は本来ない。赤字化する中小企業金融ビジネス対象には、金融手法ではなく補助手法でないと本来おかしい。公的与信にまつわる解決不能な命題である。
指定都市市長会 〜 生活保護「働ける人は受給期限を」 [2010年10月22日(Fri)]

 昨日の朝日新聞ネット記事によると、全国19政令指定市でつくる指定都市市長会は民主党と厚労省に生活保護制度の抜本改正を要望したとのこと。

【記事要旨】
・働くことができる人の受給に期限を設けることや、過剰受診を抑制するため医療費を一部自己負担にすることを求めた。
・働くことが可能な人に対して、ボランティアや軽作業のプログラム参加を義務づけ。3年あるいは5年で「自立に向けて最大限の努力を行ったか」を判断し保護を続けるか決める。
・居住地が定まらない人の保護費は全額国が負担。
・市民団体は「失業者や低所得者を生活保護から排除する危険な構想」と、撤回を求める意見書。

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 厳し過ぎる財政事情の折、税金の使途を再考するに当たり、どのような価値観に立って既存施策を見直し、新政策を実行していくべきかという話。事業仕分け第三弾が始まろうとしているが、ともすれば“危険な構想”と同じである。

 「働くことのできる人」に関する基準はグレーゾーンにならざるを得ない。均等であるかどうかは別として、結局は痛みを全員で分かち合うことになる。護送船団の意味は、全員が浮上することから、全員が浮沈を共にすることに変化しそうだ。

 それこそ、最も「危険な構想」となる。
ショッピング枠現金化業者 〜 多額申告漏れ指摘 [2010年10月19日(Tue)]

 今夕のNHKニュースでは、いわゆる“カード現金化”業者の脱税摘発について報道された。

<報道概要>
・貸し渋りや多重債務で融資を受けられなくなった人にカードを使った買い物の形をとって現金を融通する「現金化業者」に対し国税当局が一斉調査、これまで50業者に調査、10億円以上の所得隠しや申告漏れを指摘。
・業界の先駆けといわれる東京の業者は、1億3000万円の所得隠しを指摘され、脱税で検察庁に告発。
・「ショッピング枠現金化業者」とは、客に100円程度で買える商品を数十万円で買わせ、クレジットカードで支払いをさせたあと、手数料を差し引いて代金の大半を客に払い戻すもの。
・審査なしで手軽に現金を調達できることから利用者が急増。

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 行政の監督が行き届く合法領域であることを放棄されたが故にそこが社会問題を引き起こす違法領域となるのにはそれほど時間は要しないという話。多重債務であって返済能力に問題のある人には、民間融資は回避されるべきである。

 多重債務であっても返済能力に問題のない人や、貸金業関連制度変更によって貸し渋りに遭った人に対しては、民間融資は引き続き行われるべきである。しかし、今はそれは叶わない。

 近年の貸金業制度や割賦販売制度の変更は、近年稀に見る大失策である。懲悪の対象と手法を完全に見誤っている。早々に『改正』されなければ、茹で蛙のままの状況が更に悪化するだけである。

 過重債務者には相応の措置を施すべきであって、それも遅々として進んでいない。「カード現金化」は、制度改正のつもりが制度改悪だったことを思い知らせる事象であると言わざるを得ない。

 民間融資と福祉施策の両輪が揃ってこそ、健全なリテール金融市場は再興する。カード現金化業者数は統計できない。違法領域である。それを広げたツケは、それを狭めることで返戻するしかない。それが政治・行政に期待される先見性である。
大阪府の緊急資金貸付制度 〜 15億円回収不能 [2010年10月13日(Wed)]

 昨日の産経新聞ネット記事によると、大阪府かけこみ緊急資金貸付制度をめぐり、未返済残高が20億円、うち15億円が回収不能に陥っていることが府監査委員の監査結果で明らかになったとのこと。

【記事概略】
・府から社会福祉協議会への貸付金を原資、災害などで生活困窮となった世帯が対象。
・1世帯10万円以内を無利子無担保無保証で20カ月以内返済が条件。
・事業は昭和46年度から行われ平成13年度に廃止、延べ11万件、総額83億円。
・返済率は76%、返済されていない20億円のうち15億円は貸し付けた相手が死亡、破産など回収が難しい状況。
・監査委員は、社協に対する指導強化や府としての対策を求めている。

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 回収を前提としていた制度そのものの欠陥が今になって露呈している。多重債務であろうがなかろうが、返済困難な人への公的貸付は給付に極めて近い政策思想で行われているのが常。

 金融としては体をなしていないと思われるが、福祉としては十分あり得る話。公的資金の供与には貸付と給付があるが、よくよく考えると、公的貸付というのは本当は奇妙。

 返済が前提となっているのであれば、利子補給や公的保証は別として、そもそも民間で賄えるはず。公的与信に貸付という手法を存続させるべきかどうか、入念に仕分けてみるべき。
生活保護世帯の子に進学支援拡大 〜 無料学習会や塾代補助 [2010年10月12日(Tue)]

 今朝の朝日新聞ネット記事によると、生活保護家庭の子を対象に自治体が無料学習会を開いたり塾代を補助したりする進学支援例が増えているとのこと。

〔記事要旨〕
・埼玉県は今月、保護家庭650人の中3生を対象に無料学習教室をスタート。
・大阪府は昨年11月から、保護家庭の中3生を公民館に集めて週に2回学習会。
・東京都は08年度から、保護家庭の子が塾に通う費用を補助。小学4〜6年は年額5万円、中1と中2は10万円、中3は15万円。
・板橋区では今春、塾代補助を利用した子の進学率は87%。
・熊本県も昨年度、保護世帯から大学や専門学校に進む若者向け生活費貸付を始めた。
・保護世帯主の25%は育った家庭も保護世帯。保護世帯主は中卒か高校中退が73%。

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 政府や自治体の役割はこうしたところにあるという典型的な政策例。全員に現金を配るのも時には必要かもしれないが、公的セクターの任務は民間では賄い切れない分野への投資である。

 福祉政策か教育政策かという役所的縦割論もあるが、どちらにせよ先ずは始めて広げることだ。所得捕捉の必要性は、政策面で所得制限が必要になればなるほど大きくなる。まさに「社会保障番号」が不可欠となる。
ソフトヤミ金 [2010年09月18日(Sat)]

 昨日の毎日新聞ネット記事によると、「ソフトヤミ金」は違法金利で金を貸し付けながら強引な取立てを控える手口のため被害が潜在化する恐れが指摘されているとのこと。

<記事要約>
・顧客側も「ヤミ金の怖いイメージはなかった」と、警察への苦情も少なかったという。
・容疑者は「債務者と長い取引をすればそれだけ利息が取れるので、強引な取り立てはしなかった」。
・無担保無保証の利用者数1400万人、うち700万人が総量規制の範囲超。
・東京情報大准教授は「貸倒れを恐れて借り手を対面審査し、延滞なく返済する借り手には金利を低くするヤミ金が現れている。ソフトヤミ金は借り手も被害を意識しないため被害が潜在化」。
・警察庁によると、今年上半期に摘発したヤミ金事件被害総額は前年同期比53.1%減64億8314万円。警察庁は「改正貸金業法の施行などで、ヤミ金が小型化している」。

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 こういう新手の業態が現出してしまうような制度変更を行ったという話。一定条件下であったにせよ、今まで適法金利だった金利帯を違法としたのだから、違法金利帯でしか借りられない借り手が増えるのは当然と言えば当然。

 ヤミ金融は貸金業を営む者であって貸金業者ではない。正確な統計は取れるはずもない。誰が考えても必然的に帰結する事象を見越して制度を改正していかなければならない。実際、焦眉の急である。

 そうでないと、誰にも気付いてもらえないヤミ金融依存は更に蔓延ることになりかねない。この政策課題は、貸金業者とヤミ金融業者は全く異なるという正しい認識から開始しないといけない。現行金利よりも高い金利帯を許容できないと、他のもっと大事なことを失い続けることになる。
貸金特区構想 〜 府がアンケート調査 [2010年09月03日(Fri)]

 今日の朝日新聞ネット記事によると、「貸金業特区」構想を巡り、大阪府はノンバンク利用者に実施したアンケート結果を公表したとのこと。

【記事概要】
・府が8月にネットなどを通じて匿名アンケート。回答は経営者233人と消費者500人。
・消費者500人のうち「総量規制に抵触している」は184人、うち「返済余力がある」は103人、府は「返済能力があるにもかかわらず必要な資金を借りられない現状がある」。
・法改正で借入ができなくなるなど「影響を受けた」と答えた人のうち、7〜8人に1人がヤミ金融業者から借りたり、それを検討したりしていた。
・大阪弁護士会や大阪司法書士会は「法改正の趣旨を完全に捨て去るもので容認できない」。
・橋下知事は「周りの声とか事業主と接して肌感覚と照らし合わせて、方向を決めるのが政治家。僕の政治感覚なら、このまんま放っておくことは絶対できない」。

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 “法改正”なるものの趣旨と手法に大きな齟齬があるという話。大阪府特区構想で目指している中小企業や個人の資金繰り円滑化策は、“法改正”の趣旨を逸脱するものではない。

 本来借入(貸付)してはいけない資金需要者への与信を絞ることが趣旨であるのに、必要な資金繰りまで絞ることは“法改正”の趣旨ではない。弁護士会や司法書士会は過剰な心配をしているとしか思えない。

 返済能力や返済余力のある人に適正な対価で資金を貸し付けることは、民間金融として当然のこと。それを理解しようとせずに“法改正”の趣旨に拘泥していると、もっと他の複数の悪影響が噴出することになる。

 特区創設であれ法再改正であれ、円滑な資金繰り環境を早急に取り戻す必要がある。その際、福祉的な公的金融に依存してはならない。税金の無駄遣いになる。福祉こそ、本当に必要な人々のために税金が使われなければならない。
高齢者所在不明 抽出事業26億円 [2010年08月26日(Thu)]

 今夕の東京新聞によると、高齢者所在不明問題で厚労省は、医療保険利用情報を利用して所在不明年金受給者を抽出する新規事業として概算要求26億円を盛り込んだとのこと。

≪記事概要≫
・医療機関にかかっていない年金受給者を洗い出し、安否確認する「現況届」。
・現況届の返信がなかった場合は年金支給を一時差し止め。再度現況届を送り、返信があった場合も訪問調査を行って安否確認。
 
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 年金不正受給対策であれば受給者全員をやるのが本筋。しかし、それだと費用が天文学的数字になるということかもしれない。本当は所在不明高齢者の全員を調査したいのだろうが、それだと更に費用がかかるということか。

 不正受給総額は現時点では不明だが、予算額に比しての不正受給額の多寡で、これまた政策的意義も変動する。所在不明であることと、年金不正受給とは、一義的には関係ない。これがまた問題をややこしくしている。

 本人死亡後に家族が不正受給している場合、現行法では詐取に当たるらしい。それが発覚して返還を求めても、支払えずに破綻する事案が散見されてくれば結局、貧困問題に行き着くような気がする。問題のすり替えが早晩起こると思料。
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