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官邸斜向かい〜霞門の眼 by 石川和男

政治・経済・社会の動向から明日明後日を読むということで。


グラミン銀行 〜 ユヌス氏を総裁から強制解任 [2011年03月02日(Wed)]

 今日の毎日新聞ネット記事によると、バングラデシュ中央銀行はグラミン銀行総裁ムハマド・ユヌス氏(70)を総裁職から強制解任する命令を出したとのこと。

<記事概要>
・60歳定年規定に違反したため。
・ユヌス氏は、グラミン銀行を通じて貧困層自立に貢献したとして06年ノーベル平和賞。
・近年、高金利などから利用者に自殺者が出たり、不透明な融資疑惑で批判。

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 実際のところはかなり困難だろうが、事実を淡々と追求していくべきだという話。またぞろ単純かつ愚かしくも金利を眼の敵にしないような冷静さが必須。借金返済に苦しむ人を経済的に更生させようという試みを止めてはいけない。

 同時に、借金できないことに苦しむ人に適切な手を差し伸べることのできないような制度や論調は厳に回避すべき。一を以て百を、というのは思考回路の壊死でしかない。今の我が国がそれそのものの様。

 利用者数が多ければ多いほど、“事故”の件数が多くなるのは必然。きちんと返せる人だけのはずがない。だから金利がコスト+リスク見合で設定される。公的資金で賄うべきだという安易な主張は納税者の視点を著しく欠く。

 特に財政難の国においては尚更である。民間資金で回る仕組みを壊した以上、それを完全回復ではなく適度な水準にまで再生させることは、政治と行政の責任となる。
 
年金担保貸付に関するアンケート調査(平成22年度) [2011年01月28日(Fri)]


 年金担保貸付に関するアンケート調査(平成22年度) の調査報告書がとても興味深い。

 独立行政法人福祉医療機構のHPより。
 → http://hp.wam.go.jp/Portals/0/docs/gyoumu/nenkin/pdf/20101216_02.pdf
『ヤミ金利用検討』2割 〜 貸金業法改正影響調査 [2010年11月21日(Sun)]

 昨日の東京新聞朝刊によると、消費者金融などからの借入額を制限する「総量規制」の該当者の2割がヤミ金融を利用する可能性があることが、日本貸金業協会の調査で分かったとのこと。

〔記事要旨〕
・総量規制は6月に導入。総量規制該当者の15.5%が「どうしようもない状況になれば、ヤミ金など非正規業者でも借り入れせざるを得ない」、4%が「必要に応じ借り入れを検討する」と、ヤミ金利用可能性がある人は計19.5%。
・希望通りの借入ができなくなった人は総量規制該当者の69.5%、専業主婦の53%。
・急増しているカードショッピング枠現金化業者の利用可能性があるとした人は、総量規制該当者の32.9%、専業主婦の20.8%。

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 政府の認可法人による調査の結果であるという話。詳細は日本貸金業協会資料を参照されたい。個人であれ法人であれ、資金繰りに苦労したことのある者なら誰しも考え得ること。

 その資金繰りが、貸金業者(=貸金業法に基づく登録を受けた者)によるものかヤミ金業者(=貸金業を営む者であって貸金業法の登録を受けていない者)によるものかについて、重きは置かない場合は多いだろう。そんなことは二の次となる。

 何が正義は人それぞれ異なる。“多重債務者を救済すること”が正義である場合もある。『急な資金繰りにリスクとコストに見合った迅速な融資をすること』が正義である場合もある。

 その機能を破壊することは正義ではない。その機能を復活させることは正義である。通常であれば、誰も損しない。
『登録型派遣 原則禁止』について [2009年12月28日(Mon)]

 今日の東京新聞夕刊その他の報道によると、労政審は登録型派遣や製造業派遣の原則禁止を柱とした報告書を取りまとめたとのこと。



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 記事にもあるように、厚労省によると派遣で働く人は08年6月時点で202万人、規制対象は44万人。報告書の通りに派遣法改正案が成立すると、3〜5年の経過期間が設定されるにせよ、結果的にこの44万人は派遣労働者でなくなる。

 現行の規制対象者が件の改正法施行後において、失業者になるか、他の形態で就労者となっているかは、今の時点では見当もつかない。第一義的には経済社会情勢次第。派遣法改正と同時に、盤石な安全網(セーフティネット)を敷設しておく必要がある
 
 派遣法改正案によって禁止される派遣形態は、完全施行を待つまでもなく徐々に消えていくはず。問題は、規制対象ではない全く別の就労形態が蔓延し始める可能性が大きいということ。規制強化には、時の政府・与党にとっては相応の正当性があるからこそ成立するのだが、時が経つと本件の正当性は色褪せるだろう。

 派遣規制を強化すると、昨年のような“派遣切りという名の非正規切り”は更になくなると思われる。その代わり、景気動向が飛躍的に好転でもしない限り、当面は既に増えつつある“正規切り”が更に増えていくことになるだろう。だからこそ、安全網が最重要なのである。
“増える空き家の活用を” [2009年12月13日(Sun)]

 今夜のNHKニュースによると、全国で増え続けている空き家を住宅確保が困難な人たちの住まいや高齢者向けの福祉施設として活用していこうというシンポジウムが開かれたとのこと。

【記事概略】
・全国の住宅に占める空き家の割合は去年は13%とこれまでで最高。
・シンポジウムを開いた市民団体代表幹事で千葉大学教授は「増え続ける空き家を活用しようと思っても、所有者が安心して貸し出せる仕組みがまだ少ない。行政だけでなく、地域や市民が工夫することで取り組みが広がる機会になれば」。

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 空き家と入居希望者の100%需給マッチングは無理だろうが、相当程度はマッチングさせようとしても、国と地方、福祉と住宅といった現行の縦割行政のままでは殆ど進まないだろう。政治主導とは、こうした縦割を打破することに真骨頂があるはず。

 独立行政法人や公益法人といった官業法人は、こうした分野で仕事を取っていけば存在意義を発揮できようというものだが、そういう発想は今のところ見当たらない。所有者が安心して貸し出せる仕組みがない中で、官業法人がその役割を担うとどうなるか。

 誰も手を付けていなければ、民業圧迫にはならない。政治主導が遅々としていると、やがて官僚主導になっていく。以前とは違う官僚主導であれば、政治主導よりも歓迎される結果になる可能性もある。
「『収入減で生活保護』急増 雇用悪化、前年比1.4倍に」について [2009年12月09日(Wed)]

 今朝の東京新聞によると、今年9月に生活保護を受給した世帯のうち失業や収入減とかかわりが深い「その他の世帯」が1年前に比べて1.42倍に急増したとのこと。



【記事抜粋】
・「その他の世帯」は働く能力があるのに失業したり、十分な収入が得られない層。
・9月受給世帯は126万7261世帯、昨年9月比1.11倍。うち「その他の世帯」は16万9106世帯、昨年9月の1.42倍。
・「その他の世帯」は昨年9月に比べ、浜松2.79倍、名古屋2.42倍、北九州2.13倍、さいたま1.95倍、大阪1.84倍。
・18政令市合計6万5199世帯で、1年前の1.55倍。東京23区は1万5993世帯で1.39倍。
・「その他の世帯」の内訳、「失業」は横浜53%、大阪25%、「貯金などの減少」は名古屋61%、浜松52%。

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 2次補正発表より少し遅れてのこの発表は、2次補正の下支え施策に係るアナウンスメント効果を相殺するどころか、遥か下方に抜けさせてしまった。「その他の世帯」の急増は、給付付き職業訓練などの下支え施策の倍加を暗に要請する。

 昨年は“派遣村”だったが、今年は“正規村”かもしれない。派遣・非正規労働者の次は正規労働者になると見込まれていた。昨今の雇用情勢はそれを如実に現わしている。需要創造を半ば強引に仕掛けていく必要がある。

 劇的に増やしていくべき理由が容易に見つかるのは『環境(=エコ)』と『福祉』であろう。今の下支えを将来の成長分野の礎にするマクロ戦略が出されるのは、いつのことになるだろうか。
 
「12月1日から母子加算復活 来年度以降の財源が課題」について [2009年11月30日(Mon)]

 今夜の共同通信によると、鳩山政権がマニフェスト通りに復活を決めた生活保護母子加算が12月1日から始まるとのこと。

〔記事抜粋〕
・多くの自治体では1〜5日までに通常の保護費に上乗せ支給。
・10年度以降の実施や金額については、生活保護高校就学費と公立高校授業料無償化などと整合性を勘案する課題が残っている。
・09年度復活決定までには、財務省が加算額引下げや高校就学費廃止を求め、厚労省が満額支給に必要な58億円を09年度予備費で獲得するまで1カ月以上を要した。
・母子加算対象は10万世帯。

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 母子加算に要する予算に関する財源確保が焦点の一つになっているようだが、今年度分は4か月分で60億円。単純計算では来年度加算分は180億円。この水準の金額であれば、厚労省予算の『節約』と『流用』で捻出可能であろう。

 今となっては、母子加算復活に係る先の予備費獲得劇は政治的演出だったとも思えるが、金額水準を考えれば新たな財源を模索するような話ではない。他の公的措置との整合性確保は必要だが、予算額のS&Bとは切り離して検討すべき。

 母子加算復活の件に限らず、類似措置や重複措置の整理統廃合は不可欠となるが、一般需要か特別需要かで扱いは全然異なってくることに注意しなければならない。ここの線引きを今から明確にしておかないと、せっかくの復活も復活でなくなるし、逆に次回以降の事業仕分け対象になりかねない。
「失業者支援 新たな安全網『一本化早く』 制度つぎはぎ&窓口バラバラ」について [2009年11月29日(Sun)]

 今朝の東京新聞によると、仕事や家を失った人のセーフティーネット(安全網)が拡充されて2カ月、申請受付け現場からは「制度がつぎはぎだらけで使い勝手が悪く、本来の役割が果たせない」として一本化を求める声が上がっているとのこと。


≪記事概要≫
・「新たな安全網は、制度ごとに厚労省内担当が違い、自治体窓口もハローワーク、社会福祉協議会、福祉事務所などバラバラ。一体化しておらず、すき間に落ちる人がかなり出る」。
・政府は全国77カ所ハローワーク窓口で住居や生活支援の手続もできるワンストップ・サービス試行。
・「むしろ先に安全網を一本化しないと意味がない」。

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 詰まる所、『社会保障番号』と『負の所得税』を早急に構築すべきだという話。ハローワークでのワンストップサービス試行は結果待ちであるが、この趣旨を本格的に開眼させていくには、社協など他のあらゆる公的窓口において、公的制度アドバイザー付きのワンストップサービスが必要になるはず。

 この分野には現在、明らかに人員が不足している。そこに国や自治体の行政経験者も含めて人材を充当する人事政策は検討されるべき。天下り団体への支出を停止して、必要な行政現場に人件費として投入することは無駄遣いではない。天下り問題の解決の一端を発見することができる。

 労働需給のミスマッチは、民間労働市場だけでなく、公務労働市場でも存在している。後者の方が歴史は古く、始末が悪いように思える。厚労相だけでは仕切れない。首相が強く指導しなければ、官益の大移動は実現できない。
「1人親世帯 貧困率50%超に」について [2009年11月13日(Fri)]

 今夜のNHKニュースによると、大人1人子育て世帯の「貧困率」は、おととし時点で54.3%と、半数以上世帯が貧困状態にあることが厚労省調査でわかったとのこと。

<報道概要>

・「貧困率」は所得から税金などを差し引いた可処分所得を基に算出し、貧困状態にある人の割合を示したもの。
・国民全体の貧困率おととし時点で15.7%、うち母子家庭など1人親世帯貧困率おととしの時点で54.3%。
・5年前調査で比較すると、OECD加盟30か国の中で最高。
・両親など大人2人子育て世帯貧困率は10.2%で、1人親世帯と比べ44.1ポイントの開き。
・厚労省政務官は「1人親世帯は日本の貧困層の大きな割合。母子家庭は臨時社員やパートで働いている人も多く、こうした人たちが正社員になれる仕組みを作らなければ、この割合を減らすことはできない」。

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 OECDの計算方法による「相対的貧困率」とは、等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯の割合。これをOECD30カ国で比較して最高であって良いと思う人は一人もいないと思うが、等価可処分所得の水準が国ごとに相当のバラツキがあるため、絶対的なものでないことも考慮しておく必要がある。

 貧困率についても言えるが、いずれの指標も国際比較を単純にできないところに難しさがある。国情が全然違うのに、統一的な計算方法で比較されると困惑する国も出てくる。貧困問題に対する国民的危機感を醸成させることは重要であるが、日本には日本の国情に合致した政策によって貧困を撲滅していくようにしないといけない。

 寒い国と暑い国は違う。
「緊急保証制度利用企業の倒産、1年で70件 予想下回る」について [2009年11月11日(Wed)]

 昨夜の朝日新聞ネット記事によると、帝国データバンク調査によると、緊急保証制度を利用した企業の倒産件数(法的整理のみ)は1年間で70件、負債総額は451億円だったとのこと。

<記事要旨>
・帝国データバンクは「予想より少なかった。審査を厳格に行っているからではないか」。
・制度承諾実績は累計79万件、保証枠30兆円のうち15兆円超。
・90年代末の特別保証制度の時は、制度開始翌月に倒産件数が減少するなど即効性があった半面、制度利用企業の倒産件数は1年間で1330件(銀行取引停止処分含む)。
・東京商工リサーチが発表した10月企業倒産件数(銀行取引停止処分含む)は、前年同月比11%減1261件。負債総額は71%減2903億円。

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 昨年秋からの緊急保証制度も、99年の特別保証制度も、中小企業資金繰り対策としての安全網措置の一環。利用企業の倒産割合が審査厳格化によって下降したことは、制度を運営する当局からすれば“二律背反”の想いのはず。

 中小企業向け与信の公的措置は、ともすれば返済期待値を高く見積もっていないことが通常だ。詐欺的行為などは予め含み置かれている。特別保証制度の時には多くのゾンビ中小企業の延命策に使われたと非難されたものだが、ゾンビかどうかは結果論でしかない。

 その意味においては、今次の緊急保証制度はゾンビ延命度が低かったと評価されるだろう。同時に、延命させるべき中小企業が延命されなかった可能性が高い。よってもって、“二律背反”なのである。
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