
正月を迎えると、どの家庭でも手作りのお節料理でお客様をもてなす。最近は、デパートや仕出し料理店にお重を依頼するケースも増えているし、ネットで注文する家庭も増えているという。我が家は、今まで一度も出来合いのお節料理を利用したことはない。勿論、スーパーからかまぼこや伊達巻などは買い求めるが、出来るだけ手作りするのが基本だ。何故なら、出来合いの料理は中に何が入っているか解らないからだ。健康と安全のためには、自分で作るほうが絶対に安心だ。今年も、我が家でお節料理を手作りした。
我が家のお節料理の中で、絶対に欠かせないのは『こづゆ』という会津の郷土料理だ。これがないと正月気分にならない。会津の郷土で長く愛されてきた汁料理である。正月や婚礼などの目出度い席には、このこづゆでお客様をもてなす。どんな料理かというと、根菜類をサイコロのように食べやすく細かく切って、汁物にする。出汁は、干した貝柱だけで取る。さらには、干したきくらげを戻して入れるし、しらたきも短く切って入れる。見た目は地味であるが、一口含んでみるとその美味しさに驚くことだろう。
なにしろ、見た目には期待できそうもない、何も取り得がない料理である。しかし、食べてみると、その奥深い味わいにびっくりする。干し貝柱を水に戻して出汁を取ったので、その美味しさは際立っているし、煮干や鰹節、昆布などの出汁では出ない、繊細で雑味のない何とも言えない微妙な旨みが、食べた人の味覚を虜にする。見た目は地味であるが、干し貝柱を20個から30個も使用するので、かなり贅沢である。今回は国産のきくらげもふんだんに使ったので、それもかなり高額な材料になる。最近は、中国の干しきくらげしか手に入らないから、純国産のきくらげを豊富に使えない。
会津の郷土料理は特にそうだが、見た目には何の変哲もないものが多い。しかし、食べては美味しいし、その手の込んだ料理は作り手の愛情が感じられるから、食べた人を感動させる。本物を見分ける舌を持っている人なら、間違いなく会津の郷土料理に魅了されることだろう。今回は、北海道産の干し貝柱をふんだんに用い、奥会津で取れた干しきくらげを大量に使ったので、自分でも自慢できるレベルのこづゆが出来た。元旦に息子夫婦と孫たちが来たが、子どもたちにも安心して食べさせることができる。
郷土料理というのは、その地域の風土に合い、その土地で出来た産物で作るのが基本になる。ただし、海産物だけは会津で取れないし、冷蔵技術が昔はなかったので、乾物類を用いてきた。ニシンの山椒漬けや棒たら煮などもその類である。郷土料理は、長い年月をかけてその土地に根付いてきたものである。何故、そんなにも長い期間に渡り土地の人々に支持されて伝統料理として残ってきたかというと、そういう郷土料理を食べた人が健康で長生きしてきたからである。そして、元気でエネルギッシュに仕事が出来て、子宝にも恵まれて、子孫も繁栄したのであろう。だから、そんな食文化が形作られたのである。
ということは伝統的な郷土料理こそが、その土地の身体に合い健康な暮らしを保証してくれたのに違いない。西洋料理や中華料理が日本人には合わないから、食べるべきではないなどという極端な話をするつもりはない。しかし、少なくても日本人のDNAには、和食が一番合っているのは間違いない。しかも、伝統的な郷土料理が日本人の健康維持には適していることは疑いようもない。私も、なるべく伝統的な和食を食べるようにしている。しかも、自分で手作りするのが基本だ。スーパーで作ったものやコンビニで売っているものは、なるべく食べないようにしている。安全安心の食べ物を食べたいからである。
コンビニやスーパーで売っているものは、すべて危ないなどと乱暴なことを言うつもりはない。たまには出来合いの惣菜だって食べることがある。しかし、コンビニの弁当やおにぎり、大メーカーのパンは絶対に食べないようにしている。添加物がすごいからである。自分で作った弁当を毎日食べている。それも手作りで野菜中心のおかずだ。おかげで、還暦を迎えた今でも、ベスト体重を維持しているし、お腹も出ていない。風邪もひかないし、インフルエンザなどの感染症にもかからず、生活習慣病にもなったことがない。長生きしたいとは思わないが、クォリティオブライフは維持したい。だから、これからも「こづゆ」のような伝統的郷土料理を作って、子孫にこの食文化を残したい。