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アバター [2010年01月08日(Fri)]
 名匠ジェームズ・キャメロン監督の最新作『アバター』は、期待通りの出来だった。3DやCGによる映像も見事だったが、そのストーリー・脚本も素晴らしくて、やはり巨匠という称号に相応しい内容だ。映像だけの映画も詰まらないし、内容が良くても映像美がなければ魅力は半減する。当然、映像美とストーリーがバランス良く調和してこそ、映画を楽しむことが出来る。そういう意味では、じっくりと丁寧に作り上げたこの作品は、映画の魅力を余すところなく表現している佳作と言えよう。

 この映画は宇宙SFものであるが、実はネイティブアメリカンと移民したアメリカ人との紛争を暗示しているということは、少し西部開拓史をかじったものならば誰にでも感じられることであろう。先住民に特有の、自然との共生や目に見えない神秘的なものを大切にする生き方は、私たち現代人が失ってしまった尊い考え方である。そんな生き方を取り戻したいものだという、キャメロン監督の強烈なメッセージを受け取った。

 概して言えば、西洋人の多くの人々は、自然とは克服するものであり、目に見えるものしか信じないとする科学的思考をしがちである。しかし、ネイティブアメリカンは、自然そのものには精霊が宿るという認識を持ち、生き物すべてとの交信が出来て、スピリチュアルな感覚が鋭い。当然、目に見えなくて実証できないことでも、真実として認識する。でも、古代の人間は皆そんな感覚を持っていたし、科学の発展に伴ってそんな大切な感覚を無くしてしまったように思える。日本人の精神文化には、このような感覚がまだ少し残っていることが救いである。

 キャメロン監督のように、人間として本来持つべき大事な感覚を重要だとする良識を持ったアメリカ人がいるということが、アメリカという国の懐の深さを表していると言えよう。時々、このような素晴らしい映画がハリウッドで作られていることが嬉しいし、世の中はまだ捨てたもんじゃないなと思えて楽しくなる。結末が解って詰まらないという映画ファンもいるが、願ったとおりになる結末だって、別にいいんじゃないのと言いたい。正義は最後に勝つという結末で、我々は勇気をもらえるのだから。
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