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ゴルフの心理と哲学 [2013年09月24日(Tue)]
 ゴルフは本来楽しいものだが、毎回心から楽しめるとは限らない。時には、思うようなゴルフプレーが出来ずにストレスが溜まるような時もあるし、失敗が次から次へと続いてしまい、自分を呪いたくなるような時もある。あるメンタルトレーニングの先生が、ゴルファーの一日の心理面の移ろいを、上手く表現していた。朝は期待に胸を膨らませ、今日こそは良いスコアで回れると自分を信じている。ところが、何度か失敗を重ねて、どうもおかしいぞと自分を疑い始める。さらにミスショットを重ねると、どうして上手く行かないんだと自分を責めて、ついには怒りが生まれる。そして、最後には諦めの感情に支配され、どうせいくら頑張っても駄目なんだと思い込む。そして、本来楽しい筈のゴルフの一日を、失望して終えるという次第である。

 ゴルファーの心は、何故こんなふうに期待から失望へと変遷して行くのであろうか。それは、ゴルフというスポーツがいかにメンタル面で難しくて、そしてメンタル面の影響を受けるかという証拠でもあるのだ。自分の思っているプレーと違う結果を生み出しやすい他のスポーツもあることにはあるが、ゴルフほど自分のねらいと違う結果を生み出すスポーツも珍しい。あたかもゴルファーの心を見透かしたり、翻弄したりするかのように、自分が願った通りのボールの飛び方と正反対の軌道を描くことが多いのである。例えば、野球で左に引っ張ろうとすれば、球は左に飛んで行く。右におっつけて打てば、ライト方向に球は向かう。テニスでも狙った方向に球を打つのは簡単だ。ところが、ゴルフはそうは簡単に行かないのである。打とうと思う正反対に方向に飛ぶのがゴルフなのだ。

 そんな馬鹿なと思う人もいるかもしれないが、ゴルフの初心者なら誰でも経験することである。そして、中級者でさえもこのような失敗を繰り返すことさえあるのだから、実に面白い。ゴルフというのは、クラブという道具を使ってボールを打って飛ばす。そのクラブをスイングする時に、タイミングや方向がほんの少しずれただけで、ミスショットになるのである。面白いことに、ボールを左側に飛ばそうとクラブを外側から左側に引っ張るように打つと、ボールは反対側の右側にギューンと弧を描くように曲がって飛んで行く。逆に右側にボールを打とうと思い、押し出すようにインサイドからアウトサイドにクラブを振ると、ボールは左側に向かって飛んで行くのだ。高いボールを打とうと思うと、低いボールの軌道になるし、低い弾道を打とうとすると通称テンプラと呼ばれるように、ボールが高く舞い上がる。池に入れたくないと強く思うと、ボールは池めがけてまっしぐらに飛んで行く。思いとは逆方向に飛ぶということが起きるのがゴルフなのである。

 さらに面白いのは、打つ前に「このショットは難しいんだよな」とか「ミスショットをしやすいんだよな」と言葉に出したり思ったりしただけで、ミスショットをしてしまうのである。本人は、難しいけれどナイスショットをしたいと思っているのだが、必ずと言っていいほど失敗するのである。ところが、どんな難しいショットであっても、簡単だと思い込んだり何も考えたりせずに、平常心でショットすると、必ずナイスショットをしてしまうのである。ゴルフというスポーツは、どうやら心の動きとリンクしているものらしい。ゴルフは自分の思い通りには行かないし、心が動揺すればするほどショットも乱れるということらしいのだ。ゴルファーの心理は、ゴルフというスポーツによって、弄ばれていると言っても過言ではないのだ。

 とは言いながら、そんな思うようにならないゴルフが、相当に面白いとゴルファーは感じるのだ。まるで、自分の人生とボールの気まぐれを重ね合わせているかのように、思うようにならないボールの軌道を楽しんでいる。その思うに任せないボール(人生)だが、自分の心をコントロール出来た時には、ちゃんと飛んで(進んで)行くのである。これは堪らない魅力である。人生も、私利私欲を捨ててこだわりを無くし、自我(エゴ)を乗り越え謙虚に素直にあるがままに、すべてを受け容れて物事に向かって行けば、願いは叶うのだ。そして、ゴルフも強過ぎる欲望を抑え、自分の技術や能力を過信せず、謙虚な心で無心になり素直にスイングすれば、必ずやナイスショットになるのだ。ゴルフを通して、人生修行をしているようなものなのだ。だから、ゴルフが上手になる早道は、自分の心をいかに制御出来るかどうかにかかっていると言えよう。ゴルフは、やはり哲学なのである。
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