雪の日の植物園で [2021年01月12日(Tue)]
![]() 今年初めての雪が降り、植物園も雪景色となりました(写真は裏山入り口付近)。 年の初めに降った雪を詠んだ万葉歌を二首あげておきます。 天平十八年(746)正月、元正太上天皇の御在所での雪掃きの宴で、葛井連諸会が詠んだ歌。 【歌】 新(あらた)しき 年の初めに 豊の稔(とし) しるすとならし 雪の降れるは (巻十七・3925) 【口語訳】 新しい 年の初めに 今年豊作の 前触れをするのでありましょう こんなに雪が降るのは もう一首は、大伴家持の歌で、題詞には、「三年(天平宝字三年、759)正月一日に、因幡国の庁にして、饗(あへ)を国郡の司等に賜ふ宴の歌一首」とあります(万葉集最後の歌でもある)。 【歌】 新(あらた)しき 年の初めの 初春の 今日降る雪の いやしけ吉事(よごと) (巻二十・4516) 【口語訳】 新しい年の初めに立春が重なった。今日降る雪のようにますます重なれ良い事よ。 これらの歌の関連記事は次のURLに載せています。 https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/520 https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/527 ヤブコウジ(万葉歌では山橘)が赤い実を付けています。 ![]() 雪と一緒にヤブコウジ(山橘)が詠まれた大伴家持の歌を二首載せておきます。 【歌】 この雪の 消(け)残る時に いざ行かな 山橘の 実の照るも見む (巻十九・4226) 【口語訳】 この雪の 消えてしまわないうちに さあ行こう 山橘の 実の輝くさまを見よう 題詞には、雪が降った日に作った歌一首とあり、深紅の実が白い雪に映える様を見たいと詠んでいます。天平勝宝二年(750)、家持が越中に赴任していた時の作。 【歌】 消(け)残りの 雪に合(あ)へ照る あしひきの 山橘を つとに摘み来(こ)な (巻二十・4471) 【口語訳】 消え残る 雪と照り映えている (あしひきの) 山橘を 摘んで来てみやげにしよう 天平勝宝八年(756)、家持が兵部少輔の頃の歌で、題詞には、「冬十一月五日(太陽暦の十二月五日にあたる)の夜、ちょっと雷鳴がし、雪が降って庭に積もった。その時たまたま感興を覚えて、先ずは作った短歌一首」とあります。 咲き始めた白梅も雪を被っていました。 ![]() 沫雪と梅の歌を一首載せておきます。 【歌】 沫雪に 降らえて咲ける 梅の花 君がり遣(や)らば よそへてむかも (角朝臣広弁 巻八・1641) 【口語訳】 沫雪に 降られて咲いている この梅の花を あなたの許にあげたら 人が噂するでしょうか 蓮池の様子 果樹園で(写真手前はハッサク) ![]() |
Posted by
katakago
at 12:03