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越中万葉の旅 [2015年11月01日(Sun)]
 先週末は、カルチャーセンターの万葉講座の受講者有志で富山県に出かけて来ました。半年前から計画を立て、小宮山氏の尽力によりようやく実現できました。講座の講師である坂本信幸先生は高岡市万葉歴史館の館長をされており、歴史館では直接先生に館内を案内して頂きました。更に、越中万葉故地の資料を用意して下さり、2日目は同行して現地の案内もして頂きました。
 『万葉集』編簒に大きく関わったとされる大伴家持は、天平十八年(746)に越中守として高岡市伏木にあった国庁に赴任し、天平勝宝三年(751)に少納言となって都に帰るまでの五年間に越中国で223首の歌を詠んでいます。今回の旅行では、射水市、高岡市、氷見市にある歌に詠まれたゆかりの地を訪れました。以下訪問場所の写真とメモを残しておきます。 

【1日目の見学場所】
 午後からジャンボタクシーをチャーターして故地を巡りました。放生津八幡宮 → 二上山 → 正法寺万葉植物園 → 氣多神社 → 越中国守館跡(高岡市伏木気象資料館)→ 勝興寺(越中国庁跡)→ 高岡市万葉歴史館 

 放生津(ほうじょうづ)八幡宮(射水市八幡町)
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 境内にある佐佐木信綱揮毫の歌碑
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【歌】 あゆの風<越の俗(くにひと)の語(ことば)に東の風をあゆのかぜといふ> いたく吹くらし 奈呉の海人の 釣する小舟 漕ぎ隠る見ゆ (大伴家持 P-4017)
【口語訳】 あゆの風(越の方言で東風をあゆのかぜという)が激しく吹いているらしい。奈呉の海人の釣りする小舟が、漕ぎ隠れるのが見える。
 『新編日本古典文学全集 萬葉集』には、「日本海沿岸の各地に「あゆの風」(または「あいの風」)という風位名が現在も残っており、その多くは北東ないし北西の方角から吹く北寄りの風をいう。この歌のそれも海から吹いてくる北寄りの風をさすのであろう。」とあります。
 奈呉(なご)之浦の碑(越中万葉名勝地) 奈呉の浦は高岡市伏木から放生津潟一帯にかけての海浜。 
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 二上山から眺めた小矢部川(万葉歌では射水川) 
富山、石川両県の大門山に源を発し全長は68Kmにおよぶ。下流部は複雑に蛇行する緩流河川。
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 二上山の大伴家持像
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 正法寺(高岡市伏木一宮)万葉植物園の万葉歌碑 
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【歌】 雄神川 紅にほふ 娘子らし 葦付<水松(みる)の類>取ると 瀬に立たすらし (大伴家持 P-4021)
【口語訳】 雄神川が紅色に輝いている。乙女らが葦付(水松)を採ると、瀬に立っているらしい。
 雄神川は現在の庄川。葦付は清流に自生する緑褐色で塊状の寒天様藻類とされており、『万葉集』のこの歌にのみただ一度登場する越中のことば(孤語)。
 
 氣多神社(高岡市伏木一宮)の万葉歌碑
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【歌】 馬並めて いざ打ち行かな 渋谿の 清き磯回に 寄する波見に (大伴家持 P-3954)
【口語訳】 馬を並べて、さあ揃って出かけよう。 渋谿の清らかな磯辺に寄せる波を見に。

 越中国守館跡(現在、高岡市伏木気象資料館がある)の碑
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 越中国守館跡の万葉歌碑
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【歌】 朝床に 聞けば遙けし 射水河 朝漕ぎしつつ 唱ふ舟人 (大伴家持 R-4150)
【口語訳】 朝の寝床で聞くと、遙かに聞こえてくる。 射水川を朝早く漕ぎながら唄う舟人の声だ。 

 勝興寺(高岡市伏木古国府)
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 境内の越中国庁跡の碑
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 境内の万葉歌碑(その一)
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【歌】 安之比奇能 夜麻能許奴礼能 保与等理天 可射之都良久波 知等世保久等曽 (大伴家持 Q-4136)
【読み下し文】 あしひきの 山の木末の ほよ取りて かざしつらくは 千年寿くとそ
【口語訳】 (あしひきの) 山の梢の ほよを取って 髪に挿したのは 千年の命を祝う気持ちからです
 ”ほよ”はやどりぎ科の常緑小高木ヤドリギの古名(落葉高木に寄生する)。『新編日本古典文学全集 萬葉集』によれば、「冬の間、落葉樹の林の中でこのやどりぎだけが鮮やかな色で茂っているさまに、永遠の生命を認めて、信仰の対象とする習俗が世界各地にある。ここもやどりぎの神秘的呪力を信じてこれを身に付けたのであろう」とあります。
 なお、ほよ(ヤドリギ)の写真は、次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/948

 境内の万葉歌碑(その二)
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 陸奥国(みちのくのくに)に金(くがね)を出(い)だす詔書を賀(ほ)く歌(長歌)の一部
【歌】 ・・・ 海行かば 水漬く屍 山行かば 草生す屍 大君の 辺にこそ死なめ 顧みはせじ ・・・(大伴家持 Q-4094)

 ”かたかご”の万葉歌碑(犬養先生揮毫)
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【歌】 もののふの 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花 (大伴家持 R-4143)
【口語訳】 (もののふの) たくさんの乙女たちが入り乱れて水を汲む、寺井のほとりのかたかごの花よ。

 高岡市万葉歴史館(高岡市伏木一宮)で
館長の坂本信幸先生に館内を案内して頂きました
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 記念の集合写真
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 敷地内にある犬養先生揮毫の万葉歌碑(二上山の賦)
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【読み下し文】 射水川 い行き巡れる 玉櫛笥 二上山は 春花の 咲ける盛りに 秋の葉の にほへる時に 出で立ちて 振り放け見れば 神からや そこば貴き 山からや 見が欲しからむ 皇神の 裾廻の山の 渋谿の 崎の荒磯に 朝なぎに 寄する白波 夕なぎに 満ち来る潮の いや増しに 絶ゆることなく 古ゆ 今の現に かくしこそ 見る人ごとに かけてしのはめ (大伴家持 P-3985)

【2日目の見学場所】
 越中国分寺跡 → つまま小公園 → 雨晴海岸 → 田子浦藤波神社 → 柳田布尾山古墳 → 十二町潟水郷公園(布勢の水海)→ 布勢神社 → 英遠の浦 → 松田江
越中国分寺跡(つままの大木が見られた)
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 つまま小公園(高岡市太田) ”つまま”は、くすのき科の常緑大高木のタブノキ
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 万葉歌碑 富山県内で最古(安政五年、1858)の歌碑
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【歌】 礒上之 都万麻乎見者 根乎延而 年深有之 神左備尓家里 (大伴家持 R-4159)
【読み下し文】 磯の上の つままを見れば 根を延へて 年深からし 神さびにけり
【口語訳】 磯の上の つままを見ると 根を張って 年を久しく経たらしい 神々しくなっている

 雨晴海岸で立山を眺望(この日は残念ながら見ることは叶わなかった)
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 田子浦藤波神社
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 フジの古木
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 大伴家持卿歌碑(この角柱の裏側に歌が刻まれている) 
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 万葉歌碑
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【歌】 藤奈美乃 影成海之 底清美 之都久石乎毛 珠等曽吾見流 (大伴家持 R-4199)
【読み下し文】 藤波の 影なす海の 底清み 沈く石をも 玉とそ我が見る
【口語訳】 藤の花が影を映している水海の底までが清く澄んでいるので、沈んでいる石も、玉だと私は見ることだ。

 柳田布尾山古墳(日本海側最大の前方後方墳)の展望台から二上山を遠望
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 萬葉布勢水海之跡の碑(犬養先生揮毫)
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 十二町潟水郷公園(布勢の水海)  
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 布勢神社の大伴家持御遊覧之地の碑
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 布勢神社境内奥の万葉歌碑
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【歌】 明日の日の 布勢の浦廻の 藤波に けだし来鳴かず 散らしてむかも (大伴家持 Q-4043)
【口語訳】 明日の日の 布勢の浦辺の 藤波に もしや来鳴かないで みすみす散らしてしまうのではないでしょうか

 英遠(あを)の浦(氷見市阿尾)
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 万葉歌碑
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【歌】 英遠の浦に 寄する白波 いや増しに 立ちしき寄せ来 あゆをいたみかも (大伴家持
 Q-4093)
【口語訳】 阿尾の浦に寄せる白波の立つのがいよいよ増して、しきりに寄せてくる。東風が激しいからであろうか

 松田江(渋谿の崎と氷見の江の間の長い砂浜) 
萬葉故地 「麻都太要能 奈我波麻」の碑(犬養先生揮毫) 
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 再び立山を遠望(?)
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今回は、海越しの立山連峰を見ることが出来なかったのですが、昨年訪れた時の記事と写真は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/940


Posted by katakago at 18:43
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