クマザサ [2011年11月30日(Wed)]
![]() クマザサ(いね科)は、写真ように冬になると葉の縁に白い隈どりが出来るのでその名があります。万葉歌では、ささ(原文は、小竹・佐左・左左などと表記)として詠まれています。次の歌は、柿本人麻呂の「石見相聞歌」(長歌と反歌2首からなる)で、反歌に詠まれているものです。 【歌】 笹の葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば (A-133) 【口語訳】 笹の葉は 全山さやさやと 風に吹かれ乱れているが それでもわたしは妻のことを思う 別れて来たので 題詞によれば、人麻呂が石見国から妻と別れて上京してくる時のもので、この妻は、人麻呂が石見国に滞在していた間に通った現地妻と考えられています(依羅娘子か)。この後に、人麻呂の妻、依羅娘子(よさみのおとめ)が人麻呂と別れる時の、次の歌が載せられています。 【歌】 な思ひそと 君は言ふとも 逢はむ時 いつと知りてか 我が恋ひざらむ (A-140) 【口語訳】 思うなと あなたがおっしゃっても 今度いつ逢えると 分かっていたら こんなにまでも恋しくは思いません なお、この依羅娘子については、石見国で娶った女とする説の他、河内国に依羅の郷名があることより、その地の女とみる説があります。 |
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katakago
at 13:27