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明日香で万葉植物画展 [2023年03月11日(Sat)]
 今月1日から国営飛鳥歴史公園内の「キトラ古墳 四神の館」と「犬養万葉記念館」で開催されている「万葉植物画展〜アートと万葉歌の出逢い〜」展示会に出かけてきました。
 近鉄吉野線の壺阪山駅からキトラ古墳をめざし、「キトラ古墳 四神の館」で観覧したのち、檜隈寺跡 → 高松塚古墳 → 天武・持統天皇陵 → 橘寺 → 犬養万葉記念館 → 豊浦宮跡 → 橿原神宮前駅 のコースを歩きました。
 整備されたキトラ古墳の外観
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 四神の館内の展示(撮影は許可されています)
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 館内には平成22年に取り外された石室内の壁画のレプリカが展示されています。
写真は石室のレプリカ
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 キトラ古墳壁画の写真(南壁 朱雀、北壁 玄武、東壁 青龍、西壁 白虎)
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 「万葉植物画展」会場入り口
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 入り口付近から見た会場内の様子
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 犬養万葉記念館へ行く途中に通り過ぎた天武・持統天皇陵(これまで何度も訪れている)
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 橘寺(写真)まで来ると間もなく犬養万葉記念館へ 
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 犬養万葉記念館で展示会場入り口付近
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 展示会場の様子
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 観覧を終えて橿原神宮前駅に向かう途中、豊浦地区の田んぼの中の一本の木に寄生したヤドリギ(ビャクダン科)を見かけました。 
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 ヤドリギは万葉歌では「ほよ」と詠まれています。
【歌】 あしひきの 山の木末(こぬれ)の ほよ取りて かざしつらくは 千年(ちとせ)寿(ほ)くとそ
(大伴家持 巻十八・4136)
【口語訳】 (あしひきの) 山の梢の ほよを取って 髪に挿したのは 千年の命を祝う気持ちからです
 『新編日本古典文学全集 萬葉集』の頭注には、「冬の間、落葉樹の林の中でこのやどりぎだけが鮮やかな色で茂っているさまに、永遠の命を認めて、信仰の対象とする習俗が、世界各地にある。ここもやどりぎの神秘的呪力を信じてこれを身に付けたのであろう」とあります。


 明日香村では、明日、「飛鳥ハーフマラソン」が開催されます。

Posted by katakago at 17:45
第71回正倉院展 [2019年10月31日(Thu)]
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 先週から、奈良国立博物館で第71回正倉院展が開催されています(今年は御即位記念として東京国立博物館でも開催)。毎回会期が短いので、都合をつけて昨日出かけてきました。
 今回は、美術の教科書でも見覚えのある「鳥毛立女屏風」が展示されていました(立て看板に写真)。
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 10年ぶりに、子日手辛鋤(ねのひのてからすき)と子日目利箒(ねのひのめとぎのほうき)が展示されていました。辛鋤の裏面と箒の袋に天平寶字二年正月の墨書銘があり、この年(758)の正月3日の儀式に使用されたと見られています。『万葉集』巻二十に、大伴家持がこの玉で飾った箒「玉箒(たまばはき)」を詠んだ歌があります。
【歌】 初春の 初子の今日の 玉箒 手に取るからに 揺らく 玉の緒 (巻二十・4493)
 以前のコウヤボウキに関する記事は次のURL に載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/201

 裏山のコウヤボウキはようやく花が咲き始めました。
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Posted by katakago at 13:15
第47回川西書道展 [2019年10月19日(Sat)]
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 今日・明日とキセラ川西プラザで川西書道展が開催されています。今年の五月に植物園に来ていただいた川口登美子さん(川西市書道協会理事で書道教室主宰、雅号は塘紅)から案内をいただき出かけてきました。一般と幼小中高生の作品が同時に展示されていました。
 一般の部では50数点ある中で、新元号「令和」の典拠が『万葉集』とあってか、万葉歌(2点)や「梅花の歌」の序文(4点)を書かれている作品が目にとまりました。
 巻物に書かれた川口さんの作品
『万葉集』巻五の「梅花の歌」の漢文で書かれた序文
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 植物園の見学に来られた時の記事は、
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1523
Posted by katakago at 20:16
万葉創作画展(奥山永見古さん)開催中 [2019年08月18日(Sun)]
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 万葉歌を独自の絵で表現する万葉創作画家の奥山永見古さん(奈良県在住)の絵画展が、猪名川町中央公民館(図書館1回ロビー)で開催中です(9月1日まで)。主催は地元の万葉学習グループ「猪名川万葉の会」で、会の世話人の野々村さんから知らせていただき、先日出かけておりました(ブログにupするのが遅れていました)。
 奥山さんは私どもの万葉植物園にも関心を持っていただいており、5月には野々村さんの案内で来ていただいていました。万葉植物も題材にされています。
 創作画とともに書も展示されていました。写真左端は、集中で1首のみ猪名川が詠まれた歌の原文の書(読み下し文: かくのみに ありけるものを 猪名川の 奥を深めて 我が思へりける 巻十六・3804)。
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Posted by katakago at 14:29
特別展「京のかたな」(京都国立博物館) [2018年11月18日(Sun)]
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 昨日、京都国立博物館で開催中の特別展「京のかたな―匠のわざと雅のこころー」に出かけてきました。京博へは、「禅ー心をかたちにー」以来2年半ぶりです。会期末(25日まで)とあってか長い待ち行列ができていました(案内では50分待ち)。京都初の刀剣特別展示だそうですが、これほどの人気があるとは思っていませんでした。一昨日には20万人目の入館者があったとのことです。

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 館内では、「国宝 太刀 銘三条(名物 三日月宗近)」を間近で見るにはここでも待ち行列に並ぶ必要がありました。焼き入れの技術によって現れる刃文(はもん)や地鉄(肌)の種類は、刀剣鑑賞の際の見どころの一つとされています。この「名物 三日月宗近」は、刃文に三日月形がいくつも見える事よりこの通称が付けられたそうです。最前列で熱心に鑑賞する若い女性も目立ちましたが、今回のテーマでは意外に思われました。


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 明治古都館(こちらは写真撮影はOK)では、「刀剣乱舞ーONLINE−」コラボ企画で刀剣男子の等身大パネルの展示がされていました。帰宅後ネットで調べたところ、この名刀を擬人化したオンラインゲーム「刀剣乱舞」をきっかけに、3年ほど前から刀剣ブームが広がり、「刀剣女子」と呼ばれる若い女性が増えているとのことでした。
 展示パネルにカメラを向ける”刀剣女子” 
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 今回の展覧会では、明治古都館で唯一写真撮影できた刀剣(復元模造)
 「重文 薙刀直シ刀 無銘(名物 骨喰藤四郎)の復元模造(人間国宝刀剣作家 宮入法廣氏作)
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Posted by katakago at 11:38
二つの正倉院展(奈良国博、平城宮跡資料館) [2018年11月12日(Mon)]
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 この秋奈良では、二つの”正倉院展”が開催されています。その一つは奈良国立博物館の第70回正倉院展で、もう一つは平城宮跡資料館の「地下の正倉院展ー荷札木簡をひもとくー」です。奈良国博の正倉院展は例年会期が短く、今年はこれまで行きそびれていましたが、昨日は最終日前日ということで、午前の川西まつりに参加した後奈良まで出かけてきました。
 先に、近鉄奈良線の大和西大寺駅で途中下車し平城宮跡を訪れました。平城宮・京跡から出土した木簡の中には、全国各地から税として都に送られた荷物に付けられた木簡(これが荷札木簡)が多数含まれ、今回の特別展では、そのいくつの実物展示と解説がなされていました(写真撮影はOKでした)。
 復元された第一次大極殿(平城遷都1300年の2010年に完成) 久しぶりに訪れました。
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荷札木簡には物品名や数量、地名、納税者の名などが記される。
 越前国からの大豆の荷札 
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 備中国からの白米五斗の荷札
解説によれば五斗は今の二斗二升五合で約34kgに相当。木簡の裏面には天平十九年二月九日(西暦747年)
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 正倉院展では、当日の入館券を求めるのに長い列に並ぶ羽目になりましたが、その後は比較的スムーズに館内に入れました(例年はここでも長い待ち行列があるのですが)。以下、今回の主な展示物を外部掲示のパネル写真で見ておきます。
 博物館の案内パネルの写真には、右から平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)、磁鼓(三彩のつづみ)、沈香木画箱(献物箱) 
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 博物館に掲げられたパネルの写真には、左から玳瑁螺鈿八角箱(たいまいらでんはっかくばこ)、仏像型(押出仏の型)、新羅琴、磁鉢(二彩の鉢)
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 上の写真の新羅琴は、図録解説によれば、羊耳形の緒留め(絃を繋いだ緒を固定する部分)を備えた十二絃の筝で、新羅琴の特徴の一つはこの羊耳形の緒留めにあるとみられ、韓国慶州市鶏林路(ケリムノ)30号墳(5〜6世紀)から羊耳形の端部を持つ筝が表された装飾品が出土しています。
 他に、七絃の琴(きん)に似た桐木琴(きりのきのきん)も出陳されていました。
 
 そのほか写真にはありませんが、錦紫綾紅臈纈絁間縫裳(にしきむらさきあやべにろうけちあしぎぬのまぬいのも、女性用の裳)についても触れておきます。これは、下半身に着ける巻きスカート状の衣で、図録解説によれば、赤地臈纈絁、紫綾、緑系織色綾の三種の細長い裂(きれ)を繰り返し継ぎ合わせる間縫によって縦縞を表しています。高松塚古墳壁画に描かれる女性像の衣服にも見られるものです。 
Posted by katakago at 12:02
第69回正倉院展 [2017年11月08日(Wed)]
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 先月28日から奈良国立博物館では正倉院展が開催中です。例年期間は短く今年は今月13日までです。今日は朝から雨で外の作業が出来ないので、出かけてきました。今回はこれまでのように会場外で長い列を作って並ぶことなく入館出来てよかったです。

 聖武天皇愛用の楽器(『国家珍宝帳』に記載)のうち、今年は尺八が2本出陳されていました。玉尺八(ぎょくのしゃくはち)と樺纒尺八(かばまきのしゃくはち)で、前者は大理石製で三節の竹管を模しており、もう一つは真竹製で樺巻装飾が施されており、いずれも指孔が前面に5個、背面に一個で、現在の尺八が前面に4個あるのとは異なっています。尺八はこれらを含め8本あり、『国家珍宝帳』には多くの楽器が記されており、今回はほかに漆槽箜篌(うるしそうのくご)の残欠とその模造(漆塗の竪琴)が展示されていました。聖武天皇は音楽に親しまれていたようです。
 今年の入館券や立て看板にも使用されていた羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)は、かつて美術の教科書で見た記憶がありますが、今回実物を初めて見ることが出来ました。
 博物館の案内パネルには、槃龍背八角鏡(ばんりゅうはいのはっかくきょう)、碧地金銀絵箱(へきじきんぎんえのはこ)、緑瑠璃十二曲長坏(みどりるりのじゅうにきょくちょうはい)の写真が掲載されていました。 
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Posted by katakago at 18:17
大橋さんの拓本展 [2017年09月03日(Sun)]
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 三年前に大仙寺の木田院碑の採拓でお世話になった京都の大橋さんが、「墨彩で観る拓本展 III」をギャラリー祇園小舎で開催されており、昨日妻と京都まで出かけてきました(写真は大橋さんご夫妻)。
 今回は、石の他、木・鋳造物(鉄・青銅器)・瓦の素材から採られた拓本が展示されていました。万葉歌碑・文人墨客の詩歌・日本各地の石碑や鋳造物(マンホールなども)・中国旅行で採拓されたもの等、ご夫妻による詳しい説明を聴きながら観覧することが出来ました。
 おまけに、作品まで頂き大変ありがたく思っています。 

 万葉歌碑の拓本(会場に展示)
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【歌】 古の 七の賢しき 人たちも 欲りせしものは 酒にしあるらし (巻三・340 大伴旅人)
【口語訳】 古の 竹林の七賢人も 欲しがったものは 酒であったらしい

 石川丈山(1583〜1672)の「富士山」の七言絶句の拓本(今回頂いたものです)
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訓読は、
 仙客来遊す雲外の巓(いただき)。神龍栖(す)み老ゆ洞中の淵。雪は紈素(がんそ)の如く煙は柄の如し。白扇倒(さかさま)に懸(かか)る東海の天。
現代語訳は、
 雲の上に突き出した富士山の巓には、仙人が来て遊ぶという。洞窟の中の淵には久しく神龍が棲んでいるという。頂に積もった雪は扇の白絹のようであり、立ち上る煙は扇の柄のようだ。ちょうど白い扇をひっくり返して東海の天にかけたような、そんな景色に見えるのだ。

 大津市のマンホールの拓本(今回頂いたものです)
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 大仙寺の木田院碑の採拓の記事は、
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/836


 拓本展の後時間があったので、妙心寺を訪れました(妻は今回が初めてです)。
七堂伽藍のうち、法堂(はっとう)天井の雲龍図(狩野探幽筆)や浴室(明智光秀の菩提を弔うために創建され、明智風呂とも呼ばれる)を見学しました。
 妙心寺境内には四十余りの子院塔頭があり、今回は退蔵院を拝観しました。ここには如拙筆の日本最古(室町時代)の水墨画「瓢鮎図(ひょうねんず)」(国宝)があり、方丈正面には摸本とその説明パネルが置かれていました。画図は農夫が瓢箪で「なまず」をどうして捕らえるか?という禅の公案(問題)で、画の上に五山の高僧31人による答えが自書されています。
 なお実物は、昨年京博で開催された、臨済禅師1150年,白隠禅師250年遠諱記念「禅ー心をかたちに―」展に出品され見る機会がありました。
 退蔵院方丈正面
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 瓢鮎図(摸本)の一部
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 境内の瓢箪池
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 池で見かけたサギ
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Posted by katakago at 12:35
牧野記念庭園記念館の企画展ー桜花図譜と牧野富太郎 [2017年02月20日(Mon)]
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 前日(2/18)のシンポジウムに参加したついでに品川で一泊し、翌日(2/19)は、練馬区立牧野記念庭園記念館で開催中の企画展「桜花図譜と牧野富太郎」を観覧しました。明治40年(1907)から嘱託として勤務していた東京帝室博物館(現 東京国立博物館)で、大正7年(1918)に「日本桜花図譜」編纂を企画し、大正末期にミネザクラ、ソメイヨシノ、ナラヤエザクラの色刷りが刊行され、今回の企画展ではこの3点を含む16点のサクラ原図が展示されていました。

 企画展の展示は撮影禁止となっていましたが、その他の常設展はOKでした。
常設展の会場の様子(牧野富太郎の業績が展示されている)。
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 赭鞭一撻(しゃべんいったつ) 展示パネルより
植物学を志すようになった富太郎(18〜20歳頃)が作った勉強心得15ヶ条。赭鞭とは古代中国伝説上の帝王神農(医学と薬学の象徴)が手にしていた赤い鞭。
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 鞘堂内の書屋展示室(94歳で亡くなるまで研究・執筆のために籠った書斎と書庫)
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大正15年から昭和32年に亡くなるまで過ごした跡地が牧野記念庭園となっており、庭園内には300種以上の草木類が植栽されています。
 顕彰碑(「花在れバこそ 吾れも在り」) 回りにはスエコザサが植えられている。
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 牧野の学究生活を支えた妻 壽衛(昭和3年54歳で亡くなった)のために詠んだ句碑
家守りし 妻の恵や 我が学び
世の中の あらむかぎりや すゑ子笹
昭和二年(1927)に仙台で発見した新種のササを学名「ササ スエコヤナ マキノ」、和名「スエコザサ」と命名(現在の学名は Sasaella suwekoana (Makino) Makino
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 セツブンソウが咲いていました。
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 牧野富太郎関連記事は、
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/172
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/1190

 帰途、新幹線車中から眺めた富士山
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Posted by katakago at 21:02
奈良県立万葉文化館の特別展ー古代への憧憬 [2016年11月07日(Mon)]
 先日(11/4)、梅花万葉集友の会の講座が奈良県立万葉文化館であり、明日香村に出かけてきました。
 万葉文化館はちょうど開館15周年にあたり、記念の特別展が開催中でした(今月27日まで)。
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 特別展のテーマは「古代への憧憬ー近代に花開いた古典の美ー」で、柿本人麻呂像・山部赤人像や貧窮問答歌画賛幅など江戸時代に描かれたものをはじめ、明治から平成にかけて万葉をテーマに描かれた絵画が展示されており興味深く鑑賞しました。
 中山正實の「阿騎野の朝 画稿」(昭和15年)も展示されていました。これは現在宇陀市中央公民館にある壁画の画稿で、軽皇子が安騎野に宿られた時に柿本人麻呂が詠んだ「東の 野にかぎろひの 立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ」(@-48)の情景が主題となっています。   
 なお、中山正實の「阿騎野の朝」の関連記事は次のURLに載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/925
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/927 
 また、上村松篁の「額田女王挿絵原画」(昭和43〜44年)もあり、これは井上靖の歴史小説『額田女王』が「サンデー毎日」に連載された折に制作された124枚の挿絵原画の一部です。 

 午後の散策では、飛鳥寺に立ち寄り住職の話を聞きながら久しぶりに飛鳥大仏を拝観しました。
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Posted by katakago at 11:01
京博特別展(禅ー心をかたちにー)を観覧 [2016年04月17日(Sun)]
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 昨日、午前のカルチャーセンターの講座に参加した後、京都国立博物館で開催中の特別展「禅ー心をかたちにー」に出かけて来ました。

 午前の講座のテーマは「くずし字史料から読み解く江戸期の商家経営」で、自費出版本では、両替商についても調べたので興味がありました。朝日カルチャーと大阪大学との共同講座(Handai-Asahi中之島塾)で、講師は鈴木敦子氏(阪大大学院経済学研究科資料室)で、江戸時代に豪商・富商とよばれた商家の史料をもとに、奉公人請状(近江商人 島ア利兵衛家)、家訓・店則(住友家・小野組)、経営帳簿(三井家・近江商人)などについて解説されました。とりわけ興味を惹かれたのは、経営帳簿記載で、商家ごとに符牒(見積もりの数字など他店に知られないように)が用いられていたことです。例えば、三井家(越後屋、呉服・両替)では、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10の数字に、イ、セ、マ、ツ、サ、カ、ヱ、チ、ウ、シ が当てられていたとのことです。
 
 京都国立博物館の特別展「禅ー心をかたちにー」は、臨済禅師1150年、白隠禅師250年遠諱記念として開催されているもので、自費出版本でも、白隠禅師について調べていた(木田院碑の銘文や漢文語録『荊叢毒蘂』刊行に関連して)ので、大変興味がありました。 
 白隠関連では、円相内自画像(東京・永青文庫蔵)はじめ自筆の禅画の展示(前半6点、5/3からの後半6点)が中心で、2メートル近い達磨像の大作(大分・萬壽寺蔵)は圧倒される程でした。但し、期待していた著作物や書簡類の展示が無かったのが少し残念でした。
 展示の最後のコーナーでは、禅が日本文化に与えた影響についても、喫茶や書画・工芸品で紹介されていました(会期は5/22まで)。
 
 博物館入り口ロビーの看板
絵は達磨像(白隠慧鶴筆、大分・萬壽寺蔵、実物は館内に展示されている)で、賛に「直指人心(じきしにんしん) 見性成仏(けんしょうじょうぶつ)」とあります。他にとらわれず直ちに自己の心を見つめ、心中に仏の本性が備わっていることを悟ることをいう(衆生本来仏なり)。
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Posted by katakago at 15:26
第67回正倉院展 [2015年11月03日(Tue)]
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 今、奈良国立博物館では正倉院展が開催中です(10/24〜11/19)。自費出版本も最終校正を終えようやく印刷に回せたので(完成は今月中旬予定)、昨日、午前中のカルチャーセンターの万葉講座が終わってから出かけて来ました。
 こちらに戻って来てからは毎年見に来ています(14回目)。NHKTVでも紹介されており、出陳物はあらかじめ目星を付けておいたので効率よく見学できました。この日は例年よりは混雑は少なかったようです。
 今年の特徴は、仏教に関わる品々や年中行事に用いられた物が多く展示されていました。注目したいくつかを載せておきます(『平成27年正倉院展図録』参照)。
@七条褐色紬袈裟(しちじょうかっしょくつむぎのけさ)
 仏教に深く帰依した聖武天皇ご遺愛の袈裟とされ、『国家珍宝帳』の筆頭に記された九領の御袈裟のうちの一つとされています。
A花氈(かせん)
 文様(蓮華唐草文)のあるフェルトの敷物で、最近の調査では、素材は山羊ではなく、中央アジアまたは中国産の羊の毛と判明したとのことです(大陸産の種子類(フウロソウ属とオナモミ属)の混入も発見)。
B紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ) 写真上の看板の図
 四弦四柱(しげんしじ)の琵琶で、長梨形の胴と曲がった頸を特徴とし、ペルシャ起源とされ、隋唐時代に盛行し奈良時代に我が国に伝わったとされています。
C彫石横笛(ちょうせきのおうてき)、彫石尺八(ちょうせきのしゃくはち)
 いずれも暗灰色で黒い斑のある蛇紋岩を用いて作られています。笛は一節の竹管をかたどり、楕円形の吹口と指孔が七つ穿たれています。尺八は三節の竹管を模しており、歌口は唇に当たる角度になるように背面側を短く切り、息の当たる前面側は斜めに削られています。指孔の数は前面に五個、背面に一個です(今日の尺八は前面に四個)。
 正倉院には、倭琴(わごん)、琴(きん)、琵琶、阮咸(げんかん)、筝(そう)、瑟(ひつ)、簫(しょう)、笙(しょう)、竽(う)、横笛(おうてき)、尺八、新羅琴(しらぎごと)などの楽器十七点が収蔵されています。また赤漆文欟木御厨子(せきしつぶんかんぼくのおんずし)には四本の尺八が納められており、聖武天皇が日ごろ愛用していたと見られています。
 
 展示を見学した後、紅葉し始めた奈良公園を散策しながら、東大寺大仏殿後方にある正倉院を久しぶりに訪れました。
 紅葉し始めたイチョウ
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 正倉院の外構を見学しました。
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 ここで思わぬハプニングに遭遇しました。この日はカルチャーセンターの帰りと言うこともあって帽子をかぶらずに出かけたのですが、写真を撮り終え帰ろうとしたところ、頭に違和感を覚え右手で払いのけたところ、中指と人差し指の間に激痛が走りました(今まで味わったこともない痛み)。払いのけた物体は確認できなかったのですが、おそらくハチに刺されたものと思い、帰宅途中外科医院に立ち寄り診察と処方を受けました。今朝は、幸い痛みも治まり尺八の練習も行えホッとしています。


Posted by katakago at 12:12
特別展示「加島屋と広岡浅子」 [2015年10月07日(Wed)]
 自費出版本『木田家のルーツを尋ねる―石碑の銘文に導かれてー』(完成は11月初旬頃の予定)では、鉄屋(庄左衛門)と川崎屋(三右衛門)が営んだ両替商についてもその史料を収集して取り上げています。

 先週から始まったNHKの朝ドラ「あさが来た」では、大坂の両替商の加島屋が舞台となっており視聴しています。またその原案本『小説 土佐堀川ー広岡浅子の生涯』(古川智映子 著)の前半では、明治維新前後の大坂の両替商の様子が史実の調査を基に描かれており、大変興味深く読みました。慶応4年(1868)に、新政府の幣制改革で銀目廃止の布告が出され、それまで上方商人の商取引に用いられていた丁銀や豆板銀の流通が停止され、大坂の両替商では取り付け騒ぎが起こりその多くが破産したようです(加島屋はかろうじてこの危機を乗り切り、新たな事業ー炭鉱、銀行、生命保険ーを展開してゆく)。
 広岡浅子は大同生命の創業者の一人でもあり、現在、大同生命大阪本社(加島屋の店があった場所にある)メモリアルホールで、「大同生命の源流 ”加島屋と広岡浅子”」の特別展示が行われており、昨日、自費出版本の打ち合わせで朝日カルチャーセンター(中之島)に立ち寄ったついでに見学しました。
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 「大坂の豪商・加島屋」の展示コーナーでは、加島屋のビジネス(掛屋・蔵元、入替両替、大名貸し)が紹介されていました。各藩の産物(コメなど)を請け負い(掛屋・蔵元業務)、資金を融通し(大名貸し業務)、江戸時代最大のコメ市場に投資資金の融通(入替両替業務)を行い、商品市場・金融市場で中心的な役割を担っていたようです。
 大名貸しでは、全国300藩のおよそ三分の一の藩と取引のあったことが知られており、そのうち津和野藩との取引では、貸し付けの担保がコメではなく、藩の特産品である和紙・蝋燭の販売代金であった例が示されていました。
 
 また、浅子は日本女子大学校の創設にもかかわっており、関連の展示も興味深いものでした。


Posted by katakago at 16:32
「両替商 銭屋佐兵衛」展 [2014年12月14日(Sun)]
 これまで何度か触れた大仙寺の木田院碑を建立した木田種重(没年は天明五年,1785)は、浪華で両替商を営んでいたことが分かっています(代々 鉄屋庄左衛門を名のる)。その関連でこのところ、古代史から江戸時代の大坂商業史にも関心の領域が広がって来ました。

 大阪歴史博物館では、先月から、特集展示「両替商 銭屋佐兵衛」展が開催されています(1月5日まで)。今日は、展示担当の学芸員(八木 滋さん)による展示解説があるというので出かけて来ました。
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 銭屋佐兵衛(通称 銭佐)として両替商であった逸身家の古文書(逸身家文書)が平成15年に見つかり、その調査研究の成果が『両替商 銭屋佐兵衛』として東大出版会から刊行されたのを機に今回の展示が企画されたそうです。
 初代佐兵衛が延享元年(1744)に両替店を開き(島之内の石灰町)、その後は両替商のほか大名貸もおこない、明治になって逸身銀行となり、明治34年(1901)の取り付けによる解散で金融業を終えたそうです。
 明治新政府の方針で、天保十四年(1843)以前の旧藩債は古債として棒引き、弘化元年〜慶応三年のものは中債として無利子50年の年賦償還、明治元年〜五年のものは新債として四分の利息で25年の公債で償還と決められ、大名貸をしていた大坂の両替商の多くは致命的な打撃を受けて没落していったと言われている。そんな中で、逸身家はその影響が少なかった(古債が少なかったか)とみられています。

 今回の展示の中では、墓碑銘や過去帳、婚礼関係の資料(婚礼諸祝儀控)、銭佐日記、人別帳等の資料を組み合わせて、銭佐組織・関係図や逸身家系図が作成されており、大変興味深いものでした(この手法はプロソポグラフィーと言われる)。

 現在私も、岡山の木田家(鐡屋の子孫)と我が家の過去帳や両家に伝わる木田中村之本系図(正徳元年,1711作成)をもとに当時の系譜をたどるとともに、両替商 鐡屋庄左衛門に関する資料の収集を始めたところです。
 中之島図書館では、『十人両替諸記録』(鐡屋庄左衛門(木田氏)の旧記)の原本を閲覧することが出来ました(その全文は『大阪商業史料集成 第四輯』に収められており古書店より入手済み)。
 大名貸に関して、最近、小西新右衛門文書(小西家文書)の中に姫路藩に関わる文書の存在を知り、閲覧を申請しているところです。

  
Posted by katakago at 20:18
桜井記紀万葉歌碑原書展 [2014年12月01日(Mon)]
 奈良県桜井市には、山の辺の道を中心に、64基の記紀万葉歌碑が建立されています。11月26日〜30日まで、あべのハルカス近鉄本店(近鉄アート館)で、その原書展と講演会が開催され、29日に出かけて来ました。
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 チラシの裏面(近鉄桜井駅の観光案内所で入手)
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 歌碑の建立は、当時の池田榮三郎市長と保田與重郎(桜井市出身の文芸評論家)の呼びかけにより昭和47年から始まり、その揮毫者は文学者(久松潜一、犬養孝ほか)・作家(川端康成、井上靖ほか)・画家(安田靫彦、小倉遊亀ほか)・学者(湯川秀樹、朝永振一郎ほか)など昭和を代表する各界の方々です。
 これまで万葉故地巡りで多くの歌碑を見てきていますが、今回、64基もの歌碑の原書(一部拓本)が一堂に集めて展示され、それぞれに歌の原文・現代語訳と村田右富美先生の解説も掲載されており、じっくりと鑑賞できました。このような企画はこれまで無かったかと思います。その図録も制作販売されていたので有用な資料として買い求めました。
 桜井市の万葉故地は何度も訪れていますが、最近では11月6日(山の辺の道)、8日(忍阪)にも出かけました。その時の記事(次のURL)にも今回展示の歌碑の写真をいくつか載せています。
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/924
https://blog.canpan.info/inagawamanyo/archive/925

 更に、この日は午後から坂本信幸先生の「桜井の万葉歌 ー 万葉の歌ここに始まる」と題する講演も聴講できました。 


Posted by katakago at 06:48
「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展 [2014年11月22日(Sat)]
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 昨日(11/21)、京都国立博物館で開催中の「国宝 鳥獣戯画と高山寺」展(上の写真は会場出口付近の撮影OKの場所で)を見るため、久しぶりに京都まで出かけて来ました(京都は今年になって2度目)。
 展覧会は終了間近(11/24)とあって、大勢の人がみえていました。約1時間近く館外で並んで待った末、入場制限のため数分毎に15人づつの入館となりました。鳥獣戯画の展示室では、さらに30分近く順番を待つことになりました。
 今回の展覧会は、国宝 鳥獣人物戯画四巻(甲巻・乙巻・丙巻・丁巻)の修復完成を機に開催され、四巻が同時に展示されており、教科書で見たことのあるこの有名な絵巻物をじかに見ることが出来ました(甲・乙巻は平安時代、丙・丁巻は鎌倉時代の作)。動物たち(ウサギ・サル・カエル)が遊ぶ様子(射的や相撲など)が描かれている甲巻は最も有名な巻であり、このコーナーだけは列に並んで鑑賞するようになっていました。

 写真は入館を待つ長い列
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Posted by katakago at 17:29
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