スベリヒユ [2011年07月04日(Mon)]
スベリヒユは畑地の雑草ですが、耕運機で鋤き込んでも、その後雨でも降ればまた生えてくる厄介な草です。広い面積でなければ根気よく根から抜きとっておくのが良いのですが。この時期小さな黄色の花を咲かせています。万葉歌に、いはゐつら(原文は伊波為都良と表記)と詠まれている植物にスベリヒユを当てる説があります。 【歌】 入間道の 大屋が原の いはゐつら 引かばぬるぬる 我にな絶えそね (M-3378) 【口語訳】 入間道の 大屋が原の いわいつらが 引っぱるとぬるぬると寄って来るように お前も私が誘ったら靡き寄って 私との仲を絶やさないでおくれ (『万葉集全注』) 巻14は東歌の巻で、この歌は武蔵国の相聞往来歌9首のうちの1首です。上三句は、「引かばぬるぬる」を起こす比喩式序詞で、「引く」は、男が女を誘う意と解されています。 類歌に次のような歌があります(いずれも東歌)。 【歌】 上野 可保夜が沼の いはゐつら 引かばぬれつつ 我をな絶えそね (M-3416) 【歌】 安波をろの をろ田に生はる たはみづら 引かばぬるぬる 我を言な絶え (M-3501) M-3416の歌の「いはゐつらは、ジュンサイが相応しと見られています。次の「たはみづら」は、水田雑草のヒルムシロとみられています。畑や田んぼの雑草が歌に詠まれているのは、東歌の巻以外にはみられないようです。。 なお、「入間道の」の歌の歌碑が、埼玉県日高市大谷沢(川越線武蔵高萩駅南約3キロ)にあり(揮毫は、故犬養孝先生)、16年前に訪れたことがあります。 |
Posted by
katakago
at 18:30