ネムノキ [2011年07月03日(Sun)]
ネムノキ(まめ科)の花が咲いています。万葉歌では、ねぶ(原文では合歓木と表記)と詠まれています。「合歓木」は、夜間、複生する小葉を閉じ合わせて眠る特性を有するところから、ネブ・ネブリ等の名がつけられたようです。「合歓」の字は、その葉が夜に合する性質によって、男女の交合にたとえた漢籍の用法に従ったとみられています(新編日本古典文学全集『万葉集』)。 【歌】 昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木の花 君のみ見めや 戯奴さへに見よ (紀女郎 G-1461) 【口語訳】 昼間は咲き 夜は恋いつつ寝るという ねむの花です あるじだけ見るべきでしょうか 戯奴(わけ)も見なさい 紀女郎が大伴家持に贈った歌で、『万葉集全注』には、「家持にその花を見に来るように促すかたちで、共寝を誘う意をにおわせている」とあります。これに対し、家持は次のような歌で、 【歌】 我妹子が 形見の合歓木は 花のみに 咲きてけだしく 実にならじかも (G-1463) 【口語訳】 あなたに 頂戴したねむは 花ばかり 咲いておそらく 実を結ばないのではないでしょうか と、やんわりと誘いを断っています。女である紀女郎が自らを「君」(戯奴の主君)、相手の家持を「戯奴」と歌っており、この贈答の歌は、戯れの遊びであるとみられています。 なお、家持は「実にならじかも」と詠んでいますが、ネムノキは花が終わると豆果をつけます。 |
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katakago
at 09:11